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北大路魯山人のエッセイを読む@青空文庫

北大路魯山人のエッセイを読んだことはありますか?
実は面白いので紹介してみたいと思います。

北大路魯山人とは

陶芸家だと思っていたのですが、いろんなことをやっていた方のようです。
美食家であるということで、美味しんぼの海原雄山的な人というイメージです。

晩年まで、篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持っていた。

Wikipedia「北大路魯山人」

青空文庫で読む北大路魯山人

ある日、青空文庫のアプリで作者名を眺めていて北大路魯山人を見つけました。

なんと掲載作品は185件! ※2021/07現在
ラインナップはほぼ食べ物に関するエッセイです。
作品名を見ているだけでもすっごく美味しそうで楽しいです。

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ここで「鮎の食い方」を読んでみましょう。

もちろん、ふつうの家庭で用いているような、やわらかい炭ではうまく焼けない。尾鰭(おびれ)を焦こがして、真黒にしてしまうのなどは、せっかくの美味しさを台なしにしてしまうものだ。いわば絶世の美人を見るに忍びない醜婦にしてしまうことで、あまりに味気ない。

青空文庫 北大路魯山人「鮎の食い方」

尾鰭を焦がしてしまった鮎を女性に喩えるとは、なんともオシャレです。(今の時代だと炎上しそうですが・・・)

次の一文なんて最高においしそうです。

やはり、鮎は、ふつうの塩焼きにして、うっかり食うと火傷やけどするような熱い奴やつを、ガブッとやるのが香ばしくて最上である。

青空文庫 北大路魯山人「鮎の食い方」

青空文庫は読み放題!気になったタイトルの作品を読んでみてはいかがでしょうか。

ちなみに私のお気に入りは、「茶碗蒸し」です。

北大路魯山人の食べ物エッセイのいいところ

なんで北大路魯山人の食べ物エッセイに惹かれるのかを考えて、3つのいいところを見つけました。

1.レシピとして使える

エッセイなので何を何g使うとかの分量は分かりませんが、どういうものを使うと美味いといった雰囲気は知ることが出来ます。書いてある通りに作ってみようかなと思えます。

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2.食欲が出る

とても美味しそうに食べ物のことが書かれているので、ちょっと疲れて食欲がない時に読んだら、食欲が出ます。

これを読んだらなんだか湯豆腐が食べたくなってきました・・・。

一番最初鍋の中に切れ目のある昆布を敷き、鍋の深さの半分目以上水を入れる。三寸の鍋なら上一寸を余して水を入れ、およそ一寸角くらいに切った豆腐をこわさないようにそっと入れる。杉箸ではさんでそっと入れる。それを火力の強い火の上にかけ、鍋の蓋をしておく。約五分位で、火さえ強ければ、初めてぽっと煮え上がる。その時豆腐を箸でおして見ると軽い弾力ができていて、肴の白子かクリームのようにぽとぽとしていい煮え加減になっている、その刹那がうまい。 「湯豆腐のやり方

青空文庫 北大路魯山人「湯豆腐のやり方」

3.文章の勉強になる

文筆家なので当然なのですが、書く文章が魅力的です。食べ物描写が鮮やかで「生きた文章」って感じがします。

特に擬音の使い方が上手いと思います。擬音で現されたその感触まで伝わってくるようです。

卵がこてこてにかたく固まっていたからだ。卵は薄めにして、茶碗を手に持つと、ユラユラと卵が体ごとゆする程度につくるのがよい。そうすると、スルスルして口当たりがよく、しかも卵臭くなくてよいのである。「茶碗蒸し

青空文庫 北大路魯山人「茶碗蒸し」

こんな風に魅力的な文章が書けるようになりたいものです。

さいごに

北大路魯山人のエッセイは一級品なのでぜひ読んでみてほしいです。

どれも短い文章なのでサクッと読めてお腹が空くこと間違いなしです!