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FINAL FANTASY ORIGIN どんな人にお薦め?

 ネガティブな評価が飛び交っており、フルプライスを出すには疑問を感じている人が多いだろう本作。どんな人なら「買い」かを纏めてみたので、迷える御仁のご参考迄に。


・本家の”口直し”が欲しい人

中身女

 無事ラニと結ばれ、エルデンリングは一段落。腐女子はもう御免だが、緩くソウルっぽい戦闘が出来る「おかわり」が欲しい…という人に本作はうってつけだ。


ゴブリンスレイ

 ソウル系としてはやや低難易度だが、気を抜くとアッサリ死ぬ程度の緊張感はあり、且つマルギットの様な度の越えたボスが居ないので程々の気の張り方でサクサク進める。(一部やたらキツい部分があるが、難易度を変えられるのでソコだけ下げてしまうのも手)。


ボム自爆

 パーティーにヘイトを持って貰いつつ、適度なシビアさと強い爽快感を貪るソウルライト体験は、存外に中毒性がある。パリィを駆使してボスの攻撃を封殺しながらタコ殴りにするのも、SEKIROの弾き合戦とはまた違った脳汁ポイントだ。ゲロを吐く様な極度の緊張には至らない、程々に肩肘を張る居心地良さが待っている。


・演出やストーリーにも拘ったソウルが欲しい人

カオスを求めて

千切り

 FFにしては珍しく、主人公は髭面のオッサン。しかも「怪しそうなヤツはとりあえず殴る」「話を聴くために先ずは殴る」「話が判らなくてモヤモヤするのでやっぱり殴る」という猪突猛進型のエネルギッシュおっさんである。


ハイブリンガー

男女平等

 戦闘中の演出も敵を力任せに粉砕する小気味よい物ばかり。判り易いキャラとスカっとする演出のお陰で、プレイヤーは気持ち良く主人公にシンクロし、心の儘に突き進む事が出来る。ベヒーモスの尻尾を掴んでジャイアントスイングを始めた時は流石にギャグかと思ったが。


カオスとなる者

 ストーリーは主人公が闇落ちする話だが、希望を失って転げ落ちるので無く、希望を踏みつぶして絶望の高みへ昇って行く姿は見る者の黒い愉悦を刺激する。奴隷解放の大義に殉じている設定もあるので、プレイヤーはショッキングな展開に気持ち良く酔う事が出来る。


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 アクション性、絵面の演出、脚本の全てに、猪突猛進型主人公という一本の軸が通されており、無駄なく小綺麗に纏まっている。ストーリーが間接照明の様に道脇で輝いていた本家とは違う、アクションとストーリーが相互作用する体験』としてのソウルを味わってみたい人にお薦めしたい。  

 ただ、情報を小出しにて終盤でネタバレするタイプの脚本なので、道中で味わうモヤモヤは意図的な物だと割り切る必要がある。敵を片端からブチ砕いてスッキリしよう。そういう意図のゲームデザインである。


・仁王2をまたやり直したいと思ってた人

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 仁王2もソウル系としては低難易度で且つ戦闘の爽快感が強く、あのザクザク感が定期的に恋しくなるゲームだ。一方で、多すぎるボリュームクソマップが二の足を踏ませる。FF Originはこの辺りが有る程度均されている。


みだれつき

 ザクザクドスドスいう気持ち良い効果音と、無双シリーズやBloodborneの様な平面的で軽やかな挙動。重量感のある本家ソウルとはまた違った、ド派手で残酷でスピーディなアクションが仁王の特長だった。これはFF Originにもほぼ受け継がれている。


パリィ

 パリィを駆使して攻撃をリズミカルに封殺するボス戦は本作の大きなウリだが、これはSEKIROというよりも真柄直隆戦の回避→攻撃→回避→攻撃…のリズムを想わせる。あの戦闘の気持ち良さがクセになっている秀千代殿は多いだろう。仁王のガワをFFにし、気持ち良く食べきれるサイズに切り分けたのがFF Originであり、あの恋しさを満たしつつ20時間程度でサッパリと終われる。体験がモチベに沿って終わってくれるというのは、食べきれない程に積み上げられるより気持ち良い物だ。



共通する問題点

本作は特定の層には刺さるであろう一方で一般評価は奮ってはおらず、メタスコアも大作級としては最低ライン。地雷臭にはそれなりの理由があり、お薦めはしたいのだが、以下の事も同時に判っておいて貰いたい。

・FFを名乗るにはリッチさが足りない。

ステルス

 動いていればカッコ良いのだが、カットシーンや移動中はテクスチャの描き込み不足や頂点数の少なさが目につく。割り切ってリソースを割いてないのはコエテクらしい所だが、FFを名乗る(そしてフルプライスをとる)からには極上クオリティなグラが欲しかった。PC版の最適化不足も痛い。

・育成システムが煩雑

ジョブレベル

 ジョブ育成と装備厳選でステータスを上昇させるシステムが有るが、やりこみ段階になるまでは拘る理由が薄い。武器だけ選んで「さいきょう」で済ませてしまってもクリアに支障は無く、つい面倒臭さが勝ってしまう。

・「比べるな」と言って無理がある

文章で説明するストーリー

 「ELDEN RINGとは別物なのだから比較するな」という気持ちは判るが、無理な話だろう。自分の金と時間を注いだ体験は、我々消費者にとっては同じテーブルに出された料理だ。娯楽というお気持ちと自己責任が支配するサバンナにおいて、ELDEN RINGが『正解』であり、FF Originは『邪道』というのは嘘偽りない現実だろう。クソゲーでは断じて無いだろうが、癖のある逸品である事を理解した上で可処分リソースを注いで貰いたい。願わくば、本作のやや斜め上に突っ走た勢い良さが、より多くの人に受け入れられる事を。

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