見出し画像

【詩】 『よごれた砂』

うつらうつら…
濡れた砂浜に 足跡を残して歩くのです
這うように私を侵食する 赤黒の闇
消えては現れる手の甲をつねると
まだ 痛みをかんじます

波に終われ 消えてゆく足跡
這いつくばり 掻き集めた砂は泥のようでした
私はその手で「私」を創成し 生きるのです

うつらうつら…
乾いた砂浜に 足跡を残して歩くのです
粉々の私を 誰が掻き集められるでしょうか
掬い上げたそばから 風にさらわれ
未完成なまま 散ってゆくのですから

ならば訪れる波に願いましょうか

いっそのこと 消してくださいと

もはや無音の日々に
「私」は存在しないのですから…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?