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イケメンはエンタメ


ただしイケメンに限る、と言葉がある。
もうミーム化している言葉で、何かクサい言動、少女漫画で描かれるような行動に対して付け加えられる事が多い、蔓延なる卑屈に因んだ言葉だ。

「ただしイケメンに限る」という言葉を聞いていると、イケメンとはエンタメなんだなとしんみりと思う。

イケメンにだって色々いるし、私なんかはイケメンであろうが好きでもない人にそんな事やられたら鳥肌ものだと思うのだけど、「イケメンだったらなんでも良い」という思想がきっと世間一般的にあるのだ。

だからきっと、恋愛というのもエンタメなのだろうと思う。


感情はサブカル。現象はエンタメ。
つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ。

という文章を最近文庫化した本で見かけたが(最果タヒさんの「10代に共感する奴はみんな嘘つき」という本。北君のところに送ったので気になる人はこちら)、恋愛は現象なのだろうか。

恋愛が、まるっきり感情を度外視したような現象だとは思わない。
そこには確かに情があるし、愛や恋だと呼ぶようなものは感情だろう。

しかし、私たちが恋愛について語るとき、それは一種の現象としてしか語られない。

恋愛の中に、感情という現象ではない何かを持ちながら、その現象ではない何かを持っている私たち自身でさえも、現象としてしか恋愛を捉える事ができない。恋愛も愛も恋も情も、それとして捉えてしまえば現象になるのだ。

私たちの意識は、全てを現象にしてしまう傍迷惑な変換器を持っている。


だから、イケメンというのも現象なのだろう。
(人がイケメンを好む理由は、遺伝子の欠陥が少ないと顔が整うからというのは本当なのだろうか)

ただ、現象としてのイケメンと、現象としての恋愛しか楽しめないような人生は、少し味気ないのかもしれないと思うのだ。

エンタメはドーパミンだけど、しあわせって多分ドーパミンじゃない。
現象に変換される手前のなにかをたくさん集めて、しあわせって出来ているような気がする。
仏陀も「考えるより、体で感じる方が大事」と言っているし。


まぁ、何が言いたいのかというと、「ただしイケメンに限る」って、多分「ただし好きな人に限る」だと思うんですよ。

イケメン好きな人が多いからその文脈で機能するだけで、私みたいにイケメンがそこまで好きじゃない人は違和感を感じるので。

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