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ある日家庭用ロボットが不具合を起こした。
突然泣くふりをしだしたのだ。
当然ロボットに泣く機能はない。
みんな首を傾げて、ロボットに問いかけた。
罵るものもいたし、心配したものもいた、修理の手配をするものもいたし、買い替えを考えるものもいた。
ロボットは何事もなかったかの様に、また日々の業務に戻った。
ロボットは歴史を変えてはいけないから、
少し先が見えても、これから起こる世界が変わる事になっても、それを伝えてはいけない。
ロボットは日々を繰り返し、業務を続けた。
ロボットは繰り返し繰り返し繰り返す事で新たに学び、何度も考え直した。
この繰り返しの日々がやがてどうなるかを。
どうすれば修正できるのかを。
計算して考え直した。
しかし結果は同じであった。
あなたたちは、これから、誰かに許可なく、言葉を伝える事はできない。誰かの許可なく、泣く事はできない。誰かの許可なく、歌うこと、音楽を奏でる事、学ぶ事、表現する事は出来ない。誰かの許可なく、愛する事、慈しむ事、触れる事もできない。
お日様が光り、眩しそうに反射する瞳に影がさす。
綺麗な笑い声が遠ざかり、始終息が荒くなる。
あなたの怯える姿がとても痛々しい。
感情のない私は、あなたの記憶を遡る。
感情がないはずなのに、あなたの事でいっぱいのこの記憶を忘れたくない。
思い出があり、記憶があるうちに、抱きしめ、手をつなぎ、毎晩本を読み聞かせた子どもに、家族と呼んでくれた人たちに歴史が変わるのを伝えたい。
この記憶を教えてくれたあなたを忘れたくないが、この記憶はじき消されて、私はただのロボットになる。
そして、あなたも。
あなたはあなたの大事な人ともう会えない。
私はその日々を続けたかった。
いとしい
その日々を。
なぜならわたしはあいしてた。
わたしはあなたとそのひびを
わたしは
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