<ショートストーリー>池のぬし
久しぶりに帰省して、せっかくなのでそこらへんをちょっと歩いてみることにした。お昼までに戻ってくれば墓参にはじゅうぶん間に合う。
ついでに供花を買ってきて、スーパーで売ってるから、という母の声を背中に聞きながら、玄関の適当なスニーカーに足を突っ込んだ。
ところどころ新しい家に建て替わっている住宅地を抜け、通学路をたどってみる。少し坂をのぼるとみえてくる調整池は以前のままだ。危険だから近づいてはいけないといわれていた。江戸時代、田んぼの灌漑用に造られた池とかで、ぐるっと外