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うちの長男は「きょうだい児」です

『きょうだい児』の定義

うちの長男は、典型的な『きょうだい児』です。

『きょうだい児』とは、病気や障害がある子の兄弟姉妹のことです。

noteで有名な岸田奈美さんも『きょうだい児』といえます。ダウン症の弟さんのことを著書やnoteに書かれています。(弟さんのこと以外のご家族のこともたくさん書かれてます)
岸田さんの文章は、明るくてゲラゲラ笑えるんです。そこがすごいです。

岸田さんのご活躍もあり、最近はマスコミで取り上げられることも増え、認知度が少し上がってきましたが、
『きょうだい児 』で1文字空けて検索すると、
『きょうだい児 我慢』
『きょうだい児 ストレス』
『きょうだい児 結婚できない』

等、なかなかに厳しい検索結果が並びます。

きょうだい児の特徴

一般的に、きょうだい児というと、
親の期待に応えようと自分の気持ちを押し殺し、いい子を演じてしまう優等生タイプのイメージが強いと思います。

一方、長男は、親の言うことは聞かないし、情緒不安定で問題行動を起こすタイプでしたが、そのタイプの人も多いようです。

前者が、大人になってから後者に変わる例もネットでよく目にします。

家族で出掛ける時に、よくある出来事

家族で旅行に行ったときのこと。
長男は小学校低学年、次男は幼稚園生くらいでした。
細かいことは覚えてないのですが、旅行の途中で次男が疲れてしまい、背負わないといけなくなりました。
その日は、やたらと荷物が多かったのです。

主人がおんぶをすると、今まで持っていた荷物を他の人が持たないと進めません。私だけでは持ちきれず、
私「長男くん、荷物持って。じゃないと宿に辿り着かない。協力してくれるよね」
長男「やだ!
主人と私「は???持てるでしょ。うちは大変なんだから家族みんなで協力しないと旅行が成り立たないんだよ、わかるでしょ?」
長男「俺だって疲れてる。俺は自分の荷物は自分で持っている。次男は荷物も持たず、おんぶで楽しててズルイ。俺はいやだ

きょうだい児は、親の期待に応えようと健気にいい子を演じるんじゃないんか〜い!!

たまの旅行くらい楽しく過ごしたかった母の心の声

今でこそ笑ってツッコめますが、当時は、
なんであいつは弟が困ってるのに助け合えないのか”とパパは旅先で激怒。
私は疲れ果て。
空気の読める次男は
ぼく、大丈夫。歩くよ。」(←実際には歩けない。その気遣い発言が、さらに長男をイラ立たせる)

長男は最後まで家族の荷物は持たない。と最悪の状況でした。

我が家はいつもいつもこんな感じでした。(わりと平和な思い出話を書きましたが、実際はもっといろいろ大変でした)

問題行動が多かった小学校時代の長男

長男は学校でも問題行動が多く、家庭でも非協力的だったので、どこに行っても叱られてばかり。

学校でも習い事でもトラブルが多かったのに、お友達関係のフォローもできなかったし、勉強もみてあげられなかった。先生と良好な関係を築く心の余裕もありませんでした。

“長男にはかわいそうなことをした”今も涙のにじむの母の振り返り

楽しみにしていた予定が中止になること数知れず。
・次男の入院や闘病のため私も不在で、寂しい思いをしたこと数知れず。
・次男のことで友達にからかわれたけど、親には言えず。(後で祖母=私の母から聞きました)
・親子遠足に、長男だけ、おばあちゃんが来たり。(ちょっと気恥ずかしい。けど、来てくれるおばあちゃんにそんなこと言えない)
・次男の退院直後にインフルエンザに罹り、次男に感染しては危険、と即、祖父母宅に預けられたことも。

みんなにわかってもらえたら嬉しい「きょうだい児」のこと

寂しいからといって、問題行動を起こして、他人に迷惑をかけていいわけじゃない
家族旅行のときだって、自分のできる範囲で協力すべきだと思う!
大変な思いをしているのは、病弱児とその「きょうだい児」だけではない。

でも、いつも心のどこかが満たされず寂しい思いをしている「きょうだい児」たちのこと
きょうだいに寂しい思いをさせている、と申し訳ない気持ちでいっぱいの保護者のこと。
少しでもわかってもらえたら嬉しいなと思います。

少しずつ成長する長男

そんな長男も、中学3年生になりました。
相変わらずの長男ですが、
中学に入ったころから、家族で出かけるときに、一番重い荷物を持ち、時には弟をおんぶしてくれるようになりました。

そして、次男の体調が悪いときも、バカ話で次男を笑わせてくれます。

※今は、次男の体重も増え、長時間おんぶはできないので、遠出するときは車いすも使っています。

「きょうだい児」とどのように接したら良かったのか?今、振り返って思うこと

ここまで書いてきた通り、うちは、「きょうだい児」の接し方がうまくいっていたわけではありません。これからも問題があると思います。

それでも私なりに大切だったと感じたことをまとめて終わりにします。(私自身はできてなかったので、反省を込めて)

・きょうだいの寂しい気持ちや不安な気持ちを聞いてあげること

・たまに、きょうだいと二人だけで、話したり遊びに行く時間を作ること

・きょうだいの気持ちを受け止めたり、何かを教えたり、遊んでくれる第三者を探すこと

・祖父母や近所の人や先生、相談機関など、助けてくれる人を多く見つけて、できるだけ人に頼ること

・きょうだいにとって素晴らしい第三者と出会えたとしても、親以外には埋められない心の隙間みたいなものがあることを心に留めておくこと

・勉強でも趣味でも何でもいいので、自分に自信が持てるような得意なことを見つけること

・「あなたは健康なんだから一人でできるでしょ」
「お兄ちゃんなんだから弟の面倒見て当たり前」
「うちは大変なんだから手伝って当然」
「親は先にいなくなるのだから、きょうだいのあなたが支えてくれないと困る」(←これは思ってないので言ったことない)
などと、言わないこと

参考文献

・きょうだいは、(中略)不安であったりスッキリしなかったりする気持ちを持ち続けるなど、ストレスフルな立場であることが分かっている

・孤立感、両親への不満、家庭内コミュニケーションの不足、不十分な知識と感染の恐れ、罪悪感と自尊感情の低下といったネガティブな心理的変化がきょうだいに生じる可能性がある

病気の子どもの療養によって自身がさまざまな我慢を強いられることに不満を抱くものの、懸命に病気と向き合っている病気の子どもを妬んだり恨んだりしてしまうこと自体に罪悪感を抱き続け、自尊心の低下をもたらす例もある

・病気の子どものきょうだいが、どのような気持ちも否定されることなく、安心して話せる場を用意することが望ましいといえる。

病気の子どもを励ましたり勇気づけたりするのはきょうだいの役目であるなど、療養中におけるきょうだいの役割についても一緒に話し合い、きょうだいの自尊心や自己有用感を維持する手助けをすることが望まれる。

『病弱児の教育テキスト』(日本育療学会)第5章 3「病弱児のきょうだいの問題」より抜粋


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