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映画まとめ2020

2020年はたくさん映画を観た。
102本、自分史上では考えられない本数!
年内にまとめるつもりが、もう9日です。

私はロックバンドが大好きなので、いつもならライブ年間本数が100本くらいなのだけど...
2020年は世界中大混乱で、そうもいかない年だった。
それで映画に割く時間が自ずと増えた。

映画館は三密回避空間なので、結構安全だと思う。
人と会うより、たまに映画館に行く人が増えたらいいな。
(それでなくても集客に悩んでいるミニシアター、この1年で相当つらい状態だと思う...潰れないでね...)

というわけで、「今年初めて観た映画」の中から「すき!」と思ったものをまとめてみます。(順不同、公開時期問わず)

①ジョジョ・ラビット

順不同とは言ったけど、これはもう2020年どころかオールタイム・ベスト!
ストーリー、キャスト、画面構成、すべてが大好きだった!

ナチスの時代の片隅で生きる、ある親子と少女の話。

臆病な少年「ジョジョ」の目線で進んでいく。
ナチスやヒトラーが憧れの対象となっているところから、ユダヤ人の少女に出逢い徐々に変化していく気持ち、価値観が丁寧に描かれている。

キャストの魅力がものすごく強くて、ジョジョ役のローマンくんは最高にキュートだし、親友ヨーキー役のアーチーくんの愛おしさったらない。
それに、スカーレット・ヨハンソンとサム・ロックウェルがまじでかっこいい。
あんな大人になりたい。

スカヨハ演じる母、強くて真の美しさを持っていて、本当に素敵だった...。
監督兼"イマジナリー・フレンド"ヒトラー役のタイカ・ワイティティも、めちゃくちゃヒトラーですごい。

愛に満ち溢れていて、切なくて、可愛くて。

画面も可愛い色と構成で、見ているだけで本当にしあわせ。
美術的にもとても優れていると思う。
(※おそらくウェス・アンダーソンの影響あるんだろうなーって感じのかわいい画面)

劇場で大大大号泣映画だった。もちろんBluRayも予約購入。

ナチス時代のおぞましさを知っていると、この映画はあまりに綺麗に描かれすぎているかもしれない。
でも、洗脳された子供に見えていた世界は、きっとこうだったのだろうと思った。それが恐ろしいところ。
彼らは正しいことだと信じて戦わされていたのだから。

この映画では、ナチスへの批判を、皮肉たっぷりにコミカルに描いている。

アカデミー賞脚色賞を受賞したのも納得です。
ジョジョとヨーキーのハグ、きっとみんなが大好きだよね!

『愛は最強』!

②素晴らしき哉、人生!

名作だとは聞いていたものの、期待を大幅に上回った。
見終わったあと「素晴らしき哉!」と叫びたくなる。たぶん、心の中で叫んでた。

途中まで苦しすぎて辛い分、最後があまりにも素晴らしい!
辛かったことがぜんぶぜんぶ吹っ飛ぶ!

現実の人生なんて、この映画の中盤までのように「苦しい、辛い、なぜ自分ばかり・・・」と言いたくなることが多いんじゃないかと思う。
でもきっと、これを見たら生きてるだけで最高って気分になれる。一時的にでも。
最後20分、幸せすぎて大号泣、嗚咽。

全世界のちょっと疲れた大人に観て欲しい(子供が観ても、良さはきっとほんのちょっとしかわからない)。
この映画は、今後何度も見返すことになるだろうな。

Amazonでポチって、実家の親に見ろと送り付けた。

③海辺の映画館 ーキネマの玉手箱ー

大林宣彦監督作品、初体験。

これはもう、いい映画とかいい話とかそういう言葉じゃ表現できない作品で、完全に異次元。
戦争映画・・・なんて一言では括れない。

大林監督の遺作にして、最高傑作。
(このあと他作品も見てみたけど、これには敵わなかった)

まず、導入部分から到底理解できない映像を見せられる。
「ななな、何事!?」とビビリ散らかしているうちに、いつのまにやら更なる謎世界へ誘われる。
中原中也の詩をあちこちに散りばめ、セリフも非常に独特。画面にはコラージュ。

演技しているのに、あとからセリフを追加するためにアテレコをするという作り方をしていて、本当に不思議な感覚になる。
口の動きより言葉数が多いのもあるし、アテレコと画面のコラージュが相まって、切り貼りされた謎の調和が生まれる。

まるで体験したことのない世界。

3時間のうち半分以上はものすごく混沌としているのに、途中から一気にこれまでの意味を理解できる構成になっている。
「わかった!」と思った瞬間、何の感情なのかよくわからないまま、悲しくも嬉しくもないのに、滝のように涙を流す羽目になる。

なにがなんだかわからないままめちゃくちゃ泣いた。
終映後のお手洗いでも涙が止まらないレベル。

私達は、世界の、歴史の、傍観者でいてはいけない。

余韻がひどかった。一生忘れられない映画体験になった。
これは間違いなく人生観を変えてしまう映画。

大林監督の言いたいことが、これでもかと苦しいくらいに詰め込まれていて、まさに "玉手箱" !

④雨に唄えば

こんなにもクオリティの高いミュージカル映画を、この時代に作っていたことにただただ驚く。

そしてひたすらに楽しい!音楽も当たり前にいい。
見終わってすぐにサントラをポチった。

無声映画~トーキー映画への変遷の時代。
そこを描くことで、歌や音楽や声が与える影響を楽しく(ときに辛辣に)表現している。

歌もすごくいいし、なによりダンスのクオリティがハンパじゃない。
まるで疲れなんて知らないかのように、終始楽しい笑顔で軽やかに、圧巻のダンスを繰り広げてくれる役者陣。

これ、CGのない時代ですよね?
正直、最近のミュージカル映画がチープに思えるくらいの完成度です。

楽しい気分になりたいときにうってつけ。

⑤インターステラー

お察しの通り「TENET」の公開をきっかけに初鑑賞。

2020年に至るまで、クリストファー・ノーラン監督の作品はなんと一つも観たことがなく、世間がものすごいテネット祭りを繰り広げていたので気になって仕方なかった。

テネット公開にあたって、様々な劇場でノーラン過去作品の上映をしていたので、まず「メメント」を観てみた。これがノーラン作品初体験。

メメントは、10分で記憶を失う男の話。構成が構成だけに、忍耐が苦手な人にはもしかするとつらい(面白いより疲れる)映画かも。
ただ、見終わっていちばんに思ったのは、この複雑怪奇なストーリーを組み立てそれを映像化してしまったその変態性に「天才と言われるわけだ」と。

で、次にテネットを劇場で観てやはりすごかったので、3作目として手を出したのがインターステラーだった。
個人的には、テネットよりインターステラーの方が圧倒的に好きです。

宇宙と時間の神秘、家族愛。

「空想とも言えるが、現実にないとも言い切れない」世界を描く天才だと思った。(宇宙大好きマンなので最高だった)
わくわくどきどきが止まらない。

あまりの面白さに、見終わったあとの興奮がしばらくおさまらなかった。

好きな映画は数あれど、ここまで「あー面白かった・・・!!!!!!」という後味の映画は初めてだった気がする。
これは劇場で観たかったなあ。本当に衝撃的な面白さ。

マット・デイモンをちょい役的に使っちゃうあたりもすき。笑
(ちなみに、マット・デイモンの役名は「ヒュー・マン」。人間って結局こうだよねという暗喩なのか・・・)

そのあと観た「インセプション」もめちゃくちゃに面白くて、すっかりノーラン監督のファンに。
でもやっぱりインターステラーのぶっ刺さり様はずば抜けてたなあ・・・。

次はバットマンシリーズに挑戦してみる予定。

⑥めぐり逢えたら

正直舐めてかかってました。

どうせかゆいラブコメお涙頂戴映画だろうが観てみるか~、くらいのテンションで挑んだ。
たしかにラブコメなんだけど、私の想像していたものとは全然違った・・・

スマホどころか携帯電話すらなかった時代に、アメリカの端と端で起きたマジック(運命)の話。

個人的に一番惹かれたのが、二人の出会いのきっかけがラジオであること。

メグ・ライアンが一人車の中でラジオを聞き、知らない男の話に笑い、涙し、心が寄り添うその流れがものすごく素敵・・・。

今だったら、すぐにSNSを見たり、どこに勤めていて年収がいくらで休日はカフェ巡りをしているだとか。
そんなどうでもいい薄っぺらい情報で人を判断しがちだけど・・・
顔も知らないどこかの誰かの身の上話で心が通うなんて、めちゃくちゃロマンチックじゃないですか?
あーあ、携帯なんてなくなればいいのに!(スマホ依存症人間の戯言)

ただの男女のラブコメではなく、トム・ハンクスの息子(役)が大活躍するところがまたすごくいい。
このおかげで、安っぽいラブコメじゃなくて、愛の話としてまとまっている気がする。

そして、めちゃくちゃいいのが音楽!
劇中で使われている音楽が終始美しくロマンチックで、クリスマス~バレンタインの素敵な日々を彩ってくれる。

これも何度でも見たくなる映画となった。(すでに4度ほど鑑賞)

⑦ダージリン急行

大好きウェス・アンダーソン監督!

ウェス作品はどれもかわいくてクスクスできてすごくツボなんだけど、とくにこれが好きだなあ。
グランド・ブダペスト・ホテル」もとってもキュートで好きだけど、ダージリン急行の方が "何度も見たくなる" 感覚は上をいく。

疎遠だった三兄弟が、父親の死をきっかけに揃ってインドを旅するロードムービー。

旅を企画した長男がことあるごとに「これは心の旅だ」と言う。
この言葉がじわじわくるのだけど、話が進むにつれて本当に "心の旅" になっていくのでほっこり温かくなる。

道中で起きる出来事も面白いし、なによりインドの匂いがしそうな映像美に最高に心惹かれる。
本編のスピンオフとして先についている短編、「ホテル・シュヴァリエ」もウェス臭が凝縮されていて良い。
ナタリー・ポートマンめちゃくちゃ美しいです。

キャストはいつものメンツだけどやっぱり最高。
インドに行ってみたくなっちゃう。

⑧鉄コン筋クリート

素敵な絵を描く知り合いがおすすめしてくれた映画!
ぜんぶが最高だった。

ほとんどファンタジーなんだけど、本質的に描いているのは人間の強さと弱さで...アニメ―ションだけどすごくシリアス。
大人が楽しめるアニメ。

表面的には、シロとクロという二人の子供が牛耳っている街を、大人が乗っ取ろうとする話。
その中にあるメッセージとしては、「人はひとりでは生きていけない」だと思う。

この映画のすごいところのひとつが、アニメーションの緻密さ。
街の描写の細かさがハンパじゃない。
動きも非常に滑らかでダイナミック。迫力のある映像。

それから、シロとクロの声優を務める蒼井優と二宮和也がまたいい。
特に蒼井優は言われても蒼井優とはわからない・・・不思議で純粋なシロの雰囲気を作り出すのに、強く影響している。

本当によくできたアニメーション映画だと感じた。

⑨ライオン・キング(超実写版)

超実写版ってどういうことなのかわかりにくいけど、正確にいうと「非常に精密でリアルなフルCGアニメーション」。
ものすごいです。本当の実写のよう。

観た人のレビューを読んでいると、「実写版」と呼んでいたり「どうやって撮影したんだろう?」みたいなことを書いている人までいて、いや本当にそのレベルですごい映像なんです。

もともとディズニーのライオン・キングは大好きで、吹き替えを賀来賢人くん(←好き)が担当するとのことで観てみようと思ったのだけど、映画として大変素晴らしくてBlu-rayも買った。

もちろんストーリーは「ライオン・キング」と同じなのだけど、表現は実写に近くなるようすべて工夫されており、全く違うものとして楽しむことができる。
サバンナの自然、無数の動物たち、草花、虫・・・
まるでNHKのドキュメンタリーを見ているかのような映像美。

子供のころのシンバとナラがかわいくてたまらない。
動物が好きな人は見ているだけですごく楽しいと思う。

特に印象深かったのは、ジャングルで暮らすシンバのたてがみの抜け毛がサバンナへ運ばれる過程。
出てくる虫たちの表現が細かく、美しく、こだわりを強く感じる。

なんと、まず広大なサバンナ全体をCGで作り上げてから、VRゴーグルをつけて実際にカメラを回して撮影している。
言葉でいうと簡単だけど、草の一本一本まで再現したサバンナ全体を作るのって気が遠くなるような作業です...。

字幕も吹き替えも観たけど、吹き替えでも全く違和感なかった。素晴らしい。
Blu-rayの特典映像として入っていた制作発表の様子、制作の舞台裏を観たあとだと感動して泣いてしまった。(まさかの特典映像で涙)

⑩ライフ・イズ・ビューティフル

名作だし、有名だし、名前だけは知っていた。

私はタイトルとビジュアルで惹かれるかどうか+評価がそれなりに高いか、で観る映画を決めており、基本的にそれ以上の前情報を入れずに観ることが多い。
この映画についても、まさかナチス時代の話とは思わずに観始めた。

最初は何の話なのかと思った。
ヒューマンドラマ?ラブコメ?なんだこれ?

後半、徐々に暗雲立ち込め、ユダヤ人迫害が始まる。
知識があれば恐ろしいことが起きているとわかるのだけど、主人公のグイドが大変陽気で楽しくて優しい人物なので、映画の雰囲気は明るいまま。

子役がものすんごく愛らしく、父にも子にも感情移入してしまいもう大変。
グイドの妻・ドーラも素敵なのだけど、なんとこの二人(ロベルト・ベニーニと、ニコレッタ・ブラスキ)は実際に夫婦なのだそう。素敵すぎる。

強く大きな愛の話だった。こんなに温かい嘘は他にないと思う。
紛れもない名作でした。

以上、10作品が特に心に残った映画!

なのだけど、他にも良かった映画はたくさんあって...
best10には入らなかったものの素晴らしかった作品を箇条書きで。


その他印象に残った作品一言紹介


パレードへようこそ
実話。サッチャー政権下で、LGBTの人々と炭鉱夫が協力して政府と戦う話。まるで映画のような事実。役者も素晴らしかった。

ライオン 25年目のただいま
実話。5歳で迷子になってしまった少年の奇跡を追う。子役がしぬほどかわいい。最後涙とまらん。

サウルの息子
ユダヤ人強制収容所で "ゾンダーコマンド"(=同じユダヤ人をガス室に入れ、遺体の焼却処理をさせられる役割)として働いた男の話。
苦しく単調な構成だが、歴史的に非常に重要な主題を扱っており、ものすごく印象に残る。

ようこそ映画音響の世界へ
映画というよりドキュメンタリー。無声映画の時代から現代の音響表現の多様性に至るまでが、音響のプロたちの口から直接語られる。
彼らのおかげで今の映画体験があると実感できる素晴らしい内容。

それでも夜は明ける
実話。奴隷制度が合法だった時代、「自由黒人」の男が奴隷として囚われた話。あまりに恐ろしい事実。
黒人女性が肉がむき出しになるまでムチで打たれるシーンが脳裏に焼き付いて離れない。

戦場のピアニスト
実話。名作。ナチ時代の残酷な史実。
ただ、ストーリー的には救いがある。エイドリアン・ブロディが素晴らしい。

プリズナーズ
非常によくできたサスペンス。宗教と事件が絡み合い、カメラワークも工夫があり面白い。
キリスト教を知っているとより楽しめる作りになっているが、あとから解説を読むだけでもかなり面白いと思う。キャストが全体的にとても良い。ポール・ダノが適任すぎ。

シカゴ7裁判
実話。ベトナム戦争抗議デモの見せしめのために逮捕・裁判にかけられた7人の男の戦い。ひどい政治的裁判で、もっと世間に観られるべき映画。
Netflixが権利を買い取り、Netflixと一部の劇場でしか見ることができなかった。ストーリー構成が非常にうまく、惹き込まれる。役者もいい。

インセプション
ノーラン作品、夢の中に入り込む話。
今敏監督の「パプリカ」(←これも好き)が基になっていると言われているみたいで、たしかに根底はそうかもしれないけど、インセプションはさすがノーランという複雑な構成で圧巻。
これに渡辺謙が起用されたのは日本人の誇り。

落下の王国
自殺願望のある男と腕の怪我で入院している少女が、男の作るおとぎ話を通して心を通わせる話。
現実世界のセピア色と、おとぎ話の世界の鮮烈な色使いの対比で視覚的に非常に美しい。少女役の子の魅力も大変強く、終盤はボロ泣きした。
ターセム・シン監督×日本人デザイナー石岡瑛子のタッグ。

2021年もいい映画にたくさん出会えますように!

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