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イギリスから来た男

The Limey (1999)

 「セックスと嘘とビデオテープ」のスティ-ブン・ソダーバーグ監督、テレンス・スタンプ主演の犯罪ドラマ。共演はピーター・フォンダ、バリー・ニューマンほか。
 刑務所から出たばかりの英国人(スタンプ)が娘の死を知らされ、LAにやって来て真相を追うというストーリー。

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 公開時に見て以来ですから、見るのは20年ぶりですねえ。スタンプは大好きな俳優ですが、「コレクター」「世にも怪奇な物語(悪魔の首飾り)」「テオレマ」以降は特に見るべきと思える出演もなかったのですが、リアルタイムで初めて彼がかっこいいと思えた作品でした。いっぽう、ソダーバーグ得意のクロスカッティングやフラッシュバックがどうもスカしているようで好きになれなかったり。

 改めて見ると、ようやくこっちが慣れたからか、そうしたスタイリッシュな演出は結構楽しめましたね。20年前はやばいジジイぐらいにしか思ってなかったスタンプの役どころも、悪党なりの倫理に基づいて無駄なくスマートに行動していたんだなあ、と思えました。娘の死の真相を知る音楽プロデューサー(ピーター・フォンダ)も、20年前はただのいけ好かない金持ちとしか思いませんでしたが、1人では状況を抱えられない人としての弱さが見え隠れするいい演技/演出だと感じました。

 「バニシング・ポイント」で主演したニューマンは、車を運転するシーンがあったんですね。セルフ・パロディですか。(笑)

 スタンプの思い出として挿入される映像は、1967年の「夜空に星のあるように」という映画からの引用。スタンプは人妻(キャロル・ホワイト)の恋人で、やっぱり強盗をはたらき刑務所に収監される役でした。本作のラスト、この映画からスタンプがギターを弾き語るシーンが引用されてますが、左利きだったんですね。本作でも劇中で銃を構えるのは左手でした。

 洗練性が先行して、熱量の足りない地味な映画という以前見たときの印象はそんなに変わらなかったのですが、思っていたよりも奥行きのある映画だったんだな、というのが今回見た感想です。

 ふと思ったのが、筋書き自体はかなりシンプルなので、まったく別な監督・主演の本作も見てみたい気がしました。主演で言えばマイケル・ケイン(高齢過ぎますね…)とかゲイリー・オールドマンとかヒュー・グラントとか。コリン・ファースなんかもよさげ。

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