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#7 絶対に誤解している消防団の活動について

こんにちは、ネコカスです。

先日、僕が住む地域では消防の仕事始めの儀式である「出初式(でぞめしき)」が開催されました。

今回は消防団に所属して15年ほどの経験から、消防団の活動についてお話したいと思います。

これを読むと消防団に対する見方が変わります。

ただし消防団の活動は地域や分団により若干の違いがあるので、あくまでも僕が所属している地域でのお話です。
消防団という組織の、ひとつの例としてお読みください。




誤解されやすい消防団の活動


皆さんは、消防団と聞いてどんなイメージを持っていますか?
僕が消防団に入る前に思っていたイメージは、飲み会ばかりしているです。

たしかに昔は集まるたびに飲んでいました。
そこは間違いではない事実です。

だけど新型コロナウイルスの蔓延や時代背景により、消防団の悪しき風習も徐々に改善されてきています。

コロナ禍以降、詰所での飲食禁止、敷地内のタバコも禁止となりました。
消防団が火事を起こしたら洒落にもなりませんからね。

拘束時間も昔は長く、19時ぐらいに集まり早くても22時までいないといけない雰囲気でした。
帰りたい人は先輩たちの空気を読んでこっそり帰る感じでしたね。

僕は22時になればすぐ帰っていたのでわかりませんが、最後の人達は23時ぐらいまで飲んでいたかもしれません。

それが今では作業と打ち合わせが終われば21時くらいにはみんな帰ります。
拘束時間がかなり軽減しました。

ダラダラした飲み会と拘束時間が嫌で、「残業なので今日は行けません」とよくサボっていました笑
最近は本当の用事以外はほぼ参加しています。

The昭和のおじさん達から世代交代していったのも、大きいな要因かもしれません。



消防団の主な活動内容

では、僕ら消防団がどれくらいの頻度で集まり、集まって何をしているのか簡単に説明します。

月に1回の機械手入れ

地域にもよりますが、僕の分団では毎月15日前後に集まり、機械の手入れをしています。

機械とは何なのか。

消防車には水を放水する為のポンプが積載されています。
消防車と一体になっているポンプもあれば、数人で持ち運びできるポンプがあります。

そのポンプにホースを連結して放水し消火するのです。
また、夜間活動のために小型の発電機も載せています。
そして消防車自体も機械です。

そのポンプと発電機や消防車、その他の備品がいつでも使用できる状態であることを毎月点検しているのです。

燃料が減っていないか、ポンプと発電機に異常がないか、消防車のサイレンやライト等は大丈夫かの確認ですね。

機械に詳しい人ならわかると思いますが、機械は放置しているとさまざまな原因により、いざ使うというときに動かないことが多々あります。

車にしばらく乗っていないとバッテリーが上がっていたとかの経験があるかもしれません。
まさにその状態です。

火災はいつ何時起こるか誰にも予測できません。
1秒でも早く駆けつけて消火しないといけないのに、駆けつけたはいいけど機械が動かないじゃ話にならないのです。

そうならないために常日頃から手入れをしに集まっています。


活動報告

その他には、消防団としての活動の報告や、行事の打ち合わせをしています。

最近はグループLINEでもやり取りしていますが、主に集まるのは月に1回なので、その間の報告事項を話し合います。
組織である以上変化はつきものです。
今後の展開などがこの場で報告されます。

また年間に計画された行事があります。
その日程確認や集合時間の調整なども行います。


主な行事

年間の主な行事です。

  • 出初式

  • 春季訓練

  • 秋季訓練

  • 夜間訓練

  • 機械講習

  • 消防署での訓練

  • 警察からの運転講習

  • AED講習

  • 年末の夜警

厳密に言えばもっとありますが、大体これくらいです。



行事や訓練の内容

出初式

消防団、消防署、その他合同で行う年の初めイベントです。
普段はあまり着ない半被が消防団の正装となります。
表彰式や年初めの挨拶などの式典があり、行進したり放水したりして一般客に見てもらいます。
これがあると今年も始まったなと思い、気が引き締まりますね。


春季・秋季訓練

春季や秋季の訓練は早朝訓練です。
7時開始なので6時ぐらいには集まって、準備します。
各分団がいろんな場所からいくつものホースを持って走り、連結し場所によっては放水までします。

この訓練が重要なのです。

火災が起きればみんな慌てます。
当たり前です。
非常識かもしれませんが、火事という非日常に加え、早く火を消さなければという思いで血が騒ぎ興奮するのです。

僕も初めて消防車でサイレンを鳴らして走ったとき、興奮しました。
僕ら消防団はサイレンを鳴らし、緊急車両として走行することが許可されています。
普通に生活していてそんな車に乗ることは救急車じゃないと味わえません。

ましてや火事の最前線まで行くのです。

そんな異常な中での活動となると、テンパってわけのわからない行動をしてしまいます。
結果、消防団員がケガなんてしたら大変なことです。
そうならないために、さまざまな事を想定して訓練するのです。


夜間訓練

消防署での訓練や夜間訓練も同様です。
消防署では、普段の疑問や機械の不調などを見てもらい指導してもらいます。

また、集団行動の礼式訓練もあります。
これは少しダルいです。
基準!集合!右へならえ!番号!気をつけ!などの号令に合わせて規律を正します。
なんだか学生時代を思い出しますね。


機械講習・消防署での訓練

上にも書きましたが、消防団はポンプなどの機械を使います。
このポンプの基本的な操作や、仕組みの講習を消防士の方から習います。

僕は本業も機械系なので、正直眠いだけの行事ですね。
でも基本的なことを知らない人が操作すると事故の元なので、大切なことだとは思います。

消防署ではポンプを連結して圧力がどう変わるかを消防士の指導により行います。
普段はあまりしない操作なども、この時に実践するので勉強になります。


AED講習

AED講習については、書いていたら長くなってしまいました。
今度別の記事で詳しく紹介することにします。


年末の夜警

年末の一大イベントです。
皆さんの近所でも、年末の夜になると消防車がカーンカーンと鳴らして走っていると思います。

冬は乾燥して家事が燃え広がりやすいので警戒しているのです。
僕の地域では12月26日から30日までがその期間となっています。

時間はは20時から23時まで。
昔は朝5時ぐらいまでやってたみたいですね。
そのあと本業の仕事に行くので地獄だったでしょう。
夜警も最近は改善されてきています。


消防署と消防団の違い

消防署はいわゆる消防士であり、消防の訓練を受けた公務員です。

僕ら消防団は本業ではなく、非常勤特別職の地方公務員という位置付けで、別の仕事をしながら消防活動をする権限と責任を持っています。
だけど消防団には男女問わず、いつでも誰でも入ることができます。

入団後に初任者講習を受けないといけませんが、年に1回しか開催されないので、その間の活動ができないわけではありません。

消防署は広範囲を管轄していますが、消防団は数十(地域による)の分団により細かく管轄範囲が分かれています。
地域によっては同じ分団の中でも、本部と分駐所と分かれている分団もあります。
ちなみに僕は、◯◯市消防団第◯分団◯◯(町名)分駐所所属といった感じです。

火災が発生すれば、消防署は管轄区域なら遠くても駆けつけます。
消防団は、火災が発生後にメールや電話で連絡が来ます。
それにより出動分団が知らされ、主に火災があった区域の分団と、隣りの地区の分団に出動要請があります。

消防団はどこでも駆けつけていいわけではありません。
出動要請があり、それに応じて駆けつける。
尚且つ、団員は皆仕事をしているので、絶対行かないといけないわけでもないのです。
行ける人が行くが大前提です。

ただ、真っ昼間でない限り、誰も行かないことは絶対にありません。
メールや電話に気付かない限り、みんな団員としての責任を持って夜中だろうが出動します。


消防団は必要不可欠な組織

消防団は地域や消防署にとって必要不可欠な組織です。

理由として大きく2つ

一つ目は、上にも書いた通り、消防局は市内の広範囲を管轄しています。
いくらサイレンを鳴らして走るとは言え、到着には時間がかかります。
地元にいる消防団の方が早く到着できるのです。

そして2つ目、地元民である消防団は水の場所や細かい道に詳しい。
もちろん消防士の方々も地図上では消火栓や川の位置は把握しています。が、実際に行ったことがあるなしは大きな差が出ます。

消火活動に水の確保は絶対です。
どこに消防車を置いて水が取れるのかの判断は、地元に密着している消防団の方がよく知っています。

また場所によっては、水利(水の場所)が火災現場から離れていることがあります。
1台の消防車からホースを連結し延長しても、距離が長ければ長いほど圧力が下がってしまい、十分な放水ができません。
そんな時は下記のイラストのように、ある程度の距離で消防車(ポンプ)を連結します。



早く着いた消防車(消防団)が水利を確保しホースを伸ばす。
距離に応じて途中で消防車(ポンプ)に繋ぎ圧力を高める。
この判断と連携をいかに早く行うかが、慌てふためく火災現場では大切になるのです。

  • 火災現場に早く到着する

  • 水を確保する

  • ホースを現場まで延長する

  • 放水する

  • 交通整理

実際の火災現場ではこのよう動きがメインとなります。



消防団はボランティアではない

飲み会ばかりしていると同じくらい誤解されていると思いますが、消防団はボランティアではありません。

上にも書いていますが、消防団は非常勤特別職の地方公務員です。
ということは活動手当てが出ます。

ではなぜボランティアと思われているのか。

理由は簡単です。
個人に手当てが渡らず、消防団がいろいろな活動で使用していたからです。
これが飲み会ばかりしている資金源となっていました。

今は改善され半年ごとに、個人に活動手当てが振り込まれます。
金額は役職や出動回数にもよるのでバラバラですが、僕の場合は5万前後です。
半年に一度となると多くはないですが、臨時収入と考えると嬉しい金額です。

だけどこれにより、消防団にとって本当に必要な活動費が一切入らなくなりました。
僕のところはなんとかうまくやっているみたいですが、分団によってはいくらか回収しているところもあるようです。
これは各分団ごとの決まりなのでなんとも言えないですね。

また退団時に退職金も出ます。
これも役職と勤続年数によります。

具体的な金額は、、、検索してください。
なかなかの金額です。



住んでいる場所に関係なく、好きな消防団に入れる

消防団は住んでいる地域に関係なく、好きな分団に入れます。
これも知らない人が多いことだと思います。

実際、僕が消防団に入っている理由はこれが大きいです。

僕が入っている消防団は、実家がある場所の消防団です。
結婚して地元から30分ぐらいの街に住んでいるのですが、地元では過疎化が進み、団員の減少が止まりません。

若い時に誘われて一度断ったのですが、結婚して実家を出たので地元のために何かできないかと思い入団したのがきっかけです。

なので団員は全員小さい頃から遊んでいた幼馴染です。
正直、他の消防団なら入ってません。

もっとすごい人は、単身赴任で県外在住なのに地元の消防団に入っている人もいます。
もちろん普段の火事に駆けつけることは難しいのですが、その気持ちはありがたいですよね。

皆さんも、地元の消防団を助けてあげてください。



ハヤブサ消防団は実際の消防団に近い

去年話題になった池井戸潤さん原作の「ハヤブサ消防団」
皆さんは見ましたか?

僕は原作もドラマも両方見ました。
ドラマでは原作とは少し違う展開となりましたが、どちらも面白かったですね。

僕は消防団目線でも見てたので、いたるところに「あるある」と思いながら見ていました。

消防団に誘われ方はまさにあんな感じ。
おじさん達の圧がすごい笑

実際あんな頻繁に火事は起こりませんが、訓練の内容や火災時の段取りはよく再現されていたと思います。

まだの方はぜひ見てみてください。


消防団の活動のまとめ

長々と書きましたがまとめです。

  • 今の消防団は変わりつつある

  • 飲み会ばかりしていない

  • 毎月集まって機械の手入れをしている

  • 訓練や機械について勉強している

  • 地域にとって消防団は必要不可欠

  • 消防団はボランティアではない

  • 消防団は退職金が出る

  • 好きな地域の消防団に入ることができる

  • ハヤブサ消防団は実際の消防団に近い

こんなところです。
今回僕がなぜこの記事を書いたのか。

知っていると思いますが、消防団員の人数がどんどん減少しています。
僕の分団でも以前の3分の2まで減っています。
目星をつけて勧誘するのですが、上記の悪いイメージが強くほぼ断られます。
家まで勧誘の話しに行く前に断られたり、完全無視や怒声罵声も浴びせられます。

いざ火災となったとき消防団がいないとどうなるか、ここまで読んでもらえた人はわかってもらえたと思います。

僕のは地元は田舎なので、他の人より地元愛が強い方です。
親にも苦労ばっかりかけて、親孝行なんて何一つできていません。
たぶん消防団に入っていなかったら、実家にもあんまり帰らないんじゃないかと思います。

今は消防の集まりのたびに実家に顔見せに帰り、たわいもない会話を親としています。
なので僕の両親も消防団の活動を喜んでくれています。

地元のために何ができるのか、たぶんやろうと思えばいくらでもあるのでしょうが、僕は消防団を選びました。

少しでも興味がある人は、ぜひ入団を検討してみてください。
今は女性団員も多いので、もし団員の知り合いがいたら、その人を通じて一度見学に行くのもいいかもしれません。


あ、書いてて思い出しました。
僕の小さい頃の夢は、消防士だったって。

父親の消防団姿が、カッコよかったからかな。


この記事が気に入ったと言う人、消防団がんばれって人、興味が湧いた人、なんでもいいのでスキ、フォロー、コメントしてもらえると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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