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じっと側で寄り添うこともひとつの愛情表現。ガトーとの心地よい距離感

「『愛する』行為は、『技術』なので体得するには時間も経験も必要」と、昔の偉い人が書いていた。

感謝の言葉を投げかけるとか、プレゼントを送るとか、そういうわかりやすいものだけが愛情表現の形ではない。

この点において、ガトーは一つの「愛する」技術のパーツをわたしたちに見せてくれてるのかもしれない。

気高さと愛らしさが調和した猫「ガトー」

ーー まずはガトーの簡単な紹介をお願いしてもいいですか?
ガトーは、多頭飼育崩壊から保護された猫です。neco-noteを利用してくれてる方ならご存知かもしれないんですが、ハリーとベンツの家族ですね。

ガトーは多頭飼育崩壊の家庭から最初に捕獲された猫でした。ガトーと同じお母さんの猫たちがエイズとか白血病とかの母子感染する病気を持っていないかチェックするために捕獲されたみたいなんです。けど、早々に脱走を企てたらしくて……。

それで保護主さんの手を噛んで、保護主さんの手がパンパンに腫れるっていう……(笑)。

ーー あぁ〜痛いやつだ(笑)。

意外と気が強いっていう(笑)。

で、今はまだ触らせてはくれないんですけど、ご飯のときなんかは近くまで来てくれるようにはなりました。それに一応、人間のことはジッと観察してくるので、興味はあると思うんですよね。

ーー ちなみに保護当時の様子はどんなだったんですか?

保護当時は、自分からキャリーの中に入ってきたって。今と全然違うじゃないかって感じなんですけど。保護に協力的な猫でした。

ーー そこから?病院に行って?

病院に行った後は、預かりボランティアさんのお宅にしばらくいて。で、ベンツたちよりはだいぶ後になってから、てんしんらんまんなラッキーに来ました。でも、ケージに入ってた時は触らせてくれたのに、放したら自由に逃げ回ってる感じで。あんまり束縛は好きじゃない感じの猫ですね。

ーー ちなみに、年齢とか性別とかってざっくり聞いてもいいですか?

ガトーは女の子です!年齢は、何歳だ……?
捕獲されたとき「まだ子猫だった」って聞いてるから、2歳か3歳くらいかなと。まだ若いですね。

ーー なんかちょっと大人な雰囲気がするんですが、結構若いんですね!

そうですね〜!顔が真ん中に寄ってるんで、顔は少し特徴的ですけど(笑)。

ーー ね!なんかハチワレとは言いつつ、すごいセンター顔ですね!

センター顔美人のガトー

粘着質なメンズと、気の合う猫と。ガトーの適度な距離感

レオくんっていう他の猫にしつこく構いにいく猫が放されてるから、ガトーは余計に警戒してますね。

ーー レオくんは今、別の部屋で過ごしてるって言ってましたもんね!

そうなんです。普段は別部屋なんですけど、お世話のボランティアさんが来てくれている間は、よくガトーたちの過ごしている部屋に放してもらっていて。その間ガトーは逃げてたりしますね。

ーーそっか。ちょっと 粘着質な男が野に放たれてしまってる感じなんですね(笑)。

ちょっと女の子好きなメンズがウロウロしているので……(笑)。

ーー 他の猫とはどうなんですか?仲良くしてます?

同じてんしんらんまんなラッキーの1階のホールにいる女の子たちとは、ガトーも仲良くやってますよ。うちのメンズがオラつきがちなので……(笑)。

ーー 触らせてくれないってどういうレベルですか?ご飯のときは寄って来てくれる?

ご飯のときは寄ってきます!ご飯のお皿に手を乗せて慣らそうとはしてるんですけど……。けど、触ろうとするとダメですね。

あとちょっとの距離がなかなか遠いというか。

ーー そうですよね。猫を保護するときなんかも、触れはするけど保護できない、捕獲できないみたいな猫も多いですもんね。これだけ近くにいても触ろうとしたり、捕まえようとするとすぐ逃げちゃうっていう。

きっとガトーなりの絶妙な距離感があるんだろうな〜と思います。

ーー 爪を切るときとか、ガトーはどうしてるんですか?

爪は切れないです……。切れないけど、そもそも人間に自分から寄っても来ないんで怪我はないかなと思っています。

ーー お薬とかは?

今はすごく健康なので、お薬とかは特に必要ないんです。チュールが好きなので、もしお薬飲まなきゃってなったらチュールですね(笑)。チュールが好きだとお薬はだいぶ楽です!

じっと側で寄り添うこともひとつの愛情表現だから。

ーー ガトーは触ったりできないなりに、ここが推せるな〜!みたいなポイントってあったりします?

触れないなりに、人のことが気にはなるみたいで近くに寄ってはくるんですよね。思わせぶりな感じ……?(笑)

でね、尻尾が短いんですよ。ちょっとカギ尻尾なのかな?尻尾が太くて短くてモフモフでかわいいのと、背中にちょっと白い毛があって。ぜひ、neco-noteの日記投稿で確認してください!

>>ガトーの日記はこちら

ーー なんだ〜!そのいかにも猫っぽい、ツンデレというか。寄ってきて逃げてくみたいな感じ〜!

もう本当に思わせぶりな……(笑)「あぁ〜!触れそうだったのに……」って。

ーー 毛がちょっと長いから気品もあるというか。風格がありますよね。

ね〜。レディな感じなんですけど、顔は少し寄ってておもしろい!みたいな。

ーー 寄ってくるとき、こっちから触ろうとすると逃げるのはわかるんですけど、放っておくとどんな感じですか?鼻ツンとか。匂い嗅いできたりとか。
(※鼻ツン…鼻をくっつけてニオイを嗅ぐようなしぐさ。相手に対して興味があることのあらわれ。)

ん〜〜!鼻ツンはあんまりないですね!ご飯のときはめっちゃ寄ってきますけど。匂いを嗅ぎにくるとかもないですね。

で、ご飯を食べ終わったら人が見えるところに行って、人のことを観察してるって感じですね。

ーー 仕事なんであんまり感情挟まないようにしてるんですけど、個人的にそういう猫が一番好きなんだよな〜!

なかなかツウですね(笑)。

ーー なんか「そこに居てくれてる!」みたいな。本を読んでたり、映画を見ていたり、仕事とかもそうなんですけど、割とそれに集中したいタイプなんでスリスリしてきて「構って、構って〜!」ってされるのが苦手で。

お〜!そしたらガトーはピッタリですね!

ーー そうなんです!だから、ガトーくらい「触んないで、わたしに」って感じでいてくれる方が、僕にはツボだな〜(笑)

でも、存在はちゃんと感じる!みたいな(笑)。

ーー だって常に見てくれてるわけでしょ!?

そう!人のことは見てます(笑)。これはきっとガトーなりの愛情表現というか。距離感?人間のこと自体は嫌いじゃないと思うんで。こういう距離で、彼女なりに楽しく過ごしてるのかな〜?って。

ーー 願わくば、一般的な感覚でいうともう少し触れ合えるといいですね。

うん。ちょっとね。ブラッシングくらいはさせてほしいな〜って感じですけど。

「なんか猫って自分から迎え主を選んでるんだなって」

ーー 人間は苦手だけど、迎え主は探してはいるんですよね?

はい、探しています!

ーー 触れはしないけど新しく迎え主の元に迎えられるパターンとしては、どういうケースが多いんですか?

やっぱり猫に慣れてる方とか、2頭目、3頭目のお迎えって方が名乗り出てくださるんですけど。

他の猫でもてんしんらんまんなラッキーにいるときは、押入れとかに引きこもりだったのに、希望者さんのお宅に行ったらスリごろ(スリスリごろごろの略)になったり、急変する猫がけっこういるので(笑)。

猫って自分で迎え主を選んでるんだなって思っていて、人間が「このコ!」って決めるんじゃなくて、猫に見初められてるのかなって(笑)

自分が気に入ったお家に行って、本当のその猫の性格が出てくるってこともあるのかなって思ってますね。

ーー ほんとじゃあ、このガトーのお眼鏡に叶う人がいれば!って感じなんですね。

そうですね〜。じっくり選んでくれたらいいですね。もうガトーもここに来て1年くらいなので。

インタビュー途中。他の猫と遊び始めるガトー

ーー いいですね。思ったより人との距離は近いですね!

そうなんです。触れないってだけで、外に出てこないわけではないので。「このくらいの距離感でもいいよ〜」って方がいれば「ぜひ!迎え主に」と思います。

ーー 先住の猫がいるかどうかは置いておいても、いいですね。このくらい遊んでくれたら。ご飯のときはちゃんとこっちにでて来てくれるし。

そうですね!遊んでくれるし、ご飯も食べてくれるし、「ベッタリするよりは……」って方にはおすすめですね!

ーー 僕みたいな変わった猫好きにはいいですね(笑)。


「ただ側にいる」をめぐる愛

好きな人と何をしてるとき、わたしは幸せを感じるんだろう。同時に、相手からの「愛」を感じるのはどんな場面なんだろう。

ガトーと人間との絶妙な距離感は、この疑問たちへのいいヒントになる。

予約必須のお店に美味しいご飯を食べに行ったり、レジャー施設に足を運んで楽しい時間を過ごしたり、そういう時ももちろん幸せではある。
その一方で、こうした“特別感”がなくたって好きな人とただ一緒にいるだけで、多幸感に包まれる経験を、わたし/わたしたちは知っている。

たとえばそれは、小学生の頃、放課後にみんなで駄菓子をつついてアスレチックでおしゃべりしていた時間。なんて用事はないけど、幼馴染の家でダラダラと過ごしたあの時間。「テスト勉強」を大義名分に集まったファミレスでの時間。

あのころの自分がその時その場にいた相手から「愛」を感受していたかと問われれば即答はできないけれど、振り返ってみるとそれは相互の「愛」で満たされた時間だったと思う。

ガトーが人間をじっと観察して、人間の動きに合わせるように移動する。
人間もガトーの動きを察して、行動する。
インタビュー内の「ガトーなりの愛情表現」という言葉に腹落ちさせられた。

「ただ同じ空間と時間を共有しているだけ」と言ってしまえばそれまでの関係が、実は、絶妙な双方向の愛情の上に成立しているのではないかと思う。

「愛する」というスキルはなかなか一筋縄ではいかない。


ガトーのプロフィールはこちら🐈


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