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見ているだけで幸せになれる関係。墓地で出会ったみふちゃんが教えてくれた“適度な距離感”の大切さ

野良猫の「みふちゃん」は、墓地でエサをもらいながら家族4匹で生活しているところを保護された。

野良出身ということもあり、人馴れしていないみふちゃん。でも、どこか構ってほしいようなアピール仕草をする。そんな姿が憎めない。

今回は、そんなみふちゃんと長い時間を共にしているNPO法人フリースクールゆきレオの福本(ふくもと)さんと一緒に、みふちゃんの新たな一面に迫ります。

墓地で育った、みふちゃん一家

保護した当時のみふちゃん

―― neco-noteで「野良出身」と紹介されているみふちゃんですが、ゆきレオにくるまでにどんなストーリーがあったのでしょうか?

みふちゃんは、墓地出身の猫です。墓地の近くの道で年配の方がエサやりをしていたのですが、ご家族の方から「(エサやりさんが)エサやりのときに怪我をしてしまわないか心配だから、猫を保護してほしい」と依頼をいただいたのです。

みふちゃんは(たぶん)お母さん猫で、他に仔猫が3匹。でも、みふちゃんもまだ若い猫でした。

猫たちの通り道に捕獲器を設置し、みふちゃんと仔猫3匹を保護しました。当初は、子猫だけの保護の予定でしたが依頼者さんから全員を保護してほしいと言われ、全員を保護することにしました。

保護した後に里親を探して、仔猫3匹は卒業しましたが、みふちゃんだけが残っている状態ですね。

触れるのはダメ。でも、気にしてほしい

―― みふちゃんはどんな猫か教えていただいてもいいでしょうか?

みふちゃんは、現在2歳1か月で、体重は5kgくらいです。保護したときは、とても痩せ細っていたのですが、今はすくすくと育って、ちょっぴりおデブちゃんです(笑)

名前はゆきレオの理事長がつけました。理事長が好きなイラストレーターさんの『四つ子暮らし』という作品に出てくる三風(みふ)ちゃんからもらいました。

―― 結構近くで写真や動画を撮ってますけど、人馴れはしているんですか?

寄ることはできるのですが、触ることはできないんですよ。掃除していると、近くまできてお腹見せて転がってたりするんですけど……。触ろうとすると嫌がられてしまって。シャーって言われます(笑)。

こっちを見ながらお腹出してくるから、可愛いなあ、触れそう――と思って近づくと、離れていっちゃう。思わせぶりな態度をするんです。

きっと、彼女の中で‘“適度な距離感”があるんでしょうね。触るのは近すぎるみたい。だから、私も無理に触ったり、人に馴れさせたりしようとはしていません。

―― 人間は苦手なみふちゃんですが、猫同士はどうですか?

基本は高いところで寝ていて、警戒心はあるようなのですが、大好きな猫がいます。

レオくんっていうオッドアイの白い猫です。レオくんが倒れてしまうくらい強くすりすりして、猛烈にアピールをしています(笑)。

他の猫ともケンカもあまりしないですね。

お水を飲むレオくんにすりすりするみふちゃん

―― みふちゃんって、表情がたまらないですよね。独特で。

独特ですよね。たまに人の顔に見えるんですよ。顔認証に反応しそうなくらい。

前にみふちゃんが窓際にいたときに、人の顔に見えてホラーでしたもん。もともとお墓にいたっていうのもあいまって……(笑)。

家族になるなら、適度な距離で優しく見守ってくれる人を

―― みふちゃんには、どんな方が合いそうですか?

猫を見ているだけで幸せな人がいいと思います。

家族ではなく、単身の人のほうが合っているかな。追いかける子どもは苦手かもしれないです。みふちゃんは、あまり走り回ったりするタイプでもないと思うので。

―― みふちゃんの家族が早く見つかるといいですね。

そうですね。みふちゃんが保護されてきてからすぐは宣伝もしたのですが、なかなか譲渡先が見つからず……。それからは大々的にアピールができてないですね。

最近は保護団体も増えたので、里親側は猫を選び放題の状況です。今は仔猫がたくさんいる時期なのもあいまって、時期的にも成猫のみふちゃんには声がかかりにくいんですよね。

―― 長く一緒に暮らしている猫ほど、譲渡のときに感傷的になりませんか?

なりますね。我が子を送り出すかのように、心配になります。大丈夫かなって。

🐈 🌱

お互いを受け入れられる、だからこそ一緒にいられる

生活していくなかで、人との距離感に悩むときがある。

しかし人に構ってアピールをしつつも、適度な距離をとるみふちゃん。そして、そんなみふちゃんを無理に距離を詰めるわけでもなく、優しく見守る福本さんの話を聞いて、「お互いの距離を理解し、受け入れる関係」はとても素敵だと感じた。

距離感には、誰しも悩むときがあると思う。そんなときに、いかに自分のパーソナルスペースを大事にし、それを受け入れてくれる人たちと生活を共にするかが大事なんだと教えてくれた気がした。

決して、人のことが嫌いなわけではないみふちゃんの物語は、みふちゃんの“らしさ”を大切にしてくれる方と出会った日から、きっとまた輝きをますであろう。

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