更年期のざれごと No.4


はじめに

人って、人生の前半は楽しいことも含めて、失敗したり悔やんだり…
そんな想いを自分の引き出しに詰め込みながら生きているのだと思います。
だから今の自分が在る。
そして、後半はその引き出しを時々開けたりなんかしながら、また違う角度で人生を眺め、あらたに学ぶ。

私も、後半に差し掛かったなぁ~と呟くと、「君は、百何十歳まで生きるんだネ~」と夫に言われとっくに折り返している事に気がついた次第です。

日頃から、毒舌…と言われる事もあるのですが、ここまで来たら更年期なんだから、ちと好きに言わせてよネ…と言うことで『更年期のざれごと(ざれごと)』です。

戯言…(ふざけ半分に言うこと、ふざけてする事柄、冗談事)…と、辞書にあります。

つまり、ちょっとした時間潰し…くらいの軽~い気持ちで笑っていただけたら…と。

ちなみに、10年以上前からたまにメモしていたものも含まれますので、今の社会情勢に合わなくなっている事があるかもしれませんが、あ・し・か・ら・ず


そうじゃなくて〜


日頃、cafeではネットでシアトルのラジオ局に繋いで一日中流している。
「お、今日はシアトルは良い天気だね」
「今日は冷えるみたいだ」と、夫はいつもシアトルに住む子どもたちに想いを馳せている。
一時、「アナと雪の女王」の主題歌が頻繁に流れていた。
そうなると、つい釣られて「let it go~♪ let it go~♪」
と口ずさんでしまう。
ある日、夫が「この歌いい加減飽きたナ〜」と。
でも、私の頭の中ではまだまだこのメロディが漂っているので日本語に変えて「ありの〜♪ままの〜♪」と歌ったら「そうじゃなくて〜」って(笑)

ボランティアなのに…

ある日の来客。目の不自由な方だった。
そういう方々のために、ボランティアで車の運転をしているんです…という連れの女性。よくよく聞いていみると、何かのNPO法人で送迎のためのお金はいくらか出るらしい。
その数日後、突然彼女がひとりでやって来た。
時々スタッフが集まり、色々作ってお年寄りにプレゼントしているんだそうな…。
予算はひとり500円で、今回はお湯飲みを作りたいと頼みに来たのだった。
夫は「実費だけでもそれ以上はかかりますから、500円では無理ですよ」と断った。
それでも彼女は「でも、法人から500円しか出ないんですよ〜」と、くいさがる。
「あのね、皆が集まって作り方を教えて、数日かけてそれを天日干しして素焼きをして、また皆が集まって絵付けをして、またそれを本焼きしてまた集まって…。その間、僕は仕事場を占領され、自分の仕事は遅れるし無理ですよ」
「でも、これはボランティアなんですよ〜」
ここで私の出番。
「作るより買ったほうが安いですよ。買ったらどうですか?」
「いえ、手作りの物をあげる事にしてるんです!」
「あのですねぇ〜。法人から500円しか出ないけれど、足りない分は自分たちで出して…というのであれば分かります。そういう事ならこちらも少しでもご協力しようと努めます。でも自分たちの懐はそのままに、関係のない私達にボランティアだから不足分を負担しろというのは違うでしょう」
「でも、これはボランティアなんですよ!その気持ち分かるでしょう?」
「あのね〜、そもそも、あなた方がボランティアを名目に、タダで陶芸ごっこをしたいだけでしょう?ボランティアって人に押し付けるものではないですよね〜」
「ボランティアなのに…」
やっと追い返した。


毒を以て毒を制す

平成26年 5月初旬… 火曜日の夜
ベッドに入ろうとパジャマに着替えた時、ふくらはぎの下の方に何か黒いイボのような物を見つけた。「ウン?何だ?」と思ってよく見ると、血でパンパンになったダニだった。「うひゃっ」と思わずティッシュでブチッとちぎり取った。

翌日、どうも風邪気分で調子がイマイチ。木曜日に友人とランチの約束をしていたが、体力的に自身がなくキャンセルのメールをした。
世間話のついでにダニの話も…。そうすると「お願いだから病院に行って。おりこうチャンだから病院に行って〜」と必死の返信メール。
あまりにも彼女が心配するので、風邪気分でもあったし翌日、なじみのドクターに会いに行った。「たいした風邪ではないようですね。のどもそんなに腫れていませんよ」というところでハッと思い出し「そういえば、先日ダニが足に…」と話したところ、ネットで様々なダニの写真を見せていただいた。…が「多分、こんな感じの…」というくらいの記憶しか残っていない程の速さでちぎり取ったので、確定できない。咬まれた後も小さなかさぶたが残っているだけ。
「とりあえず、ダニなどの虫に咬まれた時のためのお薬を出しましょう。抗生物質だからのどの腫れにも効くし…」となった。

ところが、ところが、翌日からハンパではない倦怠感と何とも表現しがたい気分の悪さにおそわれ始めた。薬の副作用かそれとも私、何かと闘っているんだろうか…。自分の体に何が起きたのか、さっぱり分からない。
何とか必死で、土・日の予約をこなし、月曜日の朝早速病院へ。
「やっぱりマダニでしたねぇ。毒と闘ってたんですよ〜」あはっ。
即、かさぶたの部分を切開、黒い部分を取り除いて、しばらくは傷口の消毒で毎日病院通いとなった。結果的に早めにそれ用の抗生物質を服用していたのが功を奏したようだった。

落ち着いた頃、皆から電話やメールが届いた。
娘から「ママ、健康でおバカやってネ〜」

「まるで外で飼ってる犬並みだな〜。ダニに咬まれて死んだら笑うに笑えないよな〜。ガハハハ」と笑う息子。

「おばちゃん大丈夫?大丈夫だからこうやって電話で話が出来るって事だけど気を付けてね〜」と東京在住の甥っ子

「もう少しでセメイ保険が入って、僕はリッチになったのに〜」と夫。
(残念ながら高いのには入ってませ〜ん)

「ヨーコさん、また武勇伝が増えましたネ〜」と常連さん
(武勇伝って、他に何かありましたかいナ…)

「ダニの毒を喰らって、ますます毒舌も冴えてたんだろうな〜。ヨーコちゃんの毒を喰らったダニの方が気の毒だよな。毒を以て毒を制すってな〜」と東京の末弟。
(おい、おい〜)

その頃知り合ったアロマセラピストの、今では友人のMチャン。
「ひゃぁ〜、マダニに咬まれた人の話はよく聞くけど、ほんとに咬まれた人には。初めて合った〜」と、ちと英雄的あつかい(笑)

包帯で巻かれた私の足に、そっとしばらく手を置いて
「ダニの毒、取っておきましたからね〜」って。
「えっ???」
な、なんと一週間以上、ほとんど食事がのどを通らなかったのに、その日の夜から、普通に食事が美味しく食べられるようになった。
チッ!痩せる暇なかったぜ(笑)

ご都合主義

タバコをやめて腹が出てきた夫。
毎朝体重計に乗る。
続けて体重が増えると
「最近、この体重計おかしいね。壊れてるね〜。もう古いからね〜。新しいのがいるね〜」
減っていると
「おっ、痩せた〜♪」
(あのね〜、同じ体重計なんですが…笑)

私の勝手なセオリー

スーパーや銀行などの公の場にある身体が不自由な方々のための優先駐車場。
健康であるにもかかわらず、男女を問わず平気で停める人が多い。
田舎に所々に野菜の無人販売所があるが、だいたい一束百円と、スーパーより量も多く安いし新鮮だ。
ご高齢の方々が細々と作った野菜を並べてある所も少なくない。
でも、お金を入れなかったり、1円玉や5円玉を入れてごまかしたりする人も、けっこう多いんだそうな…。
無人販売所って、人の善意が前提にあるわけで、きっとそこには閻魔大王様が立っていらっしゃる。
人はごまかせても、誰も見ていないからこそウソをついた自分は確かにそこに存在するのだ。
優先駐車場に平気で車を停めるやからを見る度に
「この人達って、きっと野菜の無人販売所でも、平気でズルするんだろうな〜」と、私は勝手に決め込んでしまっている。


JACK語録

面接…?

アメリカ人の友人が入院した。同じ町に仕事に行っていた夫は、帰り道お見舞いに寄った。何号室か分からないので受付で…
「面接に来ました」
「えっ???えっ???」
「だから友達に面接に来ました」
「あの…、もしかして面会ですか〜?」
「ア、そうそう。面会〜ハハハ」
受付の女性も面食らっただろうな〜
昔は言葉の間違いを笑われるとムッとなっていたけれど、今では日本人には到底思い付かないだろう的なドヤ顔で、本人が一番楽しそうに笑っている。
あなた、心も腹もデカくなったね〜〜。

惜しい〜〜

・「風がワサワサと気持ちがいいね〜」
(ワサワサ吹いたら何かせわしいよ。それを言うならサワサワ〜)

・「風鈴の音がちんちんしたら夏…という気分だね」
(…どんな風鈴じゃ。ちんちんて〜笑。ちりんちりんだよ♪)

・ドライブ中に
「あのおじいちゃん、ボヨボヨ歩いてて危ないな〜」
(うん?あ〜、車の多い道路をヨボヨボ歩いてて確かに危ないね〜)

・甥っ子の東京みやげのケーキに添えるためにホイップクリームを作った。
「おっ♪クリームわざと作ってくれたの!アリガト〜♡」って。
タルトケーキには絶対ホイップクリームだよね〜ってアメリカンな事を言うから、わざと作ったのさ。私の思いやりや優しさはわざわざ何かをしてあげるんじゃなくて、いつもわざとなのさ。ウフッ。

・新緑のきれいな季節の中、ドライブをしていると
「新しい若葉が出る頃は、色々な緑があってきれいだね。
特に緑の中に山桜がプツンと咲いていると、もっときれいだね」
「そういうのは、ポツンと咲いているって言うんだよ」
「ア、そうか、プツンは君だね〜」
「それを言うならプッツン!! それに私はプッツンじゃないし!!」
夫はひとりで笑いころげていた…。



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