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Adobe Fonts とりあえずこれ入れとけ[2024年改定版]

デザイナーの千星(ちぼし)と申します。NECKTIE design officeという名前でGRAPHIC・WEB・PRODUCTとジャンルをはみ出してデザインをしています。写真撮影・映像・LETTER PRESS(活版印刷)などもやっております。

ずっとデザインやタイポグラフィが大好きで仕事をしてきましたが、2020年から専門学校でいくつか授業を担当させていただくことになりました。

高校を卒業したばかりのまっさらの一年生を担当させていただくことになり、どうやってデザインやタイポグラフィのおもしろさを伝えようかとじりじりと試行錯誤中ですが、何をするにもまずは道具が大事。そこで学校の教務の方に学生さんたちがインストールしてるフォントをお伺いすると、「モリサワパスポートのフォントを全部いれてます!」と語気強めで回答。うんうん。「欧文は?」と聞くと「???」と遠くの壁を見つめて空虚な回答。なるほど、なるほど。ということで「僕のほうでリストアップするのでこのAdobe Fontsを入れておいていただけますか」とお伝えさせていただきました。

で、よくよく考えるとこのリストは他の学校や新しくデザインを始める人にとっても有用な情報ではないかと思って、今回noteで公開させていただくことにしました。

正直なところ「このあたりは入れてほしいな」というようなメジャーなフォントがなかったりと不足な部分はいなめないですが、とりあえずはある中で対応しないといけませんので、「とりあえずこれ入れとけ」というものを選んでみました。古典的で有名なフォントを選んでいますが、個人的なフィルターも通っているので、「いやいや、これは入れとけよ」みたいなものがあれば、いろいろご意見いただけるとうれしいです(みなさんのお力で少しづつアップデートしていければと)。

あとそれぞれのフォントに少しコメントも書いておきました。少しむずかしい言葉がでてくるかもしれませんが、もし読んでみて興味がでてくれば、調べてもらうとタイポグラフィのいろいろな知識が深まっていくと思います(ようこそ活字の沼へ)。

Adobe Fontsについて

現在15,000種類を超えるフォントがあります(しょうじき微妙だなと思うものもけっこうあります)。Adobe CCのソフトウェア(イラストレーターとかフォトショップ)のサブスクリプションを購入するとなんと【無料】で使用することができます。使い方も超簡単。リンク先のサイトにアクセスしてアクティベートのボタンをクリックするだけ。CCに入っている人は使わないともったいない!ですよ。


ではまずはサンセリフ系から

Brandon Grotesque

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https://fonts.adobe.com/fonts/brandon-grotesque

[ブランドン グロテスク]
まえがきで古典的なものを選びましたと言っておきながら、これは2009年に発売されたわりと新しいフォント。Myfontsというフォント販売サイトでも常にベストセラーで世界中で大人気。
幾何学的で現代的なフォルムにもかかわらず、角にRがついている(丸くなっている)ことで活版で印刷したような柔らかな印象になってます。比較的新しいフォントだけあってfbやfkの合字や等幅数字が入っていたりします。

URW DIN

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https://fonts.adobe.com/fonts/urw-din

[(ユー アール ダブリュー)ディン]
ドイツ工業規格(Deutsches Institut für Normungの頭文字でDIN)用に1931年に製作されたフォント。多くの国で道路標識や車のナンバープレートなどでも使われています。DINもさまざまなメーカーから発売されていますが、これはURWというメーカー版のもの。
ファミリーの中に入っているCondというのはCondensed(コンデンスド)の略。圧縮されたという意味なので、字幅が狭いバージョンのものをコンデンスといったりします。コンデンスミルクのコンデンス。

FF Meta

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https://fonts.adobe.com/fonts/ff-meta

[(エフ エフ)メタ]
現代的なヒューマニストサンセリフ。本文として使っても読みやすい。
FFというのは作っているメーカー(タイプファウンドリー)の名前で、Font Font(フォントフォント)社というドイツのメーカーから1991年に発売されました。デザイナーはエリック・シュピーカーマン。
ドイツ語圏の人が作ったからか、全体的に字幅が狭めに作られています。オトル・アイヒャーが作ったRotisなどもそうですが、ドイツ語は単語の文字数が多いため、ドイツ語向きのフォントは字幅を狭まめにつくる傾向があるようです。

ATF Franklin Gothic

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https://fonts.adobe.com/fonts/atf-franklin-gothic

[(エー ティー エフ) フランクリン ゴシック ]
アメリカのATF社(American Type Founders)が1902年に金属活字として発売したサンセリフ。デザインはモーリス・フラー・ベントン。Akzidenz Grotesk(アクチデンツ グロテスク)というドイツの有名書体の影響を受けて(パクって?)作られました。
とはいえかなりアメリカナイズにデザインされいて、いい意味で古めかしい無骨な印象にしあがっています。Adobe FontsにはITC版URW版もありますが、そちらはより幅が狭く処理されていてオリジナルからはかなり違った解釈になっています。

Futura PT

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https://fonts.adobe.com/fonts/futura-pt

[フーツラ(ピーティー)]
おそらくもっとも有名なジオメトリックサンセリフ(幾何学的なサンセリフ)。1923年にポール・レンナーがデザインしドイツの名門バウアー活字鋳造所から発売されました。さまざまなメーカーからデジタル版が発売されていますが、これはPT=パラタイプ社というロシアのタイプファウンドリー版。ロシア語圏でつくられているだけあってかキリル文字も入っていたりします。

Gill Sans Nova

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https://fonts.adobe.com/fonts/gill-sans-nova

[ギル サン ノバ]
イギリスの石版彫刻家エリック・ギルがデザインしたヒューマニストサンセリフ。1927年にイギリスのモノタイプ社から発売されました。インテリアのCONRAN SHOP(コンランショップ)のロゴはこれ。
このデジタル版は2015年にモノタイプ社がそれまでの18種類から43種類にファミリーを大幅に拡張したもの。Novaはラテン語で新しいの意味。個人的には活字時代のオリジナルが好き。

ITC Avant Garde Gothic

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https://fonts.adobe.com/fonts/itc-avant-garde-gothic

[(アイ ティー シー)アバンギャルド ゴシック]
1970年にアメリカの写植メーカーITC社(The International Typeface Corporation)が発売したジオメトリックサンセリフ。雑誌『Avant Garde』のためにハーブ・ルバーリンがデザインしました。なんといっても特徴は合字と異字体。

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いい意味でも、悪い意味でも、一度見たら忘れない合字。うっかりするとこれがでてきてしまったりもするので、合字を使いたくないときにはオープンタイプのパネルで合字を切らないといけません。

Monotype Grotesque

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https://fonts.adobe.com/fonts/monotype-grotesque

[モノタイプ グロテスク]
1926年にイギリスのモノタイプ社からモノタイプという自動鋳植機用の金属活字として発売されたサンセリフ。いい意味で整っていない古めかしい印象のサンセリフ。発売当時はまだファミリーという概念がなかった時代で、新しくサイズやウェイト(太さ)を発売するたびに形が違ったりしていて(小文字のgが一階建てだったりメガネ型だったり)、このデジタル版でもノーマル用とディスプレイ用でかなり形が違っていたりします。アプリケーション上ではGrotesque MTと表示されます。MTはMonotypeの略。

Neue Haas Grotesk

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https://fonts.adobe.com/fonts/neue-haas-grotesk

[ノイエ ハース グロテスク]
おそらく世界で一番有名なフォントHelvetica(ヘルベチカ)の発売当時の名前のフォント。スイスのハース活字鋳造所が1957年に発売した金属活字で2010年にデジタル版として復刻されました。Neueは新しいの意味で、ハース社の新しいグロテスクという意味。
Helveticaが時代のなかでさまざまな形で改刻・デジタル化されてしまっているため、もともとの金属活字時代の良さを活かすべくオリジナルの金属活字を元に復刻。Neue Haas Grotesk TextはHelveticaよりもサイドベアリングがゆったり設計されているのでHelveticaよりも本文向き、逆にNeue Haas Grotesk DisplayはHelveticaよりもさらにタイトに設計されているのでより見出し向きです。
また新しくデジタル化されただけあって、Helveticaの特徴でもあるRのレッグが

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といったように、オリジナルにはないストレートのレッグが含まれているのもポイントです。
Helvetica / Neue HelveticaはもともとMACに入っているので、実際に比べてみるといろいろと発見があるかと思います。


つづいてセリフ系

Baskerville URW / Baskerville PT

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https://fonts.adobe.com/fonts/baskerville-urw
https://fonts.adobe.com/fonts/baskerville-pt

[バスカヴィル (ユー アール ダブリュー) / バスカヴィル(ピーティー)]
18世紀のイギリス・バーミンガムの印刷者ジョン・バスカヴィルが製作したトランジショナル・ローマン。とても伝統的な書体なのでその後多くのメーカーが独自解釈し発売しました。
URW社版は比較的本文向き(ただ本文で使うにはオールドスタイルフィギュアが入ってないのが致命的)、パラタイプ版はウェイトにPosterやDisplayと入っているとおり線が細くタイトル向きだと思います。

Baskervilleの数ある復刻書体のなかだと個人的な好みはあとで紹介するMrs Eavesと、マツダの「Be a driver」でも使われている

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オールドスタイルのものが好み(Adobe Fontsには入ってませんが)。

Bodoni URW

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https://fonts.adobe.com/fonts/bodoni-urw

[ボドニ (ユー アール ダブリュー)]
18世紀のイタリア・パルマの印刷者ジャンバティスタ・ボドニが製作したモダンローマン。ボドニは印刷するごとに気に入らない活字はカットしなおしたり、同じサイズで字幅、ウェイト、xハイトが違うものを14種類もつくったりとかなりの書体マニア。当時の金属活字はサイズごとにもそれぞれ製作しなければいけなくて、パルマのボドニ博物館には2万本以上の父型が今も残されています。その後世界中のありとあらゆるメーカーからBodoniの名がついた改刻版が発売され、書体の百科事典にも「もっとも多くの活字鋳造所からでている」と記載されています。
これはURW社が復刻した書体。系統はATF → Monotype 135の流れを汲むもの。オリジナルのBodoniとはほど遠い、おそらく写植時代のBodoniをデジタル化したものだと思います。このバージョンを仕事で使うかと言われると僕は使いませんが、名前を覚えたり違いを知る上で入れておいたほうがよいと思います。

Adobe Caslon

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https://fonts.adobe.com/fonts/adobe-caslon
https://fonts.adobe.com/fonts/big-caslon

[(アドビ)キャスロン]
18世紀にイギリスの印刷者ウィリアム・キャスロンが製作したオールドローマン。アメリカの独立宣言書に使われた活字としても有名。Caslonも数多くの鋳造所で復刻されさまざまな形で発売されました。特にアメリカで人気が高くATF社(American Type Founders)だけで20種類近くのバリエーションがあったりします。
Adobe Caslonは1990年にアドビ社が復刻したもので、比較的本文向きの書体だと思います。デザインはキャロル・トゥウォンブリー。後述のTrajanも彼女のデザインです。タイトルなどに使うときにはマシュー・カーターさんのBig Caslonをおすすめします(2024年、Adobe Fontsに復帰しました)。

Clarendon URW

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https://fonts.adobe.com/fonts/clarendon-urw

[クラレンドン(ユー アール ダブリュー)]
1845年にイギリスのソローグッド活字鋳造所から発売されたスラブセリフ。Clarendonものちに他の有名書体同様多くのメーカーから模刻・発売されました。
スラブセリフはエジプシャンとも言われますが、エジプトとはなんの関係もなく当時エジプトが流行っていたからというわりとマーケティング重視の(いい加減な)ネーミングだったようです。これはURW版のもの。

Cooper Black

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https://fonts.adobe.com/fonts/cooper-black

[クーパー ブラック]
1922年にオズワルド・クーパーがデザインした書体。Blackは字の太さのことで極太の意味。発売当初は小さな活字鋳造所から発売されましたが、その後ATF社(American Type Founders)とライセンス契約になり大ヒットしました。見ての通りのポップでぽっちゃりなディスプレイ書体。

Copperplate

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https://fonts.adobe.com/fonts/copperplate

[カッパープレート]
アメリカのATF社(American Type Founders)から1901年に発売。デザインはフレデリック・ガウディ。ガウディといえば「ブラックレターにレタースペースを入れるやつは羊泥棒だ(ブラックレターは字間を開けるな)」といった言葉を残していたりします。

カッパープレート=銅版印刷のようにストロークの先端をビュラン(彫刻刀)で彫刻したようなセリフが特徴。銅版印刷はこんな感じで銅板を彫って版をつくります。

レターヘッドなどのステーショナリーといったものに使う想定でデザインされ、当時高級なステーショナリーの多くが銅版印刷で印刷されていたので、銅版風という意味でこの名前がつけられました。

小文字がなくスモールキャップしかないのもポイントです。ディーン アンド デルーカのロゴがこのフォントですね。ずっとCopperplate Gothicと言われていましたが、Adobe FontではなぜかGothicの文字がはずされています。これはURW版のもの。

Linotype Didot

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https://fonts.adobe.com/fonts/linotype-didot

[(ライノタイプ)ディド]
18世紀フランスの印刷者フィルマン・ディドが製作したモダンローマン。ディド家はそれまで活字のサイズが鋳造所ごとにばらばらだったり、大きさによってそれぞれ名前がつけらてていたのを「ポイントシステム」として一般化させました。日本で使われているアメリカン・ポイントとは規格が違っていて、ヨーロッパ(イギリス以外)の金属活字のサイズはディド・ポイントと言われています。
Linotype Didotはアドリアン・フルティガーがデザインしたドイツのライノタイプ社版のDidotで、 アプリケーションではDidot LT(LT=Linotype)で表示されます。

PS Fournier

https://fonts.adobe.com/fonts/ps-fournier

[(ピーエス)フルーニエ]
18世紀フランスのピエール・シモン・フルーニエによって作られたトランジショナルローマン。フルーニエは当時鋳造所ごとにもばらばらで倍数関係にもなっていなかった活字のサイズを「ポイントシステム」を考案して統一化・規格化を試みました。ポイントシステムは結局フルニエの時代には浸透せず、後にディド家に引き継がれ完成します。フランスでの活字の変遷としてもギャラモン(オールドローマン)、フルニエ(トランジショナル)、ディド(モダンローマン)というの流れが見えてきます。またフルーニエは楽譜活字や装飾活字も有名です。
PS FournierはTypofonderieというフランスのファウンドリー(Sabon Nextをデザインしたジャン・フランソワ・ポルシェの事務所)が2020年に復刻したバージョンです。オールドスタイルフィギュアはありますがスモールキャップがないので、使い方としては限定的になりそうです。
Standard, Petit, Grandと3つのオプティカルサイズに対応していることもポイント。Adobe製品でないのに珍しくThの合字があります。

Garamond Premier

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https://fonts.adobe.com/fonts/garamond-premier

[ギャラモン プレミア]
16世紀のフランス印刷者クロード・ギャラモンが製作したオールドローマン。こちらも歴史ある有名書体のため数多のメーカーからさまざまなバージョンが発売されました。しかもややこしいことに、参照元にした本がクロード・ギャラモンではないジャン・ジャノンという別の印刷者のものを間違って復刻したバージョンもあるため、同じギャラモンという名前でもギャラモン系とジャノン系があったりと時代に翻弄されまくっています。
Garamond Premierはアドビ社のロバート・スリムバックがデザインしたギャラモン系のGaramond。以前はAdobe Garamondとして販売されていましたが、2005年にファミリーや多言語のグリフが大幅に拡張されGaramond Premierになりました。

Adobe Jenson

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https://fonts.adobe.com/fonts/adobe-jenson

[(アドビ)ジェンソン]
15世紀のイタリア(生まれはフランス)の印刷者ニコラ・ジェンソンが製作したヴェネチアンローマン。ニコラ・ジェンソンはグーテンベルグの工房で働いたあと独立して、それまでのブラックレター体から現在のローマン体を完成させました。その印刷物の均質な文字のテクスチャは今見てもほんっっとうに美しい。
Adobe Jensonは上記のGaramond Premierと同じくアドビ社のロバート・スリムバックがデザインし1996年に発売されました。個人的にはヴェネチアンローマンはCentaur(セントール)かAurelia(オーレリア)のほうが好み。

Mrs Eaves

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https://fonts.adobe.com/fonts/mrs-eaves

[ミセス イーブス]
1996年に女性デザイナー、ズザーナ・リッコがBaskervilleを元にデザインし、エミグレ社という自社ファウンドリーから発売されました。それまでは大きな企業でなければできなかった書体製作がデジタル化によって個人単位で書体製作・販売ができるようになり、エミグレはそういった独立系タイプファウンドリーのさきがけ的存在です。
前述のBaskervilleとはかなり違っていて、xハイトが低くゆったりころころとしたかわいいBaskerville。xハイトが高いMrs Eaves XLや、サンセリフバージョンのMr EavesもAdobe Fontsに収録されています。
Mrs Eavesというのは元になったジョン・バスカービルの奥さんの名前。ネーミングがすてき。

Sabon

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https://fonts.adobe.com/fonts/sabon

[サボン]
20世紀を代表するタイポグラファー ヤン・チヒョルトがGaramondを元に1964年にデザインしました。Sabonはドイツ高等印刷組合からの依頼で、当時使用されていた自動鋳植機「モノタイプ」「ライノタイプ」と「手組用」の3種類の機械で鋳造できる書体として開発されました。そのため製造機械の制約をもろに受けて、特にイタリックの「f」や「j」や「y」はかなり強引な処理でデザインされています。ネーミングは参照元である見本帳の製作者ヤコブ・サボンから。個人的には使うのであれば復刻版のSabon Nextをおすすめします(Adobe Fontsには入ってないですが)。

Trajan

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https://fonts.adobe.com/fonts/trajan

[トレイジャン]
約2000年前、112年頃にローマに建てられたトラヤヌス帝の戦勝記念柱に刻まれた碑文を元に、1989年にアドビ社から発売されたフォントです。

このトラヤヌス帝の碑文はすべてのローマン体の源とまで言われています。

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2000年前はまだ小文字の誕生前ですので、Trajanには小文字もイタリックもありません。トラヤヌス帝はTrajanusと書くのでそこからトレイジャンと名付けられています。
デザインはAdobe Caslonも手がけたキャロル・トゥウォンブリー。Adobe FontsにはほかにサンセリフバージョンのTrajan Sans、カラーフォントのTrajan Colorも収録されています。
トラヤヌスの記念柱はローマの市街地・遺跡地区(フォノ・トライアーノ)に現存していますが、僕が実際に行ったときにはすでに柵で囲われてしまっていて肝心の碑文は遠くからしか見ることができません。

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というかほぼ見えない。

Plantin MT

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https://fonts.adobe.com/fonts/plantin

[プランタン]
1913年にモノタイプ社から発売されたオールドローマン。モノタイプ社の工場長だったF. H. ピエポンがデザインしました(実際にはディレクター的立場)。Monotype Grotesque(前述)やRockwell(後述)もピエポンによるものです。
ベルギー・アントワープにあるヨーロッパ最大の印刷出版社プランタン・モレトゥス印刷所(現在は博物館)のギャラモン活字とグランジョン活字をもとに作られて、20世紀初頭の新聞印刷(粗悪な紙に高速で印刷される)などを想定し、小さいサイズでも見やすいようにxハイトが高く(アセンダーとディセンダーも短い)、全体に黒味が強いのが特徴です。フラットトップのAも特徴。
のちにスタンリー・モリソンがTimes誌のためにデザインしたTimes New Roman(MACにもWINにもバンドルされています)のベースになっていて、Garamond → Plantin → Timesのオールドローマンの流れが見えてくると、20世紀初頭の印刷需要などが見えてきて興味深いです。

プランタン印刷所はプランタンの没後に従業員のヤン・モレトゥスがプランタンの次女と結婚して現在のプランタン・モレトゥスの名前になりました。博物館は今も現存していて、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

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いつかどっぷり観に行きたい。


Rockwell Nova

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https://fonts.adobe.com/fonts/rockwell-nova

[ロックウェル ノバ]
もともとは1910年にアメリカのインランドタイプ社からLitho Antiqueという名前で発売されたスラブセリフで、その後いくつかの会社で模刻されましたが、1934年にイギリスのモノタイプ社からRockwellという名前で発売されました。ストロークがほぼすべて同じ太さのためジオメトリック・スラブセリフ(幾何学的なスラブセリフ)とも言われています。
2016年に大幅にグリフが拡張されRockwell Novaとしてモノタイプ社から発売されました。Novaはラテン語で新しいの意。

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といったところでしょうか。

これを機になにか一つでも好みのフォントについて調べてみたりすると、フォントを見る目が養われてデザインの幅がぐっと広がってくると思います。

あとオススメは「フォントを購入してみる」ことです。自分のお金だと「どんなグリフがはいっているか」「どんなファミリーで展開しているか」などすっごい調べるのでとっても勉強になりますよ。

ではみなさん良いデザインを!!

Instagram
https://www.instagram.com/necktie_design_office/

Web
www.necktie.tokyo



※あとこれはAdobeの人への要望
Adobe Fontsがspotifyのプレイリストみたいに、リスト(グループ)が任意で作れると嬉しいです。普段はFontExplorerを使って案件ごとにフォルダ管理していて案件が終了したらまとめてアクティベートをはずすみたいな使い方をしてます(また作業するときにはまとめてONにすればフォントがその使える)。そんな機能がAdobe Fonts上であれば管理しやすいですし、リストを共有すれば共同作業もしやすい。上記のリストも一気にアクティベートできたりすると便利かなーと。ぜひぜひ実装をお願いします。(Adobeのなかのひと聞こえますかー?)。


サポートは特に結構ですので、より多くの方に読んでいただけるようシェア等していただけるとうれしいです。