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コスト削減と組織ではたらくひとの思い

ある日突然、自分が携わっているサービスやプロジェクトの終了が上司から言い渡されたらどんな気持ちになるだろうか?

企業では、こういった経営判断が日常茶飯事のように行われている。

サービスやプロジェクトだけならまだしも、自身が所属している組織や、母体となる会社が買収され、不要な部門は解体、異動または退職を余儀なくされたら、あなたはどんな気持ちになるだろうか?

急なコスト削減と組織改編

予算の関係で急に様々な変更が必要となり、燃え尽きてしまった状態で迎えた仕事始め。今でももっと早く、何かできることがあったのではないか?と後悔の念で頭の中が整理できていない。

いくら心の中でモヤモヤしても、予算変更自体は会社の決定によるものなので、一社員として、どうこうできる問題ではない。

会社の決定によるリストラが頻繁に行われる我社では、こういったコストカットやダウンサイジング等の組織改編は珍しいことではない。がしかし、どうしても腑に落ちない。組織改編の波で苦しんだのはこれで3度目だ。

最小の資本と人で最大の付加価値をあげる

頭では分かっていても、決定に納得がいかない。利益を出すことは会社として健全な判断であるのは間違いない。こんな状況でも雇用を守り、会社を永続させるためには必要な判断であることも納得すべき事情だとは思う。

お金がない事はみんな苦しい。組織も取引先もお客様も、誰も得しない決断をしなければならない。それでも今の社会において、経済原則は正義だ。

会社を守るために、事業を継続するために、社員はたくさん制約条件が付加された指示に従って、業務判断と実行をしていかなければならない。

会社を永続させるということ

頭を抱えていると、ふと、5年以上前の隣の部署の上司の言葉を思い出した。1年に1回ほど挨拶を交わすが、人間力が高くいろいろと話を聞いているだけで勉強になる。

「事業であれ、プロジェクトであれ、必ず制約事項があると個人的には考えています。たとえば、お金がないとか。。。お金がないから何もできないと言っていても、何も始まらないわけですよね。
制約事項というのは、最初から見えているものと、急きょ、出てきてしまうものもあり、それらの制約事項を加味しながら、進めていくべきことだと思っています。」

プロジェクトのメンバーの異動が勝手に決まってしまい、スケジュール通りに事が運ばなくなってしまった。これはダメ元で異動するメンバーの所属部署の上長に相談したときにもらった言葉。当たり前のことを言われているのだが、この時は不覚にも、泣いてしまった。

サラリーマンの制約条件ガチャ当たりすぎてツライ

このプロジェクトでお客様(といっても広い意味で社内だけどその先にいるお客様)とのスケジュール調整や条件交渉などが必要になってしまい、自分の決定ではないものの、たくさんの人に迷惑をかけてしまった。

とても苦しい思いをしたし、覆せない決定に、やり場のない思いをかかえながらプロジェクトメンバーと河原で石を投げたりした。当時は、危険を察知して転職していった人たちの後始末をやらされている気分になり、なんで自分だけ?と嘆いたりもした。サラリーマンツライ。

結論は「おまえでどうにかしろ」だったとしても、置かれている状況に理解があるかどうか、でまたこの上司と頑張ろうと思えたりする。この時も周りは理解してくれたので、なんとか持ち直して頑張って働くことができた。人事考課にもそれが反映されていた。と同時に、会社における成果を証明できるのは利益だけなのだと身を持って理解した。

あなたが経営者だったら?
コストカットの判断をしている人の思い

スーパー人間力の高いそのマネージャーは、前職でもコスト見直しの仕事をした経験があると話してくれた。

事業やプロジェクトを立ち上げて、事業部内の予算としては、問題なく進めることができていたものが、他の事業部の不調により、お金が使えなくなったり、ほぼ相談もなく、人が他の事業部に引っ張られるなどということもあり、それでも、その状況の中でどうやってビジネスを伸ばしていくのか?ということを事業部内で考え、実行をしていたとのこと。

制約条件の中で利益を伸ばせる人間だけが、ビジネスの中で勝てるんだ、そういった資質をもった人間の見極め方は、最後まで残って戦えるかどうかだけだ。と教えてくれた。

一時的に空中分解することで未来が見える

また、別のこれまた最新テクノロジーに飛びつく元上司の体験談だが、ある日突然、社長に肩を叩かれ、全社員分の人事シートを渡されたという。会社に残れる人数に制約ができてしまったとか。

一緒に仕事をしたことがない人間であっても、紙だけで判断せざるおえないこともあったし、その分、人生がかかっているのだから簡単には分別できなかった。それでも決定し通達し、社内が分断されたが、数年後経営基盤が安定し、当時去った人を、また呼び戻して新しいプロジェクトが立ち上がった時は感動したと話してくれた。

貧乏神がついたら徳政令カード使おう

物件を買い漁る鉄道ゲームをしているといつも思う。物件の売買に社員の思いは不要だし、ましてやユーザー体験の最適化なんていう概念はない。

金があれば、独占できる。なければ売らなければいけない。
プロジェクトがなくなろうが、メンバーがいなくなろうが、利益を上げる必要がある。そういう意味でソフトバンクのT-mobile売った件とか潔い判断だなと尊敬する。

株価や会計報告書の数字は、たくさんのサラリーマンの苦渋の決断と辛酸の上で成り立っている。一時的にはどんなに辛くても、利益が出てくればまたチャレンジできると信じて、働くしかない。頑張れサラリーマン!

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