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小説『ネアンデルタールの朝』第三部

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小説『ネアンデルタールの朝』第三部を掲載しています。毎週(月)~(金)更新予定です。
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記事一覧

【新連載】小説『ネアンデルタールの朝』①(第三部第1章-1)

第三部 また朝が来てぼくは生きていた また朝が来てぼくは生きていた 夜の間の夢をすっかり忘…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』②(第三部第1章-2)

2、 「民喜君は、映画よく観るの?」 明日香が民喜の方に顔を向けて言った。顔を向けてはいる…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』③(第三部第1章-3)

3、 映画館の外に出ると、傾きかけた太陽の光線が民喜の目を射った。思わず額に手をかざす。 …

鈴木太緒
4年前
3

小説『ネアンデルタールの朝』④(第三部第1章-4)

4、 「明日香さん、この絵」 幾分心が落ち着いてから、民喜はカバンの中から絵を取り出した。…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑤(第三部第1章-5)

5、 ――どんな感じ? 手ぐらい握れた? ハートのスタンプと共に将人からラインのメッセージ…

鈴木太緒
4年前
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【新連載】小説『ネアンデルタールの朝』第三部第1章まとめ(①~⑤)

第三部 また朝が来てぼくは生きていた また朝が来てぼくは生きていた 夜の間の夢をすっかり忘…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑥(第三部第2章-1)

第2章 1、 翌日、民喜は大学の授業をすべて欠席した。体が重く、布団から起き上がる気力が湧いてこなかった。まるで自分の内にあるすべてのエネルギーを使い果たしてしまったかのようだった。 布団の中に潜り込んで延々と眠り続け、ようやく起き上がった頃には窓の外は薄暗くなっていた。 時計を見る。夕方の5時前。いったい何時間寝てしまったのだろう? 布団から起き上がったまま、しばし茫然とする。 何とかしてコーラス部の練習にだけは出ようと思い、民喜は布団から這い出した。とりあえずお湯を沸か

小説『ネアンデルタールの朝』⑦(第三部第2章-2)

2、 断片的な考えが脈絡もなく頭の中をグルグルと駆け巡っている。時折、大勢の人の話し声の…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑧(第三部第2章-3)

3、 大学へと続く通りが夕陽で明るく照らし出されている――はずなのに、その明るさが感じら…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑨(第三部第2章-4)

4、 ――どうしたらいいか分からない。大学でみんな、俺の悪口言ってる 数分後、「既読1」と…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑩(第三部第2章-5)

5、 何をやってる、早く起きろ! 頭の中でもう一人の自分が叫び続けている。でもどうしたこと…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』第三部第2章まとめ(⑥~⑩)

第2章 1、 翌日、民喜は大学の授業をすべて欠席した。体が重く、布団から起き上がる気力が湧…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑪(第三部第3章-1)

第3章 1、 眠れない日が続く。昼夜逆転どころか、ここ数日、昼も夜も十分に眠ることができな…

鈴木太緒
4年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑫(第三部第3章-2)

2、 月明かりの下、一人の男が前方を歩いている。時にフラフラと足がよろめく感じになるのは酔っ払っているからかもしれない。ヨレヨレの着古したオーバーを羽織り、頭には灰色のハンチングをかぶっている。 民喜はしばらく前から、この男性のあとにつき従っていた。 二人で歩き続けているのは、線路脇の狭い道だった。周囲の景色から何となく、吉祥寺の辺りではないかと感じる。 男は民喜が後ろからついてきているのに気づいているのか、気づいていないのか。一切後ろを振り返ることはない。少し前かがみの恰好