MUCA展

 こんにちは!

 今日は京都でやっているMUCA展を観に行ってきました。MUCAというのはドイツにあるアーバンアートと現代アートに特化した美術館のことで、MUCAはMuseum of Urban & Contemporary Artの略称です。アーバンアートとは都市部で発達した芸術文化なのですが、しばしば公共スペースに無許可で設置されるため、法的に問題があることも指摘されています。一方で、展示をするための専用の施設に赴かなくてもアートを楽しむことができるという側面もあります。アートをよりパブリックなものとして提供しているともいえますね。

 本展示の作品で最も著名な作家は、やはりバンクシーでしょう。世界各地で確認されている彼のアート作品は、どれも強烈なメッセージ性を帯びています。芸術作品といえば、西洋美術のイメージを持つ人は多いでしょう。額縁に入っている絵画はその典型ですよね。一方でバンクシーの作品は、都市部の壁面に描かれたりしています。僕が面白いなぁと思うのは、描かれる場所すらも芸術表現の一部になっているところです。

 バンクシーの初期の代表作に《Love is in the Air》という作品があります。有名な絵なので一度は目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。


Love is in the Air

 これ、実はパレスチナのヨルダン川西岸地区ベツレヘム郊外に描かれた作品なんですよね。そう、今まさに渦中の国です。長年にわたってイスラエルとの対立が続いているパレスチナですが、この地に作品を描くという行為そのものが、アート作品として成立しています。時間と空間すらも作品を担うピースの一つとして取り込まれていることが、とても興味深く感じます。

 芸術の面白さは、その時代の世界情勢や人々の生活が作品に現れる点にあると思っています。僕はそういった時代背景や人間の価値観の変遷を学ぶために、美術を鑑賞しているといっても過言ではありません。作品の美しさや繊細さへの興味だったり、技術的な関心も勿論あるのですが、一番面白さを感じているのは、作品の背景にあるバックボーンです。そして現代アートにおいては、今僕たちの生きている世界が、それぞれの作品のバックボーンになっています。

 MUCA展を通じて、僕たちが直面している様々な課題を再認識するとともに、アートの存在が世界をより良くするきっかけの一助になっていることを肌で感じました。社会への関わり方は人それぞれですが、今生きている世界が、少しでも良くなることを願ってやみません。それではまた。

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