『ここでしか聞けない!ドミ共のはなし』のはなし

 「国策ドミニカ日本人農業移住記念碑ということで……」
 パソコンの向こうにいる参加者に向かって、私は語り始めた――

 昨年3月下旬の一時帰国後、オンラインイベント『ここでしか聞けない!ドミ共のはなし』を開催してきた。
 ドミニカ共和国に派遣されていた同期隊員と企画・運営してきたイベントだ。ドミ共や協力隊に関する話を、過去14回、試行錯誤を繰り返し、参加者に伝えてきた。
 主な参加対象はドミニカ共和国や協力隊に関心のある人。昨今の世界情勢を受けて派遣されずに日本国内で待機している隊員や、30年近く前に派遣されていた大先輩が参加しており、回を重ねるごとに、緩い"タテの繋がり"ができつつあるように感じている。
 また最近は、他国の隊員や元JICA専門家、日本大使館で働くドミニカ人などがゲスト出演したり、ドミ共からの参加者が来てくれることもある。これまた、緩い"ヨコの繋がり"が広がればと考えている。
 15回目となる今回のテーマは「ドミ共にあるニッポン~日系社会と協力隊~」。私の発表担当回としては一旦最後になるだろうと思い、コツコツ準備してきた。
 結果だけ見れば、今回もまた新たな繋がりが作れたと自画自賛している。

 15回続けてきて感じているのは、「一時帰国も悪くなかったな」ということだ。
 もし、現地で2年間きっちり活動して、日本に帰国して、どこかに就職して……と順風満帆に進んでいれば、日本の方向けにドミニカ共和国のことを紹介する時間はおろか、任国での経験をゆっくり振り返る機会もなかったのではないかと思っている。
 オンラインイベントでの発表に向けて、自らの体験を振り返る……同期の発表を聞いて、忘れていた出来事を思い出す……懐かしい写真を見て、思い出に浸る……参加者からの質問にはっとし、考えさせられる……
 そして、イベントと関わっている時の私は、いつも頬が緩んでいることに気付く。
 あぁ、俺はやっぱりドミ共のことが好きなんやなぁ、と。

 「現地に1年いたんですけれども、そんなに大した活動はできずに帰ってきたんですが、今後もですね……」
 発表を終えようとしている。私は今回も笑みを浮かべながら、ドミ共の話をしていただろう。
 パソコンには再び、冒頭の移住記念碑の写真が映し出されている。
 私は言った。
 「日系移民の碑に書いてあったように『末永い両国の友好・親善を願う』っていう言葉。自分もその一助をこれからも担っていけるようにしていけたらいいなと思っています」

【日系移民についてはこちら

☆★☆★☆★☆★☆★
 『ここでしか聞けない!ドミ共のはなし』についてはこちら