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推しが、燃えた。

今月の大学同期小説オススメBot、別名渡邊くんよりオススメしてもらった小説を読み終わりました。
(彼の記事はこちらより。とても面白いのでぜひ読んでみてください。)

さて、今月読んだのはこちら。

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ご存じの方も多いのではないでしょうか。
宇佐見りんさん著、「推し、燃ゆ」です。彼女は本作品で芥川賞を受賞しています。もともと2019年に「かか」で文藝賞を受賞し同年に三島由紀夫賞も最年少で受賞している、注目の作家さんです。
御年21歳。年下の活躍には目を見張るものがありますよね、僕もいろいろ頑張ろうと元気をもらえます。

さて本題をば。

以下、内容をなぞりながら、僕の感情をプラスして書いていこうと思います。内容を見ないで読みたい方はいったんここでストップして、読み終えてから戻ってきてください。

この本の主人公はアイドルを推しに推している女の子。
「推す」というのは、芸能活動をしている人をファンが応援すること。
「推し」はその対象となっている人物のことです。対象となるのはいわゆるジャニーズ、俳優、アイドルはもちろん、今のご時世ならYoutuberもその対象になりえますね。そもそもこの推し、という言葉自体、作者の年齢を表すような単語で、僕は読む前に宇佐見さんの知識は0だったのですが、若い方の本なのかな、と思いました。

この本を読んでいて、主人公の狂気的な愛を感じた最たる部分は「推し」である自分を超えないというところでした。推しはあくまで一方通行。相手からの見返りを求めたり、見返りを求めるような姿勢はなく、本当に推しのことを応援し、好きでいる中で、彼女の周りの出来事・情景の描写が事細かく、かつとても素敵な言葉づかいで表現されています。

好きだったセリフは

ため息は埃のように今に降り積もり、すすり泣きは床板の隙間やタンスの木目に染み入った

深い海の暗さに吸い込まれていった

海水を立てた洞窟に、ぼおと音が鳴り響くような気味の悪さが体の中をただよっていて、それが空腹を通り過ぎた後にもにたえずくような痛みとなって胃をつつき回した

などなど…
文字だけで感情に突き刺さる文章がおおく、心を動かされました。
例に挙げた文のように、かなり重さのある描写が多く描かれています。
主人公の葛藤を通しながら、要所要所で自分が今まで経験してきた道のりを想起させるようなシーンがあり、ついつい読み進める手が止まらなくなりました。

最後に

小説をを読んでいるときって、心に余裕が生まれてきますよね。
というか、まとまった休ませてくれる時間を小説がプレゼントしてくれている気分になります。
忙しい生活をしていると、考えや価値観も窮屈になっていってどんどン自己承認ができなくなってきてしまっていたな、と実感しました。
そんななか、この小説で、いい話も重い話も読み終わった今、どこか心が晴れやかになった気がしました。小説大臣有難う。引き続きよろしくお願いします。
ぜひ、興味を持ってくれた皆さんも読んでみてください。

ではまた。

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私の常日頃の生活をベースに、皆さんの役に立てたり、探しているものを紹介できたらと思っています。今後もよろしくお願いします!