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段雛(特大)完成です

こんにちは。
伝統工芸・奈良一刀彫ブランド「NARADOLL HIGASHIDA」の職人見習い、阪本小雪です。
作家 東田茂一先生のもとで、日々勉強させていただいています。

3月3日は上巳の節句、おひなまつり。もうすぐですね。
節句人形を制作している私たちにとっては、一年の仕事の大きな節目であり目標となる日です。
今年もおひなまつりが目前に迫り、今季にお納めするお人形の制作も佳境を迎えています。

段雛小・中

NARADOLL HIGASHIDAの段雛は、中と小の2サイズがレギュラーとなっています。そのほかに別注というかたちで受注制作させていただく特大サイズがあり、状況次第で時々、特別にお作りさせていただく希少なお品です。
完成までに一年以上お待ちいただく場合が多く、毎年必ずあるとも限らないので、見習いの私にとっても制作過程を見られる機会が貴重な段雛特大です。今季は一つだけ。先日無事に完成しました。

段雛特大

この写真ではなかなか伝わりにくいのですが、桐箱の台からしてかなり大きく、全体的に段雛中サイズの2倍以上に感じる存在感があります。
ふだん中や小のサイズを見慣れているので尚更、「おおぉっっ…!」と圧倒されます。面積が広い分、彫りの細工や彩色も特別に施されていて、岩絵具独特の質感が際立ってとても綺麗です。

今回の制作にあたっては、工房で勉強や自分の持ち場の仕事をしながら、東田先生がこの段雛を作り上げていく過程を間近で見させていただくことができました。改めて奈良一刀彫の表現の奥深さに触れ、とても勉強になりました。

無事に完成するとまずは、工房一同で「眺めるタイム」。段雛の前に正座してじっくりと眺めさせていただきます。贅沢且つ少しの緊張感もある、幸せな時間です。
今回の段雛に限らずいつも、作っている過程では、全てが並んだ完成形を常にイメージしながらも一つ一つの工程の細部に集中しています。ノミ跡の端のほんの一筋や筆先の0コンマ数ミリに神経を尖らせていたミクロな目から、いざ完成してずらりと並んだ段雛の全体を見るマクロ視点に切り替わる瞬間。
夢のように目の前に現れている最高にかわいらしいおひなさまの姿が目から飛び込んで脳味噌に像を結ぶ瞬間が、なんともいえないスペシャルな体験です。

(一眼レフカメラを持参するのを忘れ、スマホでしか撮れなかったのが本当に悔やまれます……!)

「かわいい……。かわいい……。」と、しばし語彙力を失って多幸感に身を任せます。それからまた作り手の目に切り替えて、全体のバランスを吟味したり、一同で細部の最終チェックも重ねていきます。

見習いの私にとってはとても遠いところにある高度な技術と経験の結集に見えてめまいがしますが、やっぱり何と言っても奈良一刀彫のおひなさまが好きです。これに尽きます。
今はまだ自分の手で段雛を完成させることはできませんが、制作過程で先生方から聞かせていただくお話の一つ一つが金言であり、それらを蓄えて目標に向けて励んでいきたいと改めて思いました。

いま目の前の課題は彩色のべた塗りと胡粉仕上げ、、絵具各色の特徴を掴むことや筆使いの練習を重ねて、一歩ずつ憧れの段雛に向かって進んでいきたいと思います。

それにしても、段雛特大、綺麗でした…!
特大にしかない欄干もかわいいなぁ。岩絵具の松、素敵だなぁ。。

…と、なんだか取りとめのない文章になってしまいましたが、、また、工房での日々の様子を少しずつお伝えしていきたいと思います^^

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

NARADOLL HIGASHIDA Instagram
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