「自分」はどこで暮らし、誰と、何をして働くのか
青森出身の私(石山)は2018年4月にUターンし、現在はNext Commons Lab 弘前という取り組みを中心に、青森県弘前市で人と人をつなぐコーディネーターとして働いています。
昨今の社会情勢で、自分たちの取り巻く環境が大きく変わり、自身の今とこれからについて考える人も多くなったと思います。私の実体験を踏まえて、地方で暮らすことを選んだ(Uターン)した理由や、考えていること、今の仕事について少し書いていこうと思います。
*Next Commons Lab 弘前(ネクストコモンズラボ ヒロサキ) 通称:NCL弘前:地域おこし協力隊制度を活用して、新たなビジネスモデルの創出を目指す取り組み。全国11ヶ所で展開されており、弘前では2018年からスタート。事業開発に取り組むと同時に、自分たちの手で理想の暮らし方や働き方を実践。弘前でも地域資源の活用や課題解決のためのプロジェクトを立ち上げ、現在8名のメンバーがテーマに沿って活動中。
私がUターンした理由
私が今こうして弘前で暮らしているのは、アフリカのガボン共和国で2年間過ごしたことが大きなきっかけになっている。
熱帯雨林のガボンでは、暑かったら休む、疲れたからビールを飲む、仕事に来ない・しないということが多々ある。日本での「普通」に無意識に縛られていた私は、これが「非常識」と感じてしまい同僚とよくケンカをした。でも彼の言い分を聞くと、それがここでは「普通」だと言う。
私の周りにいたガボン人は、物事を引きずらない(覚えていない)。日本だと思いとどまることを全部直接言ってくる。そして翌日は何事もなかったように接してくる。
だから私も大いに全部思ったことを言っていた。そういうコミュニケーションはとても気持ちよかったし楽だった(慣れるまで大変だったけど笑)。
なんとなくどうなるかわからない未来や、リスクを考えがちな日本人である私は、今を本能のままに生きている彼らはとっても羨ましいとも思った。
一方、ガボンでは20才前後で出産経験があるのが普通。私は子どもは一人もいないと話すとどうした!?まじか!?大丈夫!?という反応をされた。そもそも結婚(婚姻関係を結ぶ)のも多くはなく、いわゆる事実婚も多い。
外部環境に身を委ねすぎるとそれが当たり前となり思考がとまる。ガボンでの2年間はギャップが日常的あり、何が正しいのか、普通なのか、悪いことなのか、常識・非常識…と言葉の意味がわからなくなる感覚があった。
生き方や働き方に対する価値観は、自分以外の人に決められるものではない。そうなのであれば、自分が一番自由に、やりたい場所で、やりたいことを、やりたい人たちとやればいい。
だからこそ、自分はどこで暮らし、誰と、何をして働くのかを強く意識するようになった。起点を「自分」に向けて考える癖がついた。そうしないと判断基準がわからなくなるから。その後モチベーションを保ち続けるのが本当に難しいから。
そう考えた時、私は「どこで暮らすか」について、自分が生まれ育った青森が最初に出てきたのだった。私はここで幸せに暮らしていくために、こうなったらいいなと思うこと、できれば良いのにと妄想していたこと、なんでこうなってるんだっけという疑問や怒り似た感覚。それらの実現と、仮説検証するために帰ってきた。これができると、多分面白いし自分の幸せに繋がると思って。
「コーディネーター」という仕事
コーディネーターという仕事に出会ったのは、帰国し東京で働いたNPO法人ETIC.でのこと。3年を修行とおき、東京にいながら地域のひとたちと一緒に仕事をさせてもらった。色々なアプローチで人をつなぐコーディネーターとしてのノウハウを積ませてもらい、快く送り出してもらって青森に戻ってきた。
「なにかやりましょう!」
この言葉は帰って来てから何度も耳にした。
なにかをやりたいという気持ちを持つ人は多い。でも実行に移せる人は実は少ない。やり方がわからなかったり、人手が足りなかったり、一人だと踏み出しづらい、やる機会や環境が整っていないことが地方だと多い。私はその部分を拾い上げて、一緒に考え、設計して伴走している。
「オンライン大人の社会科見学」は、コロナ禍でこれまで販売できていた商品の行き場がなくなっている事業者を支援するために立ち上げたもの。
首都圏にいると消費する行為が圧倒的に多いが、地方にいると生産現場が身近にある。弘前の酒蔵「カネタ玉田酒造」さんは創業330年の日本酒蔵。参加者には事前に日本酒を送り当日オンラインで蔵とつないで日本酒を飲みながら、杜氏の玉田さん自身による蔵の説明と交流をした。
この生産現場というのがとても面白くて、普段は見られない・実は知らないことがたくさんある。けれども当事者はこの光景が当たり前すぎて気が付かない。
これらを掛け合わせイベント化した企画だ。このシリーズは首都圏からの参加者が大半で初めて事業者や商品を知ったという参加者も多い。その後もオンラインでの注文が入っている等の声も聞いている。
私たちの拠点オランドで期間限定でお店を開く「一日店長」。弘前在住の福島さんはとても料理がお上手で、Iターンにも関わらず郷土料理を振るまっていることを知っていた。一日店長に福島さんも興味を持ってくれ、15食限定でランチで提供し、当日はたくさんの方にお越しいただいて完売。福島さんは帰りに「今日はちょっと良いお寿司買って帰ろう♪」を言っていたのが印象的だった。
そしてNCL弘前も今メインの仕事でコーディネートしている仕事の一つ。弘前の地域資源の活用や課題解決のためのテーマを掲げ、そのテーマで事業開発に取り組む起業家の育成支援というもの。私は各テーマでチャレンジしているラボメンバーと呼ばれる、起業家6名の伴走支援をしている。
彼らはコロナ以前に、「自分のこれから」を考えた時に「このテーマで弘前でチャレンジする」を自分で決め、飛び込んできた。昨今の情勢で影響が出てはいるか、それぞれ工夫しやり方を変えながら前に進んでいる。
いろいろ、これからどうなるのか不透明なことが多い世の中だけれども、自分たちで「決めていける」という生き方をしている人は多分強い。
ただそれを出来ない人も多いから、私はその人がその人らしく生きていけるような手伝いをここでしていきたい。こういう人たちが集まり、自分の意思で挑戦していく場や機会をつくることが私がやりたかったことだと、自分の中で少しずつ整理されてきている。
さいごに
なんだか長々書いてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。青森に弘前に暮らしながらも様々な挑戦が出来る機会があって、そんな人を増やし、人の循環を生みたいと思って仕事をしています。
もし弘前に、私の取り組みに興味を持っていただいた方、ぜひ連絡ください。私のように人をつないで形にしていく「コーディネーター」、あるテーマで起業をしていく「ラボメンバー」共に絶賛募集中です!(募集プロジェクト詳細はこちらから。9月末締切です)
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次回のNCL弘前オンライン説明会は9月3日(木)19:30~。こちらからお申込みください。
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Next Commons Lab 弘前事務局(担当:石山)
青森県弘前市百石町47-2
Web:http://nextcommonslab.jp/hirosaki/
E-mail: nclhirosaki@googlegroups.com
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書いた人:石山 紗希
青森市出身。弘前大学農学生命科学部卒業後、青年海外協力隊に参加。アフリカ・ガボン共和国にて2年間農業普及員として活動。その間にふるさと青森への想いが強くなり、帰国後は3年後のUターンを見据えて東京のNPO法人ETIC.に参画。実践型学生インターンシッププログラムや、都市部の人材と地域とをマッチングするイベントの企画運営、都市部社会人が地域へ企業への転職支援プログラム等を担当。 2018年4月にUターン、現在は弘前の起業家育成支援事業であるNextCommonsLab弘前を中心に人と人をつなぐコーディネーターとして活動中。
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