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私の独り言⑫ある看護師さんの事

まだ私がデイサービスで朝から夜遅くまで頑張って働いていた頃の話。

約1年前に色々あって退職したが、デイサービスでの日々は楽しかったし、めちゃくちゃ忙しかった。

そんな毎日忙しい我が職場に若くて可愛らしくて仕事が出来る女の子が非常勤としてやってきた。

詳しくは知らないけれど


なんでも…大学で看護師の勉強をして卒業する時に国家資格の試験を受けたけれど落ちてしまったらしい。

すっかり自信を無くしてこれからどうしよう、とりあえず働かなくちゃ部屋代もあるし、生きていかないといけないということで縁あって採用されたようだった。

彼女は、1度伝えるときちんと出来るし笑顔も素敵だし、私的にはこのまま正社員になってくれたら良いのになどと思っていた。

デイサービスでは色々な事を全員が出来ないと一人の負担が大きくなる。

入浴介助、トイレ介助、歩行介助などの身体介護からトイレットペーパーの補充などの雑用まで様々。

そして朝の会、口腔体操、帰りの会の司会など利用者様の前に立ってあれやこれやもしなければならない。

彼女は人前に立って大きな声でアナウンスする事が苦手の様だった。

数回私も手伝ったが、彼女は顔を真っ赤にして話していた。

残念ながら声が小さかった。(利用者様は皆さん高齢者。聞こえにくい方ばかり)

それでも一回目より二回目、二回目より三回目と少しずつ少しずつ成長していって1ヶ月もすると、なんとか一人立ち出来るまでになってくれた。声もまだまだ小さいが初回に比べると…ちょっぴり大きな声がでるようになってくれた。

1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と過ぎた頃。

スタッフにはベテランの看護師も働いていて刺激になったのかもしれない。

少しずつだがスタッフとも色々な話が出来るまでになってくれたようだった。

ある時、彼女がもう一度国家資格試験を受けてみようかと悩んでいると噂になった。

本人に直接聞いてみた。

デイサービスに入ったばかりの頃は落ち込んで、全く考えていなかったらしいが働いていくうちに人と接する事が楽しくなり、先輩看護師を見ていて看護師になりたいと改めて思うようになったそうだ。

もともと看護師になるために大学へ行っていたのだからとスタッフ皆が背中を押した。

彼女はデイサービスの仕事をしながら受験勉強を始め、数ヶ月後試験を受けた。


結果

さすがでした。見事合格。


残念ながらそれから数日後、病院に就職が決まり我がデイサービスは辞める事になったけれど。

惜しい。

でも私達の職場が素敵だったから。

スタッフも利用者様も素敵だったから。

と思って良いですよね。

彼女にとって今後体験しないかもしれない、慣れない司会もきっと財産になったのではないかと思う。

ふと思い出したので綴ってみました。

読んでいただきありがとうございます。

今日も明日も良いことがありますように