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NCCスペースの設計と建築家と

こんにちは。
NCCスペースの設計に関わっています建築家の牛島です。
NCCスペースは長浜えきまちテラスの一階の芝生広場の前の一画にあります。
以前はカフェや牡蠣小屋が入っていたのですが、NCCの活動の実際の場所としてこの場所を施設の内容に合わせて、改修していきます。
その設計の過程をオープンにしていくためにも今日はそもそものお話しを書いていきたいと思っています。

1. そもそも建築家ってどういう人?

そもそも建築家ってどういう人なんでしょうか?
一般の人から最も有名なのは隈研吾氏や少し前は安藤忠雄氏などが挙げられると思います。
湖北エリアには建築家の作品は少ないものの、米原市には遠藤秀平氏の湾曲したコルゲート鋼板の駐輪場や多面体の保育園、錆びた外壁が特徴の醒ヶ井駅などの「作品」があります。
滋賀県で一番有名なのは言わずもがな、藤森照信氏のラ・コリーナがあります。

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でも、建築家の人って、人のお金を使って「自分の作品」を作る人って思う人もいるだろうし、事実バブル時代までは独りよがりな自分の作品を作る人が多くいたことも事実です。

2.建築家の役割は変わった?

でも時代も徐々に変わりまして、建築家の求められる役割も変わってきました。

昔は先生などと呼ばれ、立場が強く
もありました。新規で必要な施設も多くあり、お金のある時代でもありました。ですので自由に設計をしたり、無理やりなデザインも出来ました。

しかし、新規で必要な建築物も少なくなり、お金のある時代も終わりました。そして政治的な理由で10年前に公共事業が減り、高齢化もあり、工務店が減っていきました。ですが再び政治的な理由で公共建築が増え、さらに職人さんが減った関係で、工務店(建物を実際に建てる人)側の人の立場が強くなりました。また環境性能にかかる費用も大きくなり、全体的に建築にかかる費用が大きくなり、デザインにかけられるお金も減っています

また、使い手側が不在で使いにくい建物が多く作られ、人口減少もあり使われていない施設も多くなりました。
ですので、建物の発注者も独りよがりの作品ではなく、まちに対して開いたもの、まちのひとに使われるものを作って欲しいという要望が強くなりました。

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ex. o+hによる住民の意見を取り入れながら作られた多賀町の公民館

もちろん現在も、建築家に作品を求める人や、作品を作りたいと思う建築家も多くいますが、そうした時代背景から作品を作ることを目的とする建築家も少なくなったのが実情です。

3.今の時代の建築家って?

では今の時代の建築家はどうなってきているのでしょうか。
代表的な新しい時代の建築家はオンデザインワークビジョンズなどが挙げられます。

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引用:ワークビジョンズ 岩見沢複合駅舎https://www.workvisions.co.jp/workvisions/works/%e5%b2%a9%e8%a6%8b%e6%b2%a2%e9%a7%85/

それらの建築家は設計の過程にワークショップを取り入れたり、模型を使って情報を共有することで、一般の人の意見を取り入れ、一緒にディスカッションして建築を作り上げていきます。

上記のワークビジョンズによる岩見沢駅は市民の意見を取り入れるだけではなく、煉瓦の一部を市民に購入してもらい、名前を刻んで壁に実際に使ったりと、市民が愛着を持つ仕組みにも関わっています。

デザインに関しては建築家はまだ先生かもしれませんが、実際の設計(特に使い方)においては「調整者」としての役割が強く求められています。


4.NCCの設計はどうなっているの?

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NCCスペースの設計も勿論、そのような課程を踏まえています。
今回は通常行う施設の内容を決めるワークショップでは、一部の人の意見しか取り入れられない可能性があること、またすでに場所があることから、モニタリングワークやヒアリングを中心に意見を取り入れています。

それらの意見を元に、模型に落とし込み、十案程度の案を作りました。

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一案一案特徴を持ち、それらをチームメンバーとディスカッションしたのちに、現在は一案に絞られてそれをブラッシュアップしています。

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中の「水路」が「開口」につながっていくようなデザインです。
どうしてこのようなデザインになったのかも、合理的な理由や使い方の意見を取り入れた上で決定しました。

5.最後に

その設計の詳細な理由に興味がありましたら、一度NCCに遊びに来ていただければと思います。すべての模型やご意見なども展示しています。

また9月からはこの施設を知ってもらうためのワークショップなどを行っていきますのでお知らせできればと。

年内の竣工に向けて一歩一歩進んでいっています!
宜しくお願いします!

長浜カイコー(Nagahama Creation Center)
住所: JR長浜駅東口すぐ えきまちテラス1階芝生側のスペース
メール: nagahama.creation.center@gmail.com

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