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この理由で博士課程に行ってはいけない

この理由で博士課程には行ってはいけない

あくまで、個人の経験と感想ですが、博士過程に行っては行けない理由をまとめました。

  1. 否定的な理由で進学しない
    就活がうまく行かなかったとか、社会に出たくないとかの理由で進学するのはお勧めしない。
    これは問題の解決ではなく、逆に悪化させている。博士課程に進むと就職の範囲がぐっと狭くなる。僕は修士課程、博士課程両方、自由応募で就活したのでその状況を良く知っている。
    どんな職でもいいので正社員で雇用があれば、そちらに進む事を勧める。

  2. 人生の一発逆転で進学しない
    例えば、他人に劣等感があって、それを覆すために自分を何か特別な人間にしたい。
    そんな理由で博士課程に進む事は絶対に辞めた方がいい。
    博士課程は望めばほとんどの人が進学可能である。
    しかし、修了した後には、アカデミックだろうが民間企業だろうが、凄まじく厳しい就活が漏れなく付いてくる。
    博士号を持っていても給料はたいして変わらないし、別に特別な存在でもない。同じような意味だが、何となく博士はかっこといいみたいな理由で進学するのも止めた方が良い。

  3. 先生の言葉は鵜呑みにしない
    博士課程に進む事を指導教員に相談すると、まず100%勧められる。
    君は研究に向いているとか、がんばればアカデミックにも残れるなど、普段の10倍ぐらい褒められる。
    たとえ先生の助言で進んだとしても、博士課程は自己責任の世界である。
    しっかりと自分の意志を持って進んでほしい。

  4. 勉強が好きだから進学するのも良くない
    大学院は勉強する事ではなく、研究するところである。
    勉強とはこれまで知られている知識を学ぶ事であり、
    研究とは新しい知識を開拓する事である。
    これは中々進まなくて骨の折れる作業だ。
    また、自分の研究成果が100%本当に正しいか分からない。
    これを正しいと言い切るには知識や頭の良さ以外に、度胸も必要である。
    勉強は得意だが、研究が苦手な研究者を僕は山のように知っている。

  5. もう少し研究をしたいと言う理由で進学するのも結構危険な発想だ
    確かに修士課程の2年では物足りないと感じるかもしれない。
    しかし、そのもう少しは3年である。
    20代半ばの3年間を、たいていの人は社会人として過ごすのに、自分は学生として過ごす事を考えてほしい。これほど社会的にデメリットは存在しない。
    修士課程修了で社会人になっても、会社で研究が出来る場合もあるし、研究以外に生き甲斐も見つかる。もっと研究の外の事も見つめてほしい。

  6. 奨学金を救いの手だと思わない
    博士課程に進学するには金銭的な事も問題になってくる。そのハードルをぐっと下げるのが奨学金だ。博士課程に進学すると大抵、何らかの形で奨学金が貸与される。これが博士課程進学の大きな誘惑になるのは間違いない。僕自身も奨学金があったからこそ進学した。しかし、借りた物は必ず返さないといけない。日本学生支援機構から第1種奨学金を3年間借りると400万円以上になる。

    しかも修士、学士の時に借りた奨学金も並行して払わないといけない。
    学士、修士、博士すべてで奨学金を借りたとすると、月々3万円以上を20年間払う事になる。
    運良く博士修了後、一般企業に正社員で入社できたら、初任給はおそらく25万円ぐらい。
    そこから税金が引かれて20万円が手取り。光熱費、家賃で約8万円ぐらい引かれたとして、残り12万円。そこから3万円引かれるのである。結構大きな額である。
    出来る事なら小額を親に借りてお世話になる事を勧める。苦労せずに大きなお金を持つと人はどうしても使ってしまう。

それでも進学したい人のために

それでも博士課程に進みたいのなら、修了後どうなりたいのか明確にしてほしい。そうでないと3年間努力が続かない。
研究はどうしても辛い時がある。うまく進まない時もあるし、やっている事の価値も分からなくなる。しかも、3年間の途中でドロップアウトする事も難しい。
そこで進学する前の比較的精神が自由な時期にどうなりたいのかを明確にしてほしい。
アカデミックに残るとか、企業に行くとかたったそれだけでも良い。間違ってもずっと学生が続くような錯覚には陥らないでほしい。しかし、実は結構こういう人は博士課程に多い。

そして、なるべく人に分かりやすい結果を残してほしい。それもD2ぐらいまでに。成果は論文や学会発表賞など、第3者から評価された物を残してほしい。そうするとD2の夏ぐらいに短期留学をして、民間企業、アカデミックどちらでも可能な選択肢が出来る。

こんな事を書くと博士課程はリスクばかりに感じるかもしれない。はっきり言ってそうである。
もし普通の人生を生きたくて、それでも博士号が欲しいなら間違いなく社会人ドクターを勧める。
この場合就職の問題はゼロである。博士号だけ欲しいなら無理して博士課程に進む必要は無い。
また、大学は少子化問題でどうしても社会人を受け入れざるを得ない。そうすれば社会人ドクターの間口ももっと広がると思う。そこで、博士号をとれば良いと思う。

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