見出し画像

命の授業から見えてくる「食育」の欺瞞

小学校のクラスで豚を飼育して、最後に食べるか食べないかを決める、「命の授業」という有名な授業があります。

最近では、いろいろな学校が、豚だけでなく、鳥や魚等で同じ試みをしているようです。

日々我々が食べるスーパーで売られている肉も、もともとは同じ豚であり、誰かがそれを育て、そして殺している。生き物を食べるという事はどういう事なのか、子供達自身で体験して考えてみてほしい、という事だと思います。そこには、「我々は生きる為に命を犠牲にしなければいけない」という理念を子どもたちに教えたい、という狙いがあるのだと思います。

こちらの記事で詳しく書きましたが、経済が豊かな現代の国において、肉を食べないと生きていけない人はいないと考えてよいでしょう。肉を一切食べずに問題なく健康に生きている人は世界中にたくさんいます。つまり、我々には食べるために「動物の命」を犠牲にする必然性はありません。われわれは嗜好の為、快楽の為に肉を食べているのです。命の授業ではその事実には目を瞑っています。教えている先生達も、この事実には気づいていないのだと思います。「我々は生きる為に命を犠牲にしなくてはならない」、その理念は実はまやかしで、「人間は動物の命を犠牲にせずとも生きていける」のが現実です。

命の授業には、「肉を食べるのをやめる」という選択肢はありません。「豚ちゃんを殺して食べる」か「豚ちゃんは殺さないで他の肉を食べる」の二択しか提示しません。子ども達に自由に考えさせる、と謳いながら、大人たちは子供を自分たちの望む方へ強制的に誘導しています。「肉を食べるのは必要な行為である」という事を子供達に植え付けようとしているのです。これは欺瞞です。おそらく、大人達も「肉を食べるのは必要な行為である」と思い込んでいるから、自分達の欺瞞に気づいていないのでしょうけど。

インドには宗教的な理由からベジタリアンの人がとても多いのですが、みな健康に生きています。世界にはヴィーガンでありながら素晴らしいパフォーマンスをするアスリートもいます。

こういった事実を教えずに「命の授業」をするのは間違っていると私は思います。「肉を食べるのは生きる為に必要なことなんだ」という欺瞞を信じて育った子供が真実に気づいた時、どう思うでしょうか。

このような命の授業は、日本に溢れています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?