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肉は食べたくないクセにフェイクミートを食べるのは間違っている

フェイクミートを食べるヴィーガンに対して、肉を食べたくないくせにフェイクミートを食べるのは「負けている」というようなイジワル/いちゃもんを言うヘイターがたまにいるので、そうとも限らないですよ、という話をしようと思います。

私が働いているカナダの小売店で売られているフェイクミートを見てみます。

フェイクミート


冷凍モノ

いろいろなタイプの商品がありますが、バーガー風のものやソーセージ風に成形されているものがとても多いと思います。これはどういう事かを理解するには、北米人の食文化を知る必要があります。ハンバーガーやホットドッグは北米人にとって、とりあえず手っ取り早くお腹を満たし栄養もとれる食べ物として、とても大きな位置を占めています。どちらも、バンズを買ってきて肉をオーブン等で焼いて挟むだけでほぼ完了。さらにレタスやトマト、チーズを適当に挟んでケチャップとマスタードをかければ、タンパク質、炭水化物、野菜を効率的に接種できる、とても優れた食べ物の完成です。

お米が主食の日本人にはなかなか想像できませんが、毎日のようにホットドッグやハンバーガーを食べる北米人はけっこういます。上等な食事とは言えませんが、独身の日本人が毎日のようにカップラーメンやレトルト食品を食べるような感覚に似ています。

ハンバーガーを食べるにはパテに替わるものが必要です。だからパテの形に成形したフェイクミートの需要があります。ホットドッグを食べるにはソーセージに替わるものが必要です。だからソーセージの形に成形したフェイクミートの需要があります。つまり何が言いたいのかと言うと、肉が食べたいのに食べられないからフェイクミートを食べるのではなくて、ハンバーガーやホットドッグを食べたいから、それにフィットするように成形された何かを食べたい、というのが正しいです。フェイクミートの主な成分は豆や穀物由来のタンパク質ですが、豆や穀物はそのままだとハンバーガーやホットドッグに挟むのには適していません。野菜と炭水化物のみではタンパク質が足りません。

いろいろな理由でヴィーガンになる人がいますが、食べるものが変わっても食生活そのものはなかなか変えられません。仕事から疲れて帰ってきて、今夜はとりあえず何か適当な物食べればいいか、っていう時に、欧米人はよくハンバーガーやホットドッグを食べます。ヴィーガンになってもその習慣は変わりません。その為にフェイクミートの需要があるのです。

日本ではフェイクミートの需要は今のところかなり低いようです。これから上がっていくのかもしれませんが、北米とは違う形で発展していくのではないかと予測しています。なぜなら食文化が違うからですね。ホットドッグやハンバーガーは、日本でも馴染みのある食べ物ではありますが、北米のようにがっつりと生活に馴染んでいる、毎日のように食卓に現れるものではないからです。

私個人はペスカタリアンですが、フェイクミートは一切食べません。なぜなら私はグルテン不耐症で、もともと体がパンを受け付けないからです。カナダに住んでいますが、ペスカタリアンになる前からずっと米ばかり食べているので、ホットドッグやハンバーガーは一切食べません。つまりフェイクミートを食べる必要があまりないのです。

食べてみたことはあります。食感としては、肉と思って食べるとやはり物足りなく感じます。Meat Tenderizer を使って柔らかくしたステーキの食感にとても似ていると思いました。

酵素を利用して肉のタンパク質を分解すると、食べた時に肉が口の中で消えていくような食感になります。確かに柔らかくはなるのですが、肉独特の噛み応えがなくなり、美味しいとは個人的には思えませんでした。

フェイクミートにも、これと同じような食感があるように思います。肉の美味しさとは、タンパク質を噛んだときの弾力と、そこから溢れ出る肉汁がとても重要なのだなと思いました。フェイクミートは、米やイモ類のでんぷん質を利用して、水分を閉じ込めるような工夫をしていますが、噛みごたえが乏しく、やはり肉と比べると明らかな違いがありますね。またソーセージは腸詰めですから、腸を加熱した時のあの独特のパリっとした感じは植物由来のものではなかなか難しいようで、なんかグニョグニョした残念な食べ物に感じてしまいます。

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