女性に攻撃的なのは「イケてる男」と「陰キャ」両極端の男性だった
女性に対して敵意や憎悪を抱く性向を「ミソジニー」といいます。
ノルウェー・ベルゲン大学(University of Bergen)は最近、ミソジニーを抱きやすい男性の特徴を自己の魅力評価との関連性から調べてみました。
その結果、女性に最も攻撃的になりやすいのは「俺はイケてる」と自らを過大評価する男性、および「僕はどうせ陰キャだ」と自らを過小評価する男性の両極端な2タイプであることが判明したのです。
またミソジニーを抱きやすい他の特徴も明らかになっています。
研究の詳細は2024年8月5日付で心理学雑誌『Scandinavian Journal of Psychology』に掲載されました。
参考文献
元論文
Predicting hostility towards women: incel-related factors in a general sample of men
https://doi.org/10.1111/sjop.13062
ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
ミソジニーを抱きやすい男性の特徴とは?
ミソジニー(misogyny)は女性に対して敵意や憎悪を抱き、軽蔑したり偏見を持つ負の性向です。
これは女性の価値を不当に落として、社会参加を抑圧したり妨害する差別的で不平等な行動につながります。
また個別のケースとしては、特定の女性に対する言葉や身体的な暴力、性加害などに発展する危険性があるため、非常に問題視されています。
(ちなみに男性に対して敵意や憎悪を抱く性向は「ミサンドリー(misandry)」と呼ばれる)
そこでベルゲン大の心理学研究チームは今回、ミソジニーを抱きやすい男性の特徴をより詳しく明らかにしようと考えました。
ここで調査項目に選んだのは、以前からミソジニーとの関連性が指摘されている権威主義的性格(※)の他、自己の魅力評価、拒絶されることに対する感受性、孤独感などです。
(※ 権威主義:権威をたてにとって行動したり、古い伝統に盲目的に服従する個人や社会の態度を指す)
調査では英国在住の18歳〜35歳(平均年齢26歳)の健康な男性473名を対象としました。
これらの参加者は、学術的な調査データの収集を支援するオンラインプラットフォーム「Prolific」を通じて集められ、参加者には8ポンド(約1500円)の報酬が支払われています。
そして参加者は専用のアンケート用紙によって、権威主義や自己の魅力評価、拒絶への感受性、そしてミソジニーの程度を測定する一連の質問に回答しました。
その結果、ミソジニー性向と最も強く関連していたのは「権威主義」でした。
権威主義的な性格が強い参加者ほど、女性蔑視や性差別の特徴を示しやすかったのです。
これは権威主義者が厳格な社会的階層や性別ごとの役割に関する古い考えに固執していることが原因と見られます。
また一方で、権威主義ほど強くはないですが、拒絶されることへの感受性が強い男性も女性に対する否定的な態度を持ちやすいことが示唆されました。
これは例えば、女性への誘いを断られたショックが女性への敵意や憎悪に変わってしまうことと関連していると推測されます。
しかし最も注目すべき発見は、自己の魅力評価と女性蔑視との興味深い関連性でした。
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