見出し画像

文化系の謎キャリア・インタビュー② Kahoさんに聞く、「ありのままの自分」で「したいことをする」キャリアとは・・・

(記事担当:市岡冬音子)

取材するにあたって

■Kahoさんの「勇気」から「出会い」へ
Kahoさん(23)。美容室の広報・デザイナーとして美容業界で活躍する一方、「Kaho かほ【ニキビ・ボディポジティブ】」としてSNSでの発信も行い、活躍をされている。
特に私が注目したのはSNSで「ボディポジティブ」を発信している姿だ。なぜなら私自身、趣味としてヨガや筋トレといったボディメイクをしていることもあり、その趣味を通してヘルスケアやフィットネスに興味を持っているからだ。しかし、その中には「モデル体型」や「痩せ体型」に執着し、自身の身の危険を冒してまで痩せようとする人が周りにたくさんいる。私自身も最近まで「痩せ体型」に執着し体調を崩してしまった。そんなとき、出会ったのが彼女のSNSであった。そのSNSの内容は、彼女自身の体型を包み隠さず日常を公開する姿であり、「痩せ体型」にこだわり体調を崩したころの経験から独自の思いを発信している。誰かの勇気になるように、先陣を切り、活動をしている彼女に話を聞いてみたいと強く感じた。

■「美容業界のデザイナー」×「SNSでの発信者」
今回取材をさせていただき、Kahoさんのキャリアを見ていくと「美容業界でのデザイナー」として、または「SNSでの発信者」として、自分の得意分野で「自分のしたいことをする」ことが、より深く結びついていることがわかった。彼女がこう語る。

人間には何をするにも「得意」「不得意」があります。そこで誰かの「得意」が誰かの「不得意」であったり、「不得意」が「得意」であるかもしれない。だからそれをお互い補ってあげることができれば、自分の「得意」なことを自由にすることができるのではないでしょうか?

だからこそ、「不得意」な部分を受け入れ、得意分野での活躍を目指す、美容業界デザイナーでのキャリアもSNSでの発信もとても興味深いものであった。

美容業界でのキャリア

■主に美容室での広報・デザイナーとは
Kahoさんは前職として美容室を経営するある会社に属し、広報・デザイナーとして活躍されていた。今の時代、美容室探しには予約サイトを使い、他店舗と比較しながら美容室を決めることが多いのではないだろうか。そこで、予約サイトでの自店舗の情報を公開するために彼女の仕事が活躍するのだ。他店舗より多くの顧客に利用してもらうためには、魅力的なデザインをどのように施すべきか、を考えるのだ。またスタッフ(美容師さん)のInstagramにおいても、投稿のアドバイスをしたり、美容室の良さをアピールすることに携わっている。
私は、そういった作業はすべて自店のスタッフが行っているものだと勘違いしていた。実質、自店のスタッフだけで運用している店舗もあるらしい。しかし、彼女が広報・デザイナーとして活動をする理由が2つある。それらを以下に紹介する。

■活動をする理由とは
1つ目は美容室のプロモーションをする人がいなかったから。美容室のプロモーションとして、「美容師スタッフの求人」「スタッフの教育」「美容室への集客」の3つがあるそうだ。Kahoさんはその中でも集客に焦点を当て働いているのだ。
2つ目はスタッフには得意分野で伸び伸びと活躍してもらいたいから。スタッフは、顧客への美容師サービスを提供するだけでなく、1つ目にも上げたように3つのプロモーションを並行し行わなければならないそうだ。それには、相当な負担と労力がかかることは私にも想像がつく。だから彼女はこう語る。

スタッフには、自由に好きなこと・得意分野で伸び伸びと活躍してほしいと願っています。

Kahoさんの活動の背景には、このような思いがあったのだ。

■「新たな挑戦」から「理想的なキャリア」へ
上記の2つの理由があってこそ、今年の4月から「1つの美容室に1人のデザイナーを」をかかげ、個人事業主として活躍していくそうだ。「自分のやりたいことを得意分野で」として、美容室のスタッフ・デザイナーがともに活躍できる場をつくる。その姿は私がキャリアを考えていくうえで、新たな理想像として浮かび上がった。

↑美容室のプロモーションでのお仕事の様子↓

SNSで「発信者」をするもう一つのキャリア

■もう一つ「得意なもの」としてあった「SNS」を使って
上記でも示した通り、Kahoさんは自身のキャリアにおいて「自分の得意分野でしたいことをする」ことを大切にしていると感じた。その1つとしてSNSでの発信もそうではないのかと思い、話を伺った。KahoさんがSNSを始めたのは、SNSを使ったコンサルティングをしていたほどSNSが好きだったから。だからSNSを使い、彼女の美容や健康に対する思いを共有したいと始めたのだ。実際、そのSNSでの発信は彼女自身の経験や悩みをあげているものが多い。特にその中でも自身のダイエット経験から「日本人女性の体型」に関する考え方の発信が注目を集めている。

KahoさんのYouTubeチャンネル

■歪んだ「体型価値観」から「生きづらい日常」へ
「痩せ志向」が強い日本では、多くの若い女性に体型で悩んでいるのではないのだろうか。私自身もその一人であったし、彼女もその1人であった。ここからは実際に聞いた彼女の経験から話をする。
高校生の時に始めた「ダイエット」をきっかけに自身の体型に悩み始めたKahoさん。当時は「0か100か」でしか考えることができなかった彼女は、健康状態が危ぶまれるほど過激なダイエットにのめり込んでしまった。その反動でくる「過食」。そしてまた増えてしまった体重を減らすためにまた過激なダイエットを繰り返す。やがて働き始めると今度は仕事でのストレスが合わさり、過食が続く一方であった。5年間、体重の増減を繰り返し、精神的にも身体的にも負担が重なり限界だった。以前のように食事を楽しむことができない。家族や友人との時間でさえ心から楽しむことができなかった。だから、以前の自分よりもどんどん自分のことが嫌いになっていき、同時に生きづらさも感じていたのだった。

KahoさんのInstagram

「ボディポジティブ」
しかし、そんな日々を過ごしていく中で、Kahoさんは痩せているときも自分には満足していないことに気づき始めた。彼女がこの時、感じていた「自分に満足していない」ということは体型を気にして自分の時間、他人との時間を疎かにして生きていかなければならない「生きづらさ」が根本としてあったそうだ。「自分に満足していない」=「自分が嫌い」ということが生きづらいベースを作ってしまっている。そう感じてから、体型という「見た目」ではなくメンタルヘルスに焦点を当て始めた。そんな経験から、「Bodypositiveボディポジティブ」という考え方に出会うことができたのだ。彼女はこう語る。

「ボディポジティブ」とは、どんなときでもありのままの自分を受け入れる、という考え方です。重要なのは「必ず自分を愛さなければならない」ということではないこと。「愛す」とかではなく、「嫌い」というベースがあるのなら無理やり「愛そう」とするとかえって生きづらいと思うんです。 嫌いであれば嫌いでもかまわない。そんな自分も自分であるから、そのままの自分を受け入れることこそ大切だと思っています。

こうした考え方が彼女の中で生まれたことで、「痩せは美」や「自分を愛す」という枠にとらわれない彼女自身のキャリアが出来上がった。

KahoさんのTikTok

自身のキャリア経験から伝えたいこと

■「枠」にとらわれることをやめたことで
もともとKahoさんは雇用が重視されがちな日本の働き方にすごく生きづらさを感じていたのだ。そんな「雇われる」という一枠を脱ぎ捨て、自分からどんどんのびのびと好きなことをできる道を切り開いていこうとした。結果として、4月から個人事業主として働き始め、並行してSNSでの発信にも力を入れ始めたそうだ。こうした自身が経験したこと・悩みを「経験してほしくないこと」として、先陣を切って多くの人に発信する。だからこそ、YouTube以外収益化しておらず、それが誰かの勇気になればいい、そして誰かに寄り添うことができればいいと、そんな思いがあるのだ。

「生きやすい」環境へ自分の身を置くこと
SNSでの発信を始めたころは、まだ自身の生きづらいベースの中でいた。ダイエットの反動で得た「過食」はまだ改善されていない。しかし、こうした彼女の生きた証、生きている証拠をリアルに共有することで、応援の声や救われた声がDM(ダイレクトメッセージ)や動画のコメントとして寄せられる。そこから自身の症状改善に向け一緒に頑張れることができると、この発信のやりがいを感じるそうだ。もちろん、批判的な声もある。一方でそもそも万人受けは難しいとも気づいたのだ。また日本人の痩せが美とする意識によって歪んでしまった「体型」へのあり方もそうである。自身の体型に対しても、万人受けされる体型になる必要はないのかもしれない。それなら、自分が心地いいと思え、自分らしくいることができる環境で、自分の好きなことをしていたほうが、彼女にとって「生きやすい」ということに、この発信を通じて改めて感じたのだった。

最後に

この取材を通して私はKahoさんが「ボディポジティブ」=「どんな自分もありのままうけいれる」こういった考え方に出会うことができたのは、彼女自身の中にあった疑問や関心から始まり、それを声に出して共感を求めたからであると感じた。その勇気のある行動に、同じ疑問や関心をもった多くの人が興味を持ち、意見交換をし始めたのであった。だからこそ、自分から行動することの大切さを、彼女を通じて実感することができたのだ。また昔よりも自分の意見が多くの人に伝わりやすい世の中だからこそ、自分に合った環境を見つけることができ、その中でのびのびと好きなことをできればいいという考えは、今の私たちがキャリアを築いていくうえで大切にしなければならないものだと感じさせられた。

「生きやすい」と思う環境を客観視すると、自分が興味を持っている分野についてわかってくる。そうしたことから自分を形成するキャリアの選択肢が生まれてくることにも気づいた。また、やり直しは何回でもできるからこそ、どんどん行動し、「自分がしたいこと」ができれば、「生きやすい」環境へとキャリアを切り開いていくことができることを知ることができた。

【Kahoさん プロフィール】
名前:かほ
年齢:23歳
出身地:関西
趣味:SNS・写真/動画撮影・食べること
経歴:求人会社企画営業→美容室広報→2023年4月よりフリーランス
強み/専門分野:SNS発信・美容室のクリエイティブ業務
目指すビジョン:
①salon creativeで美容業界に「1社に1人デザイナー」を広める
②体型コンプレックスや過食を経験した当事者として、私の様に悩む人が少なくなる取り組みをしたい!

〈Youtube〉 https://www.youtube.com/@kaho0701/videos
〈Instagram〉kaho かほ 【 ダイエットを辞めた女 / ニキビ肌 】(@_kaho_bodypositive) 
〈TickTok〉https://www.tiktok.com/@_kaho___________

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?