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ほんの記録|5月後半の3冊

『からだの美』 小川洋子

ひとがものを投げる動作を文章にした冒頭一段落で、ずーんと引き込まれる。
教科書で、初めて小川洋子さんの小説に触れたときの感覚が蘇った。(たしか『アンジェリーナ』だったと思う)

赤ちゃんのにぎりこぶしについて書かれた最後の一編。
ここ最近、全赤ちゃんが可愛くてたまらず、己の感情のやり場に若干困っているほどなのだが、その訳がなんとなく掴めた。

その成長の速さゆえに、赤んぼうを見てると「生の一回性」を強く意識する。そして、自分が一回きりしかない「このとき」に、今まさに身を置いているのだということにも。

普通に日々過ごしていたら得られないこのナマの感覚…。赤ちゃんを前に溢れるこの感じは、やはり制御不能である。私も、筆者のいう「怪しいおばさん」になってしまいそうで震える。


『方向音痴って、なおるんですか?』 吉玉サキ

自分のことを方向音痴だと思ったことはなかったが、この本を読んで「あれ…?」となる。

私も、改札出てはじめの一歩、駅から出てはじめの一歩がいつも不安なたちなのだ。
知らないところに行くときは、必ず前日夜、Wi-Fi環境が整った場所においてストリートビューを用い、はじめの一歩をどちらに踏み出すか予習している。
そのおかげでどうにか目的地に到達していただけで、おそらく方向的センスはかなり危ういんだろうな、ということがよく理解できた。

学生時代、嫌で嫌でしかたなかった予習だが、ルートに関しては今後も積極的に続けていこうと思う。


『ハリー・ポッター 魔法ワールド大図鑑』 J・K・ローリング

漫画等がある程度の巻数に達したときなどに発行される公式ガイドブック、結構好きなほうです。

これは、そういった類いの本のなかでも、情報量、ワクワク度、図版の凝り方、装丁の豪華さ、価格、重さ等々で最高峰の一冊ではなかろうか。

本を支える手首に限界を感じつつ、子どもに戻ったように夢中になって読む。
読み終えてから重さを測ったところ、なんと1kg以上あった。

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