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『お金がすべて』vs『お金よりも大事なものがある』
この前、一人の大学生の子と話をしていて、「『世の中、お金がすべて』と言う人もいれば、『いやいや、お金よりも、もっと大事なものがあるでしょ』と言う人もいるよね。君はどう思う?」と質問して、こんな会話をしました。
(大学生)
やっぱりお金は一番大事ですよ。もちろん悪いことをして、お金を稼ぐのはだめですけど、たくさんあったほうがいいに決まってます。ウチの家は貧しかったので、お金持ちの家に生まれたかったですよ。
→今の親じゃなくて、別のお金持ちの親の元に生まれたかったってこと?
(大学生)
まあそうですね。もしそうなっていたら、全然違う人生だったと思います。
→どんな人生だったと思う?
(大学生)
今よりもっと幸せだったと思います。
→どうしてそう思うの?
(大学生)
だって、お金に余裕があったら、欲しいものも買ってもらえるし、苦労しなくて済むじゃないですか。
→苦労が多かったの?
(大学生)
父親がほんとうに自分勝手な人で、ギャンブルしたりして借金をいっぱい作っていたんです。お酒を飲んでは暴れたり、母親はそれが嫌で、あまり家に帰ってきませんでした。借金の取り立てが家に来たり、電気も止まるし、最悪でした。
→そうだったんだ。大変だったね。じゃあ、もしもだけど、家が今までと同じように貧しい暮らしをしていたとして、ご両親が君のことが大好きで、愛情をいっぱいくれて育ててくれていたとしたら、それでも他のお金持ちに家に生まれたかった?
(大学生)
えっ?
→よくTVの大家族の特番とかで、お金はあんまりないんだけど、狭いながらに楽しい我が家と言って、家族みんな仲良くて、貧しいけど笑顔が絶えない家族ってあるよね。
(大学生)
ああ……、もしそれだったら他の家じゃなくてもいいかなあ。
ここから分かったのは、この子は、お金がなくて貧しかったことに対して「最悪だ」と思ったのではなくて、本当は親に愛されてこなかった、もっと愛してほしかった、という思いがあるから、それが辛くて、そこに不満を持っていたのです。
本音で言えば、この子は親のことが好きなんだけど、でも親が自分を愛してくれなかったということを認めたくない、向き合いたくなかったのでしょう。誰だってそう思いたくないですからね。
だから「お金があったら幸せだったに違いない」「貧しいのが不幸の原因で、お金さえあれば幸せだったのに」というふうに思いたかったのだと思います。
そして、最後にこういう話をしました。
「でもね、お父さん、お母さんもお金のことですごく悩んでいたのかもしれないよね。もっと自分たちがお金を稼いでくることができたら、子どもたちにもっといい暮らしをさせてあげられるのにと、そう思うことはあったんだろうけど、でもできなくて、それが親として情けないな、辛いなと思っていたかもしれない。それが結果的にギャンブルに手を出すようになったり、お酒に逃げたりして借金がどんどん増えていったのかもしれないよね。
親子の間で、お互いのことを思いながらも、心のすれ違いがあったかもしれないよね。
子どもの立場からしてみたら、親が別にお金をたくさん稼いでこなくてもいいから、自分のことを愛してくれて、『大好きだよ』って言ってくれたら、もうそれだけでほんとうは良かったんだよね。」
こういう話をしたら、「そうです」と言って、泣いていました。
こういった心のすれ違いが起こってしまった理由は、「お金はとても価値あるもの」「お金さえあれば幸せになれる」と思っているからです。
でも、それは間違いです。
子どもの頃は、誰もそんなふうには思っていなかったはずです。
しかし、周りの大人や親の背中を見て育つ子どもたちに、その誤った価値観が伝染しているのです。
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