この前、一人の大学生の子と話をしていて、「『世の中、お金がすべて』と言う人もいれば、『いやいや、お金よりも、もっと大事なものがあるでしょ』と言う人もいるよね。君はどう思う?」と質問して、こんな会話をしました。
ここから分かったのは、この子は、お金がなくて貧しかったことに対して「最悪だ」と思ったのではなくて、本当は親に愛されてこなかった、もっと愛してほしかった、という思いがあるから、それが辛くて、そこに不満を持っていたのです。
本音で言えば、この子は親のことが好きなんだけど、でも親が自分を愛してくれなかったということを認めたくない、向き合いたくなかったのでしょう。誰だってそう思いたくないですからね。
だから「お金があったら幸せだったに違いない」「貧しいのが不幸の原因で、お金さえあれば幸せだったのに」というふうに思いたかったのだと思います。
そして、最後にこういう話をしました。
こういう話をしたら、「そうです」と言って、泣いていました。
こういった心のすれ違いが起こってしまった理由は、「お金はとても価値あるもの」「お金さえあれば幸せになれる」と思っているからです。
でも、それは間違いです。
子どもの頃は、誰もそんなふうには思っていなかったはずです。
しかし、周りの大人や親の背中を見て育つ子どもたちに、その誤った価値観が伝染しているのです。