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お金はただの交換券(権)

私たちは「お金があれば何でも手に入る」「だからお金には価値がある」と考えがちです。
でも、お金をたくさん持っていても、交換してもらえるモノがなければ、お金は何の役にも立たちません。

「お金が役に立たない? そんなことってあるの?」
と思うかもしれません。
たとえば、こんな事例があります。

新型コロナが発生した頃、マスクが不足し、マスクの値段は一挙に高騰しました。
コロナ前は、マスク1枚当たり最安値で@3.4円あったものが、コロナ禍でのピーク時には、最高値で@160円にもなったと言われています。
つまり、47倍になったわけです。
みんなマスクを手に入れるのに、どこも在庫切れで非常に苦労しましたよね。
しかし、マスクの供給が十分できるようになると値段は下がり、元の価格水準に戻りました。
昔の「オイルショック」のときも同じようなことがありましたね。

また、近年では世界各地で自然災害、天変地異が増えていますが、震災などが起きたときには物資がなかなか手に入らず、お金がいくらあっても欲しいものを手に入れることができません。
分かりやすく言えば、大金持ちの人も貧しい人も、同じ立場になります。
お金とは、その程度のものだということです。

人が生きていく上で絶対に必要なものは、水や食糧、住居、エネルギーなど、実態のあるものです。それらを十分に供給でき、みんなに行き渡らせることが大事であるのに、実態のないお金・交換券(最近は券というよりデジタルな数字にすぎませんが)ばかりを得ることに夢中になり、マネーゲームに奔走しているのが、現代の私たちの姿ではないでしょうか。

その反作用として、世界恐慌やハイパーインフレなどの経済現象が起きることになります。そこには、生産力の不足を、ただの交換券であるお金で穴埋めできると思い込んでいるお金への過信・幻想があると言えますね。

お金自体は、単なる道具であり、中立的なものです。
人々がそれぞれ生み出すモノやサービスを互いに分かち合い、支え合い、愛と感謝が循環するための潤滑油として、お金という道具はあったはずなのです。
「作ってくれてありがとう」「運んでくれてありがとう」
「使ってくれてありがとう」「食べてくれてありがとう」
こういった感謝の思いが、お互いの喜びや幸福感となるのです。

でも、いつの間にか「お金を得ること」が目的になり本末転倒になっています。その背景には、利他の心を失い「自分さえよければいい」という利己・エゴの思いが勝ってしまったことにあります。

以前、小学6年生の女の子が書いた作文を読み、感動しました。
題名『ありがとうはおたがい様の心』
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.moj.go.jp%2Fcontent%2F001202724.doc&wdOrigin=BROWSELINK

作文の最後に次のように書かれています。
『各家庭の中で、「ありがとう」がひびき合っていけば、そしてそれが社会全体に広がっていけば、自分の事だけを考えるのではなく関わっているみんなの事を考えるようになり、おたがいに感謝する気持ちが深まり、明るい社会を築いていけるのではないでしょうか。』

子どもたちの方が、よくわかっているなと思います。

経済の本来のあり方(=経世済民)を取り戻すには、
「お金はただの交換券(権)であり価値はない」ということ、
そして「自分ではない誰かのために」という利他の心に立ち返ること、

この2つの価値観(モノサシ)が重要であると思います。

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