出張

ヤングNazca海外出張 上海編⑧

自分が何者なのかを知りたければ なんでもいい
限界を体感する何かを経験すれば 自分の本性が分かるさ

ジャック・モウに「新鮮な」中華料理をご馳走になった後
僕と岩巻課長とジャック・モウの3人は2軒目のお店に向かっていた。


車から外を眺めるとビルや建物のライティングが綺麗で
ついつい見入ってしまった。
日本でいう「首都高湾岸線」のような
所々うねるような道が上海の大都市感を醸し出している。

やばい・・・麦酒を飲み過ぎて、トイレに行きたくなってきた

突然の尿意。
大丈夫かな、もうすぐ着くのかな。
と自問自答を頭の中で繰り返した。
車がややキツ目のコーナーに入った。
下腹部に刺激が入る。

これは、ホンマにあかんかも・・・

北関東出身の僕が関西弁を心の中で漏らすぐらい
何か楽観性を求めていた。
ある意味、それだけ切羽詰まっていた。

「すいませんモウさん」
「トイレ行きたいんですが、あとどの位で着きますか?」

ジャック・モウ「エェトネェ、アト15分ハカカルヨ」

あと15分、あと15分だな。
15分といえば、あれだ、あれ。
3チャンの「教育テレビ」と同じ時間だ。
ワクワクさん1回分だと思えばいいじゃないか。
と自分自身を励ました。

隣では岩巻課長が笑っている。
車が軽く揺れる度に僕の下腹部は悲鳴をあげる。

このままこの黒塗りのセダンの中で「放尿」してしまったら
マジでシャレにならない。
限界のゲートはもう開きかかっている。

僕はこの限界を耐えようと、ある方法を思いつき実行した。

まず「身体をくの字に曲げる」
そして「目は何にも焦点をあわさない」
そして「心を閉ざす」
この3つを実行した。

つまり、外部からの情報を全て拒絶して
その余ったエネルギーを放尿したい欲求を抑える為の
集中力に変えたのであった。

これを実行すると、不思議と楽になった気がした。
それと同時に身体が硬直してきたのを覚えている。

無念!もはやここまでか・・・

我慢の限界に差し掛かったところで
ジャック・モウ「Nazcaサン!着キマシタヨ!」
とジャック・モウもやや焦り気味で話し掛けてきた。
ジャック・モウの声が神のお告げに聞こえた瞬間でもあった。

僕は車からひと足先に飛び出して
謎の大きなビルの中に小走りで入っていった。
フロントにトイレまでエスコートしてもらい
ようやくトイレに到着した。

この後 通常日本では考えられないサービスを受けるとは知る由もなかった。

⑨へつづく

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