デザイナーズビレッジ卒業報告会

2021.4.23
昨年3月に卒業した元スタジオ、台東デザイナーズビレッジの卒業報告会に参加しました。　

デザイナーズビレッジ（台東区が運営するファッション系ビジネスのインキュベーション施設）は最長3年いられるスタジオです。その在籍後、３年間の実績を公開報告するという行うイベントがあります。本来ならば昨年4月、卒業と時を同じくして行うはずだったイベントはCOVIDにより延期となり、一年後の今年の開催となりました。

一人に与えられた持ち時間は30分。報告の準備を進める中で、デザイナーズビレッジに在籍した３年間のこと、その前のブランド立ち上げまで、そして卒業後のことに深く思いをはせることになりました。

私は２０代も後半になってから、どちらかというと”やっぱり諦められない”というところまできてやっと自分のやりたいことに真剣に向き合った、かなりの紆余曲折タイプです。その後、自分のキャリアの仕切り直しのように留学をしたりしていたので、ブランドスタートまでの道のりが比較的長い例です。

地元愛知県でファッションに想いを馳せた時期、ロンドンでファッションの厚みや歴史に夢中になった時期、どのタイミングを振り返っても、そこには忘れられない人との出会いと、印象的な言葉がありました。言い換えると、ファッションに関わる上で、一人では何もできないことを実感し続けた日々ということにもなります。

特にロンドンで、高め合える仲間との相乗効果や、周りの雰囲気に自分がどれくらい影響を受けるのか、を身を以て実感した経験はとても大きなものでした。（英語が急に話せるようになったロンドンでのインターン経験や、留学で得た本当の幸せ、にてそのあたりは綴っています）
その経験から、ブランドを始めるのならばそれに適した場所に身を置くことがまずは良いスタートに欠かせないということだけはなんとなく決めていて、そんなときに出会ったのがデザイナーズビレッジでした。

そして、デザイナーズビレッジに入居すると同時に始めたブランド活動。
デザビレでの毎日は、そのままtactorの歴史でもあります。

一年目、入居とは名ばかりで事務所におくものが何もなかったこと（上の写真がそれです。空っぽのスタジオ・・・）、二年目、ひとりで何もかもやることだけが正解ではないと知った時期、三年目、ブランド運営の面白さに少しずつ気づきだしたこと、その思い出す全てのタイミングにまた、印象的なアドバイスや、自分の殻をバキン！と割ってくれるような友人との会話がありました。そして、いつも周りには温かい仲間がいてくれました。

友人であり同業者の皆が活躍する様子をみて心から嬉しく、なぜか自分もできるような気持ちになったこと（なぜそんな気持ちになるのか？何の根拠もないけど・・・なんとなくそんな気がします、いつも）。不安を吐露すると、同じような境遇にいるからこその率直で真摯な意見をもらえたこと。数えられないほどの関わり合いを振り返ると、なんて幸運な環境にいられたのだろうとちょっと信じられない気持ちになります。

結局、会社に属さずブランドを個人で運営していくことを選んだけれど、決して一人でやってきた道のりではなかった（たった三年で大袈裟ですが）。
私のエゴではじめた小さなブランドの周りに、協力してくださる方がいて、一緒に楽しんでくださるお客様がいて、その活動を自分のことのように喜んでくれる仲間がいて、はじめて成り立っているtactor。その幸運と恩恵の一番大きな部分を、デザイナーズビレッジから産まれるコミュニティから得ていたのだなぁと実感するような振り返りでした。

卒業し、現在は台東区の松が谷という土地に事務所を構えています。デザイナーズビレッジが導いてくれたこの台東区という場所で、長く続く、ずっと愛してもらえるブランドをしっかり作っていきたいという気持ちで、今は新たな目標にむかって進んでいます。（これからのtactorも、今まで以上におたのしみにしてもらえたら嬉しいです）

これから進めていくすべての活動の根底に、そしてブランドの歴史の中心に、とても多くのものをもたらしてくれたデザイナーズビレッジ。その感謝を少しでも伝えられていたらいいなぁ、と祈るきもちで報告（発表？）を終えました。昨年はこの報告ができず、なんだかパシッと締まらないような気持ちが正直していたので、この報告をもって、正式に”卒業”、できたような気がしています。

これからも頑張ろう、と決意を新たにするよい機会でもありました。
デザイナーズビレッジのみなさま、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします！