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ダイヤモンドにかかった魔法が解ける日。天然ダイヤの終焉?

2023年はダイヤモンド業界にとって大きな変革な時になりそうです。これを書いているのが、2023年7月28日ですが、今ダイヤモンド業界は揺れに揺れています。

ダイヤモンドの相場の下落が止まりません

以下はラパポートの最新のニュースです。

簡単にまとめると

デビアス、厳しい上半期で業績が下降

デビアスの利益は、消費者需要の低迷、平均販売価格の低下、経費の増加を受けて、今年上半期に大幅に減少した。
ダイヤモンド鉱山会社の基礎収益は83%急落し、8500万ドルとなったと親会社アングロ・アメリカンが木曜日に報告した。販売量は1,530万カラットで横ばいにもかかわらず、収益は前年比21%減の28億3,000万ドルとなった。平均価格は23%下落し、1カラット当たり163ドルとなった。

他のニュースには書いてますが、前年比−30%以上くらい、利益が減っています。

デビアスとは?
みなさんご存知のように、ダイヤモンドの流通の仕組みを作った企業です。

本来、デビアスは、ダイヤモンドの価格が下がると原石の供給をストップして、需要が戻るのを待ちます。そうすることで相場をキープしてきました。

ただ、今回は異常です。

すでに6回に渡り、供給をストップしていると聞いてます。

普通は流石に、止まるはずです。
コロナ禍でも止まりました。

それでも止まらない原因があります。

ニュースにも書いてましたが、平均販売価格の低下の原因に、間違いなく

ラボグロウンダイヤモンドの存在があります。

ラボグロウンダイヤモンドとは、その名の通り、Laboratory(研究室で)Grown(成長させた)ダイヤモンドの事で、天然の成分と全く同じものを、人類が初めて作ったものです。

ここ数年で一気に人気になり、アメリカではすでに20%がラボダイヤに変わっているというデータもあるくらい脅威になってます。

なぜ、脅威なのか?

ひとことで言うと圧倒的に価格が安いからです。

これは、原石取得のコストの違いが大きいです。天然は鉱山から採掘するのに対して、ラボは研究室や工房で生成させるだけなので、価格に10分の1以上の差が出ます。その後の研磨は、天然と同様なので、原石取得の差がそのまま価格に影響するわけです。

また、ロシア産のダイヤが、マーケットでNGになり、困った研磨大国インドが、ラボダイヤを一斉に取り扱うようになった。

というのも原因のひとつで、マーケットに一気にラボダイヤが流れこんできております。

こうなると

ダイヤモンド界の巨人であるデビアスは

前述の通り、天然の原石をストップさせて、供給を止める作戦をとるんですが

逆に

デビアス社がラボダイヤを本格的に販売開始

というびっくりなニュースが2023年6月に入ってきました。

しかも、価格は驚愕の1カラット10万ほどです。

狙いはハッキリとはわかりませんが、ラボダイヤは低価格のものであるというのを認識させようとしてるのかな?と思ってます。

何はともあれ

あのデビアスがラボダイヤの取り扱いを本格的に始めたという出来事は、ラボダイヤをダイヤモンドとして認めている証明にも繋がったと考えています。

そして、すでに

ルイヴィトンもラボダイヤの商品を開発中とか・・・。

ちなみに、ラボダイヤについては、こちらをご覧ください

さらに、これはなかなか言えない話ですが

そもそも
天然ダイヤモンドの原石ってどのくらいあるのか?という話です。


天然ダイヤは、何十万年かけて、地球上から約150キロ下のマントルで生成されるものです。このマントルの中のダイヤが、大規模な地殻変動の際に、火山の爆発で地下から地上へ一気に降り注いだものです。ちなみに、大規模な地殻変動は数回しか起こらず、最後の大噴火も何百万年前で終わっているので、天然ダイヤが奇跡の石と呼ばれるくらい希少価値があるわけです。

ですが

その原石の需要と供給をコントロールしているのが、主にデビアス社で

今回のように、相場が下がれば供給を止めたり、サイトホルダーと呼ばれる原石を購入する会社から、逆に買取して、需要が戻るのを待つのですが

いや待てよ

どんだけ原石をストックしてるんだよ

と思いますよね

一説には、軽く30年間分はある

という話もあり

結局、独占しているから答えが見えないんです。

これがゴールドなら、各国が保管している量を提示してますので、安心感はありますが

ダイヤの原石の保管量は、全くのブラックボックスなんです。

ちなみに、デビアス社がコントロール出来ない国の原石は、独自で販路を見つけ売っています。

それが、紛争資金の元になっているところありますが・・・。

当然、デビアス社の価格より低く、売買されてしまうので、相場が上がる要素にはなりません。

実は、アメリカの裁判にてデビアスは独占禁止法違反で負けてます。※工業用ダイヤモンドですが

そういう事もあり、鉱山会社が独自で売るようになったところも増えました。

それでも、価格が安定していないと、お互いにメリットがないので、デビアスの相場を受け入れながら共存しているイメージです。

そして、さらに言うと

ダイヤモンドは元々価値が低い宝石でした。

ルビーやエメラルドの方が何倍も高かったらしいです。

理由は簡単です。

昔は、電気のような明かりがなく、パーティーなどでも目立つのは色の濃いものである。

という理由からです。

また、現在のような、輝くダイヤモンドのカットの開発もまだ途中でしたから

価値の低いダイヤモンドは、硬さゆえに魔除けにされたりしていたそうです。

それが、電気の誕生に合わせるかのように

新しいダイヤモンドの鉱脈が南アフリカで見つかり

ラウンドブリリアントカットが誕生し

キラキラ煌びやかなものとして、一気に地位を確立していきました。

そこに誕生したのが

婚約指輪はダイヤモンドのエンゲージリング

という文化です。

元々婚約指輪の歴史は中世からあるらしく、ダイヤモンドや宝石をつけた指輪を贈っていたらしいです。

そして、↓はCHATGPTで調べた文章ですが

現代の婚約指輪のスタイルは19世紀にさかのぼることができます。1839年に、ヴィクトリア女王がアルバート公爵から輝くカットのダイヤモンドの婚約指輪を贈られたことが、ダイヤモンドが婚約指輪に一般的に使用されるきっかけとなりました。

マーケティングキャンペーン: 20世紀初頭に、ダイヤモンドメーカーが広告キャンペーンを展開し、ダイヤモンドが婚約指輪の象徴として確立されました。特に1947年にデビアス・ダイヤモンド社が展開した「A Diamond is Forever(ダイヤモンドは永遠)」というキャンペーンは、ダイヤモンドの永遠の価値と愛の象徴を強調しました。

そうです。

ここで、

デビアスが婚約指輪のキャンペーンを大々的に展開する訳です。

調べたところ1980年代は、婚約指輪取得率がアメリカでは70%日本では60%以上だったと思います。このキャンペーンのキャッチフレーズ「ダイヤモンドは永遠の輝き」は20世紀最高とも言われ、一気にデビアスと婚約指輪の文化が浸透した訳です。

採掘から販売まで、全てにかけてデビアス社がコントロールしていました。

ただ、冷静に考えると

私達はメディアの力にまんまと乗っかているのでは無いでしょうか?

もちろん、ダイヤモンドはロマンがあり素敵なものですが

独占禁止法違反を問われた際に、当時のデビアス会長の言葉があります。

「ダイヤモンドの価格(価値)は、物質としての価値からではなく、人々の心理的満足によって支えられてます。」と言い、ダイヤモンドは独禁法の適用外だと主張したと言われています。

はい

心理的満足=マーケティングの力

という図式になると思います。

これは、他のブランドなども含めて、悪い事ではありませんし、むしろ商売の基本だったりするのですが

デビアス社は、長い間ダイヤモンド王国の王様だったわけです。

ラボグロウンダイヤモンドの出現は、ある意味ダイヤモンド業界と婚約指輪の概念も崩してしまうものかも知れません。

ただ、これだけは言えます

ダイヤモンドにかかった魔法はそろそろ解けるのではないでしょうか?

もっと身近に当たり前のようにダイヤモンドが買える時代がやってくるかも知れません。