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《実例付》オジサン構文について語るとき俺たちに欠けていた視点

「東京西側放送局」という音声配信番組をやっている。11回目の配信で話し合ったテーマは『「オジサン構文」の謎』というものだった。

 この配信を聞き返しながら、俺は、俺たちに、圧倒的に欠けているある問題に気づいてしまった。それは、俺たちも女性相手に「オジサン構文」を送ってしまっている可能性があるという視線の欠如だ。

そもそも「オジサン構文」とは

「オジサン構文」について語るとき、はじめに済ませておく必要があるのは「オジサン構文」についての定義づけだろう。それがたとえカジュアルなものだとしても。

 というわけで、広義の意味を共有すべく、インターネットミームの百科事典「ニコニコ大百科」をあたる。

おじさん文章の特徴は、
まず挨拶❗~~~ヾ(^∇^)おはよー♪
不必要に絵文字😃や顔文字(^_^;)をたくさん使うよー🎵
基本的にびっくりマーク・はてなマークも絵文字だね❗
ここに句読点を入れる、のか❓
なんでココだけ片仮名にしちゃうのカナ❓まあいいか😅
顔文字の後ろに別のマークがくることもあるみたいだね😆❗
じゃあ、ご飯行こうよ❗
みたいな感じだね❗

まあこれぐらいだったら正直マイちゃんのママの文章でも一部当てはまってると思うヨ(;'∀')でも、LINEとかで女の子をご飯🍝に誘い出すために、おじさんが下心を隠そうとしてこの文章を使っているっていうのがネタにされる原因かな…💦

さっきおじさん文章って言っちゃったけど、最近は、おじさん文章というより、おじさん構文って言われてるみたいだね😓流行に乗り切れてない自分に反省、反省😔

 とある。

「オジサン構文」がどんなものなのか、ぼんやりとでも認知している人にとっては「それはそうだ」という内容であろう。とはいえ、これで広義の定義付けは完了だ(としよう)。

 絵文字・読点・カタカナの多用が大きな特徴。ネット上でたまにみかける晒し上げられた「オジサン構文」メッセージも、そうした特徴が如実に表れているものばかりだ。

 ただ、ここで俺は言っておきたい。ニコニコ大百科の記述のうち、注視すべきポイントは「まあこれぐらいだったら正直マイちゃんのママの文章でも一部当てはまってると思うヨ(;'∀')」の一文なのだ。

 上に埋め込んだ配信内で(手前味噌ながら)俺が触れているように、「オジサン構文」が嫌がられるの=悪しき「オジサン構文」メッセージは受け取り手のデコードの問題(文章をどのように読み解くか)なのである。

インターネットで晒し上げられる「オジサン構文」は往々にして嫌がられている。しかし”構文“を満たした文章それ自体が気持ち悪いわけではない。

 つまり、「オジサン構文」に対する嫌悪感を語るとき、「オジサン構文」の“必要条件”を満たしているからといって、それだけが問題になることはない。邪険にされる「オジサン構文」には、ある“十分条件”が備わっているというわけだ。

 では、その十分条件とはなにか。それこそ、配信内で(またしても手前味噌ながら)俺が触れているように、相手との関係性だろう。相手との関係性がキツければキツいほど、受け取り手はメッセージを悪しき「オジサン構文」として受け取るのだ。

決定的に欠けていた視点

 さて、そもそもの話に戻ろう。俺たちに決定的にかけていたのは、自分たちが「オジサン構文」メッセージを誰かに送り、受け取り手を不快にさせているのではないか……。という視点だ。

 差別主義者が自分たちのことを差別主義者と自認しているわけではないように、俺たちも「オジサン構文」メッセージを送っているのに、そんなわけがないと自認しているとすれば、これほど情けない話はない。そして、配信では、あたかも俺たちが「オジサン構文」を送っていない人間という前提で、あれやこれやと話し合っていた。

 しかし、差別主義者が自分たちのことを差別主義者と自認できないように、俺が、俺の脳みそで、俺が「オジサン構文」を送っているかどうかを判断することは無理筋なわけだ。では、どうすれはいいのか。

 というわけで、俺は、俺の発言・行動を振り返ってみる。早速、直近で異性に対して送ったメッセージを遡った。

俺も「オジサン構文」メッセージを送り、相手に嫌がられているのではないか

 iPhoneでLINEのアイコンをタップ。女性へ送ったトークを探してスクロールする。

 家庭内の業務的なメッセージは除くとして、異性相手に送っているメッセージは、およそ1ヵ月前。異性交友関係の貧しさたるや……。そんな嘆きはさておき……。

どのようなメッセージを俺は送っているのだろうか。ここに、その恥ずかしい有様を紹介する。

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……このやりとりだけを見ると、キャバクラに通っている「オジサン」のようではないか! 必要条件こそ満たしていないが、もしかすると「オジサン構文」を受け取った女性が嫌悪感と同様の嫌悪感を受け取り手に抱かせてしまってるのではないだろうか。

 ※言い訳しておくと、送信先の彼女は共通の趣味である競馬を通じて知りあった友人で、彼女は立ち飲みバルで働いている。ただそれだけで、友人!なのだ!お互いの予定を気にすることなく!気楽に会えるのが!その店!ただ!それだけ!というわけである。

 しかし、それも自認しているだけの関係性。もしかすると、彼女は俺が送ったメッセージを「キツい」と感じ取り、「オジサン構文とは違うけどキモいLINEが送られてきたー」とどこかでネタにしているかもしれない。

 パラノイアが加速し、ついぞ尋ねてみた。

 すると、俺のメッセージは「オジサン構文」ではないことを伝えてくれ(安堵す)るとともに、生の、リアルな「オジサン構文」について共有してくれた。

「彼氏できる前にカラオケでも行きますかぁ~」

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 これが本物の「オジサン構文」メッセージである。

 見事に「オジサン構文」の必要条件を満たしている。そして、俺にこのLINEを共有してくれたということは、なんらかのネタ、ないしは嫌悪感を抱いていたということだろう。つまり、上のLINEは必要十分条件を満たした、紛うことなき、悪しき「オジサン構文」メッセージというわけだ。

俺たちには何ができるのか

 では、俺たちは他者に対して嫌悪感を抱かせてしまうメッセージを送ってしまわないように、どんな心がけをしておけばいいのか。

 もう、それは、定期的に自らを省みることしかないだろう。この記事がその思いの発露であるように、自分の価値観のバージョンがスクラップ状態にならないように、常にアップデートする意識を持ち続け、自分自身を顧み続けなければいけないのだろう。

 そうすれば「オジサン構文」を送らない、ないしは「オジサン構文」を送ってしまっても嫌がられない関係性を築きえる……た……多分……。

音声配信を通じて俺は改めて痛感したわけである。

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