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ハイスペだけどそりゃモテないよ(2)

40代のハイスペ自慢の男性との初デートがまさかのファミレス、しかも現地集合という展開に面食らいながら、先に到着した私が待っていると満を持して大門さんの登場です。先ほどは車に乗っていたので気付きませんでしたが、「えっ?なになに??どーした、その格好?!」とまたしても衝撃を受けました。

■見た目もヒドイよ大門さん

自称「大手一流企業の管理職で世間的にも重要なお立場」の大門さん。会社帰りのはずなのに、オシャレじゃない本気のケミカルジーンズに、チェックの垢抜けないシャツをダラりと着て、作業着みたいなジャンパーという出で立ちで登場しました。靴だけはなぜか妙に先の尖ったミュージシャンみたいな革靴です。正直、私はギョッとしました。第一印象は「おじいちゃんの軽登山?」または「オールウェイズ3丁目の夕陽〜昭和の復興中の人?」でした。

研究職なので職場は私服らしいんですが、いやいや、いくら何だってそりゃないでしょ!というあまりにもダサすぎる格好に私はゲンナリしてしまいました。せっかくオシャレしてきたのに、大門さんがあまりに手抜きな格好で損した気分です。カジュアルな格好が悪いわけではないのですが、あまりにセンスがなく適当な格好で来られると、「この人、やる気ないのかな」とこちらのテンションもダダ下がりです。

■ファミレスあるある

夕食どきのファミレスは混雑していて、煌々とした明かりに狭いテーブル、席と席との間も近いため私は終始落ち着きませんでした。隣の席には中年の母娘が座っていて、初対面のお見合いっぽい私たちの会話に興味津々で耳を澄ませているようです。

なんでも好きなもの頼んでいいよ。メインの前にさ、サラダも頼んだら?」いい男風の会話ですが、ここはデニーズです。しかも大門さんは決断力がなく、いつまでもどれにしようか悩んでます。早く決めてくれ。注文後しばらくすると、サラダが運ばれてきました。よく見ると頼んだサラダと違うものだったので「これ、違いませんか?」と私が言うと「う〜ん、そうだね・・・。でも、ま、いいかな、これでも」と大門さん。

え?ちゃんと言った方がいいんじゃない??と思いましたが、黙って様子をみていました。その後、大門さんのメインが運ばれてきましたが、また頼んだものと違うものが運ばれてきたのです。どうするのかなと思ったら「なんか違うけど・・・まぁ、仕方ないね。僕はこれでいいよ」とのこと。いやいや、そういう問題じゃないでしょ!と我慢できなくなった私が、思わず店員さんに「これ違うみたいですけど」と声を掛けたところ、案の定、隣の母娘が頼んだ料理が私たちのテーブルに運ばれていたのです。

大門さん、そこは大人になるところじゃないから。違うものがきていると教えてあげた方が、お店の人も助かるでしょ!と言いたいのをグッと堪え、なんとかその場を凌ぎましたが「この男、ダメだな」と好感度はマイナス700%を超えていきました。

■自慢気に俺という男を語る大門さんatデニーズ

その後、大門さんは饒舌に自分語りを始めました。有名企業に勤めていること、世界に誇れるすごい仕事をしている話(俺、理系だからさが枕詞。文系をディスりつつ理系を自慢するパターン)、会社で出世するまでの苦労話、八王子にタワマン買った話(え、やだ八王子と思いましたが)、語学堪能でバックパッカーとして世界中どこへでも一人で行けちゃう逞しい話、体もしっかり作っている話、タイの古式マッサージの資格をとった話、元カノは客室乗務員やモデルだった話(嘘つくな!)、もうお腹いっぱいなくらいすごいお方だということは分かりました。

これ、男性は初デートでやってしまいがちなんですが、絶対にやめた方がいいパターンです。俺という男がいかにすごい奴で、価値ある男であることをアピールしたいんだと思いますが、女性からするとよっぽど素敵な男性でない限り「鼻持ちならない鬱陶しい自慢屋」としか思われません。表面上は「すごいですね!」とか「頑張ってるんですね!」とか言ってくれるかもしれませんが、心の中では「何の感想もでてこない。スゴイとしか言いようがない。早く終わらないかな、この会話・・・」と思っていることがほとんどです。

まだまだ続く大門さんのモテない挙動ですが、ついに次回が最終話です。大門氏のぶっ飛び発言に衝撃のラストを迎えるナヲ子をどうぞ見守ってください。


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