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全然好みじゃない男性でも猛アプローチされ続けたら好きになるのか(3)

コアラさんとの二度目のデートは、3密を避け公園でピクニックをすることにしました。何とか気分を盛り上げ待ち合わせ場所に行ったナヲ子ですが、コアラさんを遠目に見た瞬間、やっぱり「うわっ」と思ってしまいました。大変失礼ながらやっぱり見た目が全然好みじゃない。う〜む、どうしたもんだか。テンションが下がるのを必死でこらえつつデートスタートです。

「ナヲちゃん、会えて嬉しいよ!今日も綺麗だね!!さ、行こうか」コアラさんはとても褒め上手で、デートもしっかりリードしてくれます。そしてコアラさんの見た目に不満を持っている自分が浅はかな気がしてしまう程、いい人です。ナヲ子よ、見た目に惑わされてはいけない。コアラさんを心の目で見るのじゃ!私は空中に「心」という字を描き、コアラさんを受け入れる努力をすることにしました。

待ち合わせ場所から二人で電車に乗りましたが、車内が案外混んでいました。コアラさんとのソーシャルディスタンスが一気に縮まります。しかも、コアラさんは背が低めなので、顔の位置がほぼ一緒。間近で見た瞬間、「きっつー!」と、またしても失礼なことを感じてしまいました。いかんいかん「心の目」じゃ!!でもさ、やっぱり、、、きっつーーーー!!!

公園の近くに到着し、デパ地下で食糧を調達することにしました。「ナヲちゃん好きなもの選んでいいよ」と言われたので、お寿司と唐揚げとサラダを選びましたが、ここでもしっかり割り勘してくるコアラさん。「じゃ俺がお寿司買うからさ、後はお願いしてもいい?」と言われ、またしてもモヤつくナヲ子。私はデートで割り勘は嫌なんです。しかも、全然好きでもない男性と割り勘だと、とんでもなく損した気分になってしまいます。

モヤモヤしながらも公園まで歩きますが、途中コアラさんが手を繋ぎたがっているのが分かり、わたしはカバンをコアラさん側にして手を繋ぎにくいよう意識的にソーシャルディスタンスを広めにとりました。

コアラさんは準備万端で、レジャーシートやクッションや虫除けスプレーなどいそいそと広げています。こういうところはとても好印象で、マメな男性と結婚したらいいだろうなと想像します。コアラ株、若干持ち直しです。

缶チューハイで乾杯してお惣菜を食べながら色々なお話をしました。コアラさんは家庭菜園や釣りが好きで、旅行もよく行くそう。結婚したら一緒に野菜を育てたり、釣った魚を捌いて食卓を囲んだりするのかな・・・?と妄想していると、またしてもコアラさんが手を握ってきました。

うわっ、やっぱきっつーーー!と思った私は慌てて手を引っ込め、じーっと見つめてくるコアラさんの目線を交わすため、空を眺めました。私、もうアラフォーなので照れている訳じゃないんですが、コアラさんは私の隣に移動してきて「ナヲちゃんて、結構ピュアだよね」なんて囁いてきます。

「ち〜が〜う〜だ〜ろ〜っ!!!」と私の中のマユユ(豊田議員のことです)が発動しそうになりましたが、さすがに怒鳴り散らすことはせず「ちょっと暑いのでそろそろ行きましょうか」と解散を促し駅まで歩いて帰りました。

その時、コアラさんが果敢にも手を繋いできたのですが、私はコアラさんの小さくて赤ちゃんみたいにプニプニした触感に、男を感じることができませんでした。

早く駅につかないかな〜、と口数も少なく歩いていましたが、途中信号待ちをしているときに手を繋いだまま至近距離で見つめられ「このままじゃキスされるかも」と思った瞬間、ゾゾゾゾゾっと身の毛がよだってしまったナヲ子。何とか交わして、ようやく駅に着きましたが「解散する前にどうしてもファミレスで一杯お茶したい」とコアラさんが言うので、何となく断れず30分だけお付き合いすることにしました。

私のテンションも下がっているので会話も続きませんでしたが、コアラさんは次のデートの予定を決めようと必死です。私の中では、手を繋いでみてダメでキスすることすら想像できなかったため、コアラさんはいい人だけど次回はないかなと思っていました。

せっかくいい人で私のこと好きになってくれたみたいなので、ここで私が好きになれればオールハッピーなのに、拒絶反応がおきちゃうんですよね。生理的に受け付けないといいますか・・・。いい人すぎて断る理由はないのに、DNAレベルでごめんなさいって言ってるんです。

結局次の予定はうやむやにしてファミレスを出ることになりましたが、お会計の時に「俺さっき缶チューハイ出したから、ここはお願いしちゃっていいかな?」と言われ、本当に絶対もう次はないなと確信しました

コアラさんはフェードアウトも失礼かなと思ったので「コアラさんは結婚願望が強いようですが私はまだ結婚が考えられなくて、迷惑かけちゃうので」という理由でお断りしました。

結論。いくらいい人で自分に惚れていても、自分も愛せる人じゃないと無理でした。当たり前のようですが、身を以て実感したコアラさんでした。ちゃんちゃん。



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