見出し画像

五月の詩~To EL

何が
春に終わりを告げたのかは
誰も知らない

ただ 初夏の風が
手紙のように届けられ
     
僕らは また
街路樹の緑を読む

嗤う花 
その蜜を探り当てる蜂の羽音

白いシャツを着た休みの国の
誰もが美しい詩句になる街角で

見ろ 泡立つビールの向こう
郵便配達夫に成り済ました天使が
     
蕎麦屋の暖簾を
ハイタッチしていくぞ

濃い影が
全世界を
足下で支えているという真昼の幻想
           

「メキシコ湾流と偏西風の影響で
緯度ほどに寒くはないの」と
彼女は言った
     
to エレノア
君は
妖精と
ティン・ホイッスルの国から来た
緑のエアメール

揺れる
五月の詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?