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文トレDAY53 12.5-丸亀24

この文章は、(文トレDAY44 12-飛躍)の続編、現場でトラブルを未然に防いだ物語(実話)です。

丸亀事件のあと、私は無事引き渡しをするのだが・・・・・

照明コントロールは、海外のメーカーのコントローラーが容易に入手できる時代ではなかったので、照明卓もオリジナルなものを設計し製作して現場に納めていた。当然のように、引き渡しはオープンぎりぎり、従ってオープニングの照明オペも行う事になる。

お店が21時にオープン。ファースト・ステージの終了間際、23時45分になって異変に気づく。

23時45分。
調光卓の フロントパネルのLEDがすべて消えている。
ホール内は、ムービングライトが動いていた。
良かった。別のコントローラーだったのだ。
暫し、深呼吸。

23時46分。
ディマーパネル、(電力制御盤)をチェック。
無い、無い、明かりがない・・・・・。
本来であれば、直流電源、他の制御装置のLEDが点灯しているはずなのに・・・・。

23時47分。
停電では無い。
ディスコの爆音の中、自分だけが真空状態。
焦げ臭いにおいはしない。

 
23時48分。
ホールは、静かな曲調に変化。
回転しないミラーボールにムービングを当てる。

23時50分
ファーストステージ終了。
なんとかムービングだけでごまかす。

24時00分
休憩タイム。

25時からセカンドステージがスタートする。
残り時間60分 。

24時02分
もう一度、盤をチェックする。ブラックアウトのままである。
テスターで直流電源を測定。
げー電圧がでてない。

 
24時10分
メインブレーカーを一度落とし、再投入。
カモンー!生き返れ!
直流電源は、沈黙。。。。。

24時15分
もう一度行う。

 
24時20分
差し入れの弁当、お茶、ビールが届く。
全く無視である。
血の気が引き食欲どころでは無い。

24時30分
30分をきってしまった。
どうしよう・・・・。

24時35分
! アイデア!
唐突にディスコを出る。
下に止めてあった私の社用車のボンネットをあける。
バッテリーを撤去。

 
24時40分
エレベーターが煩わしい。
階段を一気に駆け上がる。

 
24時41分
バッテリを盤の横に置き、直流電源に接続してある電線を離線しそこらにある電線くずでダイレクトに直流ジョイント。

24時45分
電源復旧。
調光卓に念願の明かりがともる。

24時50分
セカンドステージの客入れスタート。
ふぃ〜何とかまにあった。

正直、駄目だと思いました。

駄目だと思い、諦めたとたんにトラブルをシューティングする意欲、
頭を使い、なんとかしようとする活動も停止してしまいます。
「往生際が悪い」なんて変なプライドはどこかに忘れましょう。

必死になって考えること、できると信じることは
体の筋肉を強化するようなもので、
その考える力、信じる力は成長します。

後日、直流電源をメーカーに送って調査をお願いした。
初期不良であった。


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