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マーチングバンドはスポーツです(部活の思い出:高校生編①)

こんにちは。
今日は部活の思い出シリーズ高校生編です。

前にも書きましたが、アメリカの部活はシーズン制なので、年間を通して複数の部活に参加することが可能です。そんな訳で私は、高校では計4つの部活を経験しました。

今日は一番初めに所属したマーチングバンド部での経験について書きたいと思います。

運動部じゃないの?と思うかもしれません。確かに、マーチングバンド部はいわゆる運動部ではありません。

ただ、私の高校の部活生活の中で最も過酷な部活だったということはお伝えしたいと思います。(ちなみに、マーチングバンド部の後はバレーボール部、陸上部、クロスカントリー部に所属しました。)

マーチングバンド部の活動は夏から始まります。
アメリカの新学期は9月なので、入学前の夏休みから練習が始まりました。

入部経緯は、たぶん、親が部活に入った方が入学前に友達もできて良いのでは?と言って、周りの日本人コミュニティでそれなりに経験者がいるマーチングバンドを勧めたのだと思います。

補足すると、私が住んでいた場所(アメリカの片田舎)の同年代の日本人は大概何かの楽器をやっていました。バイオリン、トランペット、クラリネットなど。私はフルートを習っていました。

アメリカと日本の学校で違うことは沢山あるのですが、その一つに音楽の授業があります。

日本の音楽の授業って、先生がピアノを弾いてみんなで歌う、とか教科書で歌の解説?を学ぶとか、そんな感じだと思うのですが、
アメリカ(私の住んでいたところ)では、音楽の授業は、生徒が全員楽器を持っていて、先生が指揮者で、年間を通して何曲か演奏できるようになる、とうものでした。

発表会もあったりするので、音楽の授業そのものが日本で言ったらちょっと部活動みたいな感じです。でも、授業中しか練習は無いので、課外活動ではありません。

音楽の授業は選択制だったので、楽器をやらない子は音楽の授業は取りません。確かアート科目は取らなくてはいけなくて、楽器をやらない場合は絵画や陶芸などの選択肢があったと思います。
ちなみに音楽の授業の中でも、バンドとオーケストラの二つの選択肢があり、オーケストラは弦楽器、バンドは管楽器中心でした。(「合唱」もあったかも。)

英語が出来なくても何とかなる授業を取れるようにというのと、楽器やレッスン代が日本より少し安いというので、日本人駐在員の子供は楽器をやっている子が多かったのでは無いかなと思います。
そして、その流れで、マーチングバンド部に入る人も結構いたのだと思います。まあ、私が正にその実例です。

そんな訳で、マーチングバンド部にすっごく入りたーい、と言うより、高校デビュー時に顔見知りが出来ると良いなーくらいの気持ちで入部。ちなみに、部員200人弱の中、私を含めて日本人は2人でした。

あまり深い考え無く入部したマーチングバンド部でしたが、練習は超〜〜ハード。
通っていた高校は州内では強豪で、前年度は州大会2位。しかも1位の学校(その時点で州大会13年連続優勝)と0.1ポイント差(超僅差)での敗北だったということで、先輩達がめちゃくちゃ気合が入っていたのでした。
何も分からない新入生達に、今年は絶対勝つ(目に炎メラメラ🔥🔥)!!というテンションで指導してきました。

マーチングバンドという競技については私が説明するより、YouTube等で検索する方がイメージが湧くと思いますが、フルバンドで行進しながら演奏する競技です。行進、といっても一方方向に進むだけではなく、マスゲームのように様々な動き、模様、形を作りながらの行進です。
中には、それずっと持って演奏するの?というくらい大きい楽器もあります。一番大きいのは多分スーザフォンというチューバを歩く用に改造?したもの。

マーチングバンドの練習は、大きく二つ、演奏そのものの練習と行進の練習をします。そして、それらがある程度揃ってきたら、行進しながら演奏する練習に入ります。

練習の何が辛かったかというと、すばり「止まる」ことです。

マーチングバンドは全員の形が揃っていることが大事で、自分が演奏しない小節も楽器を吹く体勢をピシッと保っている必要があります。

これが辛い。(二の腕プルプル)

色々な運動部で体力的にキツい練習は沢山しましたが、どれも動きを要することでした。止まっていなくてはいけないことって基本的に無かったんです。

真夏日の猛暑の中、じっとしていなくてはならないというプレッシャーはそれまでも、その後も感じたことのないもので、私には本当にキツかったです。

しかも、当然、じっとしているだけではなく、ラインを揃えて前に進んだり、斜めに後退したり、早足で横に移動したりという動きもあります。また、そうした動きをする中でも、演奏が観客席にしっかり届くよう、上半身は前を向いたままをブレないでキープする必要があります。

私はこの「決まった動きを周りと揃えてする」ということがどうやらすこぶる苦手で、居残り練習みたいなこともやるはめになったりしていました。
居残り練習の指導をしてくれていたイケメンの先輩に、「何で分からないんだ、、」とため息をつかれたことを今でも覚えています。

そうやって本当にゼロから地道にコツコツ、動きと演奏の両方で皆んなの息を合わせていき、作品が完成していきます。

ちなみに、バンド以外にカラーガードという、大きな旗やライフルの模型を持って踊りを舞う部隊もいます。

カラーガードは演奏はしませんが、大きな旗やライフルをバトンのように空中に投げてキャッチしたり、見栄えが良いように振り回したり、見た目の優雅さと相反して、なかなか体力的にハードな動きをしたがら、マーチするバンドに合わせて舞います。

彼女達は、合わせ練習の時以外は振りの練習の他、柔軟や体幹のトレーニングをしていました。

そんな辛い練習の成果と、先輩達の「今年は絶対勝つ!!!」という気合いのおかげで私達は予選を勝ち進み、州大会決勝ラウンドを迎えました。季節は秋です。

決勝では自分達のベストパフォーマンスをしたと思います。観客からの反応も良し(応援してくれる人達が演奏や動きの盛り上がりポイントで歓声を上げてくれる)。

しかし、ライバル校もライバル校で良いパフォーマンスをした模様。勝敗は審査員のポイント(評価)を聞くまで分かりません。ちなみに評価は「演奏」と「ビジュアル」の評価軸があり、それぞれ複数の審査員がいます。

いよいよ得点の発表。

我が校、96.75
ライバル校、95.65

私たちの学校が優勝です!
喜びの歓声が上がります。泣いている子もいました。

私はというと、アメリカ人もこんな風に部活頑張って感激して泣いたりするんだなーと、辛い練習が報われたことに喜びつつも、なんだか冷静に周りを見ていました。

ちなみに96.75というのはかなり高得点で、今回これを書くにあたり調べていたら、ケンタッキー州のマーチングバンドの州大会史上、歴代2位の得点。15年以上の時を経てちょっと誇らしく思いました。

さて、州大会優勝で終わりかと思いきや、なんと、大会優勝の賞品の一つが「ディズニーワールドの大晦日パレードの出場権」。

ディズニーで大晦日にパレード!

冬まで練習するんですか、、😱

と思わなくも無かった気がしますが、ディズニーのパレードに出場するって中々得難い経験ですよね。

というわけで、年末は部活のみんなでフロリダ遠征。夜の演奏までは自由時間で、部活の子達とディズニーワールドで普通に遊びました。

夜、いよいよパレードに向けて裏口から入場。この時、ディズニーのスタッフの人から、絶っっ対に写真を撮らないで下さいと念押しされました。

(その後、顔が並んでいるラックを見かけたりして、こういうことだよなーと思いました。)

当時、携帯カメラが普及し始めた頃で画素も大分低いし、動画も撮れなかったと思うのですが、今だったらもっと厳重になってそうですね。誓約書書くとか。

さて、パレードは長い間同じ曲を何度も演奏しなくては行けない以外は、大会の時よりも大分楽でした。基本的には前に進む、いわゆる行進しかしないので、複雑な動きはありません。

延々と同じ曲を演奏し終え、バックヤードに戻った後、年越しの花火を見た記憶があるような気がします。(15年以上前のことなのであやふや。)

次の年は違う部活に入ったので、私のマーチングバンド経験はこれがフィナーレでしたが、充分に濃い経験をさせてもらったなと思います。本当にタイミングが良かったです。

ちなみに、今回これを書くにあたってYouTubeでマーチングバンドを検索していたら「京都橘高校吹奏楽部」というのがレコメンドで出てきました。

自由の国アメリカの高校ですら、かなり規律正しく厳しい練習をしていたので、日本だったらもっと厳しくて、レベルも高いような気がするなーと当時も思っていたのですが、京都橘高校は本当に別格です。

超、超、超すごいです。

演奏を見てると涙が出ます。本当に。

それは、彼女達(男子も少し居るようだけど、ほとんど女子)のパフォーマンスが並大抵の努力では成り立たないことを、経験として知っているからかもしれません。

是非観てみて下さい。全部すごいですが、体育館でやっているやつではなくて、アメリカ遠征でアメフトのフィールドで演奏しているやつや、ディズニーのパレードがオススメです。演奏の素晴らしさ、振りの揃い方、激しい振りの中でもブレない体幹!全てが圧巻です。

自分の過去の振り返りでも、アウトプットすることによって色々調べなおしたりすると、こうやって偶然の出会いがあって、良いなあと思いました。

京都橘高校吹奏楽部のみんな、感動をありがとう!
(今回の結論、京都橘高校すごい。)

ではまた。

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