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ぱりんっ、赤カブの浅漬け

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
お正月だから、の大義名分のもと、おせちや雑煮や御馳走をたらふく堪能し、そろそろ体重が気になる頃合い。
ごちそう疲れした胃袋には、白いご飯とお漬物、おみそ汁こそ一番嬉しい。自分で作るのはもっぱらキュウリの塩もみくらいなので、ここはひとつ、年末年始、あちこちでご馳走になったお漬物の備忘録を。

まず、トップバッターは自家製のガリ。
薄いピンクがきれいなこれは、新ショウガを紫蘇酢に漬けたもの。知らなかったのだけど、新ショウガって路地ものなら冬にも出回るらしい。
ガリというには厚めな3ミリ程度にスライスしたものを齧ると、がりがりとした繊維質の歯ごたえときゅんっと舌がすぼまる酸味、じわっと辛味が追い打ちをかける。皮が薄く水分の多い新ショウガならではのフレッシュさ。お寿司屋さんのようなひらひらとしたガリはぱりぱりとして甘酢の味がメインだけど、これはガツンとショウガが主張。肉のおかずの付け合せにも最適。


感動したのは赤カブの浅漬け。中までビーツのような紫がかった赤色を見て、てっきり紫蘇酢で染めたのかと思ったけれどこれはカブの持つ色素だそう。味に感じないくらいの少量のお酢が色味をより鮮やかに冴えさせる。ぱりぱりとした食感も素敵だけど、一番惹かれたのはその辛味。辛味大根を彷彿とさせるピリピリとした辛さにたじろぐけれど、鼻を抜けるのはカブの柔らかい香りというこのギャップ。あんまりパクパク食べるものだからよければとうぞとお土産にまでいただいてしまった。冷えた塩むすびにこの漬物のお弁当は最高だろう。納豆ご飯や卵かけごはんというご飯のお供への相性も抜群。
どのカブを選べばいいのかまでは突き止められなかったことが無念でならない。赤カブはさまざまに品種があって、確か山形か青森産だったと聞いたので、来年は気を付けて探してみたい。
大きさ:グレープフルーツくらい
特徴:中まで真っ赤
味:辛味が強い
時期:11月末~12月


カブ、といえば定番の白カブの甘酢漬け。生のカブを厚めにスライスし、塩と砂糖とお酢で漬けた浅漬けもおいしかった。お正月の紅白なますに近い味わいで、大根ではなくカブだからほのかに甘く、これだけでお茶請けになりそうな優しさ。


ぬか漬け、やっぱりここに戻ってくる。
すき焼きの付け合せにと出されたもので、満腹でなければお代わりしていた絶妙な漬け加減だった。サシの多い豪勢な牛肉は下でとろんと蕩けるうまさ、甘しょっぱい割り下と溶き卵に絡めて食べるあの快感に夢中になって、あふっあちちっ、とくたくたに煮えたネギや焼き豆腐やしらたきで白いご飯を頬張った。最後のネギをさらった後、手付かずだったお澄ましとお漬物を思い出し、うーん一応かたちだけでも・・・・・・と箸をつけ、火照った舌をひんやり冷ます漬物たちに目をむいた。たくあん、カブ、キュウリ、なす。たぶん一夜漬けだと思う、塩気は薄く酸味も軽く、でも生野菜にはない香ばしさ。すき焼きに舌鼓を打った後だからこそ素朴で印象深かったのかもしれない。


あぁ、そしてキムチ。小さな焼肉屋さんのカクテキが大変美味だった。調味液に浸けただけではなく乳酸発酵している味だった。焼肉自体も大変良かったから、これはまた別途書き留めたい。そのためにもまた食べに行かなければ。


華々しいメインはもちろんのこと、こうやって素敵なわき役に固められると食事がぐんと楽しくなるような気がする。特に漬物はシンプルゆえに手作りの良さが出る。


さあ、白菜かカブを買ってこよう。