記録家と写真家の違い
こんにちは。記録家の北村です。
この記事では「記録家」の役割の紹介と、「写真家」との違いについて解説していきます。
記録家も写真家も、活動内容として「写真撮影」があります。どちらも同じようにカメラで写真を撮影します。では、記録家と写真家の違いは何でしょうか?
それは、写真家は「美」を求めて対象物を写真で捉えますが、記録家は「説明」するために写真を撮ります。
このことを具体的に説明すると、写真家は対象物をいかに美しい写真にするかを追求します。この「美」を追求することが、撮影の仕方に影響を与えます。例えば、対象物の一部分をアップで撮影して特徴を強調するなどです。
反対に、記録家は対象物をいかに正確に保存し伝達するかに関心を持ちます。なので「美」には興味を持ちません。
ところで、ネットなどで検索するとわかりますが、「写真家」というワードで検索すると世界中の写真家のサイトが表示されますが、「記録家」というワードで検索しても、「記録」「家」という検索結果が表示されるだけで「記録家」という職業の人にはたどり着けません。つまり、今現在も「記録家」という職業の人はほとんど存在していないのです。
でも実は、記録家と同様の活動をしていた写真家は過去にもいたのです。例えば、博物館において絶滅してしまった昆虫を紹介するために写真を展示している例を挙げると、この展示用の写真は、昆虫の一部をアップして撮影した写真ではなく、上から撮影した写真、横から撮影した写真と、この絶滅した昆虫の姿をいかに正確に伝えるかが重視されます。この場合、「美」は必ずしも追求しません。
この博物館の例のように、記録家と同様のスタンスで写真を撮影する人は意外と多いのです。
もっと例を挙げれば、ファッション雑誌やグッズ紹介雑誌での商品紹介写真も、例えばファッション雑誌なら、その服がどのようなシルエットか、どんな色か、素材感、着用したらどう見えるかなどを伝えようとします。またグッズ紹介雑誌ならそのグッズがどんな形をしているかを伝えようとします。
このように、写真家を名乗っている人の中にも、実は「記録家」だった人が大勢います。また、自分で撮影した家族写真なども「記録」の一種なので、もしかしたらあなたも実は「記録家」である可能性が高いです。
ここまでに見てきたように、記録家という職業は存在していませんが、じつはこれは記録家の仕事だったということが溢れています。
では、記録家の役割は何か?
それは、今記録しておかないと、未来に残せない物事を保存することです。これは、例えば、あなたのお子様の3歳の誕生日の時の、お子様の姿や服装、誕生日ケーキの形や色、お子様の親であるあなたや配偶者の姿などは、その時に写真や映像にしておかないと、未来に残せません。
また、例えば江戸幕府の最後の将軍・徳川慶喜は、明治になって将軍ではなくなった後、いろいろな写真を撮影していました。この時代には珍しかったこれらの写真により、明治時代の人々の生活や風景、ファッションなどを、今現在の私たちも知ることができています。
日常の何気ない風景。家族の姿。自分の家。これらは今現在はあまり気にならないでしょう。残す価値があるとも思わないことが多いです。しかし、あと何十年過ぎた時に、あのときの自分はどんな姿だったかなどを知りたくなった時に、もし写真などに残していなかったら後悔すると思います。
あなたにも今日から、どんどん記録していって欲しいのです。その記録作業は必ずしもプロの写真家にお願いする必要はありません。記録家が記録できる量や質には限界があります。一人一人が自分で記録する必要があるのです。
さっそく、今夜の晩ご飯から記録してみたらどうでしょうか?
記録家として必ずしも自分の手を使わなくても、宇宙の今を残していけることがうれしいのです。一人でも多くの方が「記録家」になってくれることを期待して、この記事を終えたいと思います。
ではまた別の記事でお会いしましょう。
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