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アスペルガー症候群の診断を受ける

私がアスペルガー症候群の診断を受けたのは少し前のことだ。自分はAS(自閉症スペクトラム)だとは思っていたけれど、アスペルガー症候群とはっきり診断されるほど濃いとは思ってもなかったので、ショックだった。医師からは支援を受けるように言われた。これも私のプライドを傷つけた。

検査結果報告書を読んでも、他人のことが書かれてあるように感じた。これが私?私は他人にはこう見えていたの?まるで私の知らない私がこの世で生活していて、私が知っている私は、だれからも見えていない魂のような存在に感じた。

これからどうやって生きていくのか。60年近く、頼りにしていた「自分」は、実は別物だったのか?でも、これが本物だと宣告された姿は、自分とはとても思えない。

かなりの間、混乱は続いた。しかし、それでもいつもしていた仕事はまあまあこなせるから不思議だ。仕事の自分はまた別の自分、仕事用のキャラを演じているのだろう。

でも、やがてひどい腹痛に襲われるようになった。外出できなくなり、仕事にも支障が出てきた。胃痛のため食べれず1週間で3キロ減った。内科医の話では、胃が動いていないとのことだった。そのため胃酸が溢れて胃が痛むのだ。ストレスで、胃を動かす神経が働かないのだろう。

私は悩むのをやめることにした。急にやめることは自分でも無理なので、ある程度は結論を出した。

アスペルガー症候群の診断は受け入れない。今の精神医学では診断は医師によって異なる。ひとりの医師の診断が完全に正しいとは言い切れない。それに、自分が受け入れられないものを無理に受け入れる必要はない。受け入れても何か得になるものは今のところないから。検査結果は2割程度は受け入れよう。自分のだいたいの特徴を知っておくのは役に立つだろう。

そして、悩む時間をへらすため、立て続けに映画を見たり、ヨガをしたり、旅行の計画を立てたりした。そうしてだんだん冷静になってきた。

統合失調症と診断された人がそれを拒否し受け入れない気持ちがわかったような気がした。医療者はそれを「病識がない」と評するが、私も病識がないのだろうか。

診断とは何か、検査とは何か、それはどこまで信頼できでどう使われるのがいいのか?

少なくとも私は、自分が感じる自分を信じて生きていくだろう。


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