見出し画像

鉄道がその資格を取り戻してみた その3[7]

鉄道がその資格を取り戻してみた その3[7]

どーも、鉄道会社の総合職の人、です。

鉄道がその資格を取り戻してみた その3について

ご紹介させていただきます。

その2はこちら




10、地方都市の鉄道が再生する理由。



 ①鉄道、路面電車、LRTの利便性を最大に高めることが必要です。停留所にの駐車場を設置し、パークアンドライドを促したり、バスとの乗り換えをスムーズにすることは必要な条件です。

これはハードの話で、以下ソフトの話

②運輸連合によるゾーン制の導入

③信用乗車方式の導入。
これを簡単に説明すると乗客は全ての扉から同時に乗降します。乗務員は1人ですが乗車券確認はしませんし、その設備はありません。

④都市システムとして導入
自動車の流入を抑制し環境負荷の低い街づくりの道具として鉄道、路面電車、LRTを用います。歩行者と公共交通機関専用空間、トランジットモールの設定し、また道路や上下水道と同様に鉄軌道をインフラと捉えて公的な財源により支えます。

 これは交通権という考え方から来ています。移動手段の整備はシビルミニマムで絶対必要な条件です。
 鉄軌道は、環境負荷が小さく、沿線の発展をもたらすこと。この外部効果が大きいことが理解されています。道路と同じように道路のコストを公的に負担することは、社会全体の便益を考えた場合当然という解釈な訳です。ただし運行は公的機関がやるのではなく、そこが出資する公的機関であることが多いです。

11、地方都市における鉄道の再生『日本』


 欧州、アジア、北米すらLRTを核として地方都市を再生しているにもかかわらず、日本の地方は鉄道のみならず、都市そのものが崩壊の危機に瀕しています。

 地方鉄道の多くは第二次大戦後のモータリゼーションの到来とともに続々と廃止されていきましたが、県庁所在地等の地方の中核都市は、地場の有力企業が運営を行い、その地位は揺るぎなく、高度成長期に置いて不動産経営に取り組むなど、通勤通学路線としてそれなりの近代化を進めてきました。

 しかし1990年代、郊外型のマイカー生活が定着、少子高齢化により歯止めがかかりませんでした。その後バブル崩壊後の地価の崩壊で地方の不動産は大きな打撃を受けました。2000年に鉄道事業法の改正、それにより参入と退出の自由が認められ、独立採算制が取れないという点で廃線に追い込まれたところが多いことはご存知の通りです。

ex.1、日立市とひたちなか市の選択


 日立電鉄の廃止について説明します。日立市の人口は20万人弱で、欧州なら新規にLRTを建設してもおかしくない規模です。
日立の工場地帯や住宅地を南北につながるように走り、常陸太田市をつなぐ20kmで、2000年利用者は年間200万でした。

 以前は国土交通大臣の許可が必要だったわけですが、1年前に届出を出せば廃線が可能に。廃線以降の沿線自治体への通達は03年10月です。そこからの流れは以下の通り。

 高校生、常陸太田市が強く反対
 日立電鉄は断固廃止、日立市も廃止前提として対応。
 福井県での地方都市再生を果たした越前鉄道の例を用いて、民間の調査機関が調査書を提出
 日立電鉄線存続に向けた市民の報告書によると
「鉄道を維持することによる便益(時間損失の回避が大きい)が、公的な補助を大きく上回り、社会的な総費用に対して5倍の費用対効果を生み出す」とされている。 

 しかし肝心の日立市は存続に対する情熱を示さず。
 そののち05年03月廃止


画像1

 廃止から一年後、代替バスの利用によるBRT論もありましたが、既存鉄道線を剥がして、改めて設備を整備するなら、なぜ鉄道設備を活かし鉄道再生をしなかったかは疑問であります。しかし市議会の総意であることから市民の意思であったと思うしかありません。

ex.2 ひたちなか鉄道


 次に廃止となったのは鹿島鉄道です。ひたちなか鉄道ではありません。流れは以下の通り。

 高校生の中で反対運動があったが07年03月にあっさり廃止

 その次は違いました。ひたちなか鉄道です。
茨城交通湊線14キロの非電化路線であり勝田駅に那珂湊市の住民を運ぶ都市間輸送の体をなしていました。輸送人員は年間89万人です。流れは以下の通り。

 茨城交通の廃止の意向表明は05年。
 しかしひたちなか市長は断固反対。
 市は県と協力し湊鉄道対策協議会を設定、沿線市民団体は「応援団」を結成。富山県の万葉線の再生に取り組んだ市民団体とも協力。

 市長は講演会にて「公共交通を残していくのは市民の使命だ」と語り、日立電鉄廃止時とは真逆である。
 またひたちなか市の職員も茨城交通の債権者、銀行を一つ一つ回って鉄道存続に理解を求めた。

 07年09月、茨城交通とひたちなか市は第三セクターを設立。
 茨城県も鉄道軌道近代化施設整備補助金に協調補助を行う形を取った。

 07年10再生計画を提出、12月に新社長の公募。この"新社長は公募する"というのは湊線がはしりである。

 その後利用者を確実に増やしていきます。


画像2


参考文献 鉄道復権: 自動車社会からの「大逆流」
宇都宮浄人

その4に続く


サポートいただけましたら速攻で本を買い、読書録を書きます。ご希望ありましたらメッセージをお願いします。交通、鉄道、就職、恋愛、筋トレ、なんでもござれ。よろしくお願いします。