世界に色の魔法をかけたように。春夏交響詩。
すっかり緑色に染まった桜の樹。
もう少ししたら
桜の樹であることさえ
忘れ去られてしまいそうです。
アスファルトには
まだピンク色の欠片が残っていて
ふわりと風が通り抜けるたびに
花びらが舞い上がります。
儚く散り去っていく様子は
まるでさよならのキスのようでした。
桜の花が散ると
春が終わりの章を
迎えるように感じます。
でも、ひっそりと力強く
次の舞台が彩りはじめていました。
桜の花から引っ越してきたように
ハナミズキの花が、小さなピンク色の
リボンを散りば