看板が無いどころか…シャッターの閉まっているお店

「看板の無いお店」

というと、知る人ぞ知る、
ツウなお店という印象ですよね。

看板が無い、どころか、
シャッターがほぼ降りている店に行くことがありました。


革の教室に通い始めたころの話です。

授業の前にまず、先生の勧める道具を揃えるところから始まります。

浅草近辺の道具屋をはしごし、
菱キリ、念、ネジ念、拍子木などを買い集めます。

どんどんお財布の中身が軽くなることに怯えながら、
しかし憧れの先生が勧める道具を使えることに感動しつつ、
レンタル自転車で浅草を駆け回りました。

「もうやってないかもしれないけれど…」

といって先生が勧めてくれたのは、
砥石屋さんです。

砥石に専門店があるの!?と思いながら
浅草寺は雷門を正面に左へ直進。

先生「シャッターが閉まりかけていたけど」
それが目印とのこと。

ドン付きあたりに見えたのは、
シャッターが閉まりかけている…

いやむしろ、
「シャッターが開きかけている」くらいに閉まっているお店。

ここ…か!?

全シャッターのうち一か所だけが少しだけ開いているお店。
ここが先生のいう、良い砥石専門店か!?

かがんでお店に入ると、確かに砥石がそこら中に!

中に声をかけると、奥からお母さんが出てこられました。

なんでも、砥石に詳しいご主人が亡くなられたそうで、
そろそろお店を畳む予定だとのこと。

砥石というのはもちろん石です。
天然材料なので、どれも一点モノ。
採掘量に限りもあるので、良質な砥石は結構な値段がするそうです。

正直、価格的に全く手が出なかったので、
その中でお値段控えめな「仕上げ砥石」をいただきました。
(それでも一万円は越えました)

今でも大事にしています。

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