風俗
JR東海道線 高崎行き。冷房効いてるのか?暑い。暑すぎる。疲れきった汗だくの同僚が隣で眠ってしまい、音楽を聴こうとしたら有線イヤホンがちぎれていることに気がついた。なので新橋に着くまでの1時間で日記を書く。
昨日は、なんと猫さんと一緒にお泊まりができるという夢のような宿に泊まった。
私は小学生の頃から猫を飼っているので、猫がいる生活が当たり前だ。夜中の運動会も、おしっこやうんちのお世話も、容易に想像がつく。今回は同僚が猫を飼いたいとのことで、トライアルがてら今回の旅を試してみた。百聞は一見にしかず、実際に一度一緒に暮らしてみるのが一番いいだろう。
猫さんのトライアルができるなんてすごい世界だ。1匹2000円で、一緒に一夜を過ごすことができる。指名制だ。メンバーは子猫から大きめの猫さんまで様々だった。ちっこい子猫の姉妹2匹を指名した。そっくりなので顔の模様の違いで見分ける。つゆちゃんとむぎちゃん。同僚はなかなか名前を覚えられず、興奮のあまりついには混ざりだして「ゆずちゃん!おいでー!」とどちらでもない名前を叫んでいた。猫を眺めるのも面白いが、私的には猫の可愛さによって正しい思考回路ができなくなっている同僚の奇行を眺めているのがとても面白かった。
子猫たちは元気いっぱいで、宿の部屋に放出するなり2匹で戯れあいながら部屋中を駆け回り始めた。女将さんは「100%粗相をすると思ってくださいね!」と注意喚起してくださったが、布団や衣類の上でおもらしすることなく、ちゃーんとおトイレで用を足していてえらいぞおまえたち…!と感動してしまった。
夜になり、布団を敷いて人間たちが横になると、子猫がなにそれー!と目を輝かせて布団に飛び乗ってきた。うわーこれ、2-0かな?1-1かな?と笑っていたらいつのまにか同僚のお腹の上に2匹乗って寝ていた。同僚が幸せのあまり溶けていた。寂しいので私の方に1匹貰ったが、すぐに同僚のお腹の上へ戻った。2-0の、0の方は寂しかった。
電気を消していざ眠ろうとした直後、ゴソゴソと2匹が起き出し、私と同僚がうとうとしてはガラガラバッターン!!!バタバタバタバタ!!!シャカシャカジャカジャカ!!!と夜の大運動会を始めた。同僚は夜勤明け一睡もせずに来ていたので、一刻もはやく寝たいはずだ。2人でフフフ…(泣)と笑いながら運動会が終わるのを待っていたらいつのまにか2人とも眠りについた。
朝起きたらやはり同僚の腹の上で、2匹が寄り添って寝ていた。結局最後まで2-0だった。
朝、チェックアウトの時刻が近づき、荷物をまとめるのにバタバタしている時に限ってうんちをした。絶対にわかってやってる。もー!
コンタクトをつけに外の洗面所へ行き戻ってくると、うっかり床に置いてしまった有線イヤホンがそのわずか一瞬の間に引きちぎれていた。
猫さんたちとお別れをして宿を出ると2人ともしばらく無言で歩いた。「これが…賢者…タイムか…」「風俗だよ!」などと同僚が神妙な面持ちでふざけたことを言っていた。切ない朝帰りだった。
気ままに生きている猫さんと過ごしているととても癒される。
同僚の先輩が最近妙に優しくなったと思ったら、どうやら猫さんを飼い始めたということらしい。猫さんの人間の心を溶かす生き方はすごい。
もしもこの先、いつかコロナ禍が落ち着いたら。いつかまた大きくなったつゆちゃんとむぎちゃんに会いにいって、指名をして
大人の魅力にメロメロにされて、朝帰りをしたいと思う。
暑い。もうすぐ新橋だ。
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