春のさよなら 第二話(短編小説)(完結)
「変わらないな…」
帰ってきた日の翌日、家には居づらく、あてもなく、外に出た。
行くところは特になかった。
だから、昔よく悩むと来ていた、近所の堤防に足を運んでいた。
見える景色はあの頃と同じで、遠くの沖で漁をしている船が見える。
風は幾分か塩気を含み、目を開き続けることを防いでくる。
僕は心が折れてしまった。
いや、そう自分で思い込んで、逃げただけなのかもしれない。
楽な方に、行きたかっただけなのかもしれない。
何であれ、全てを捨ててきてしまった。
あこがれも、希望も、夢も