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短編

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#超短編小説

続・札幌でサッポロ一番を食べる ~彼女と過ごした奇跡の三日間

一日目  こうして僕はまた北海道に帰ってきた。勿論また札幌でサッポロ一番を食べるためだ。…

秋(空き)時間
8か月前
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最期の小説

 その昔田中文麿なる小説家がいた。とはいっても彼は別にプロの小説家だったわけではない。た…

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聴けたもんじゃない

 久しぶりに公園でギターを弾いたのは別に天気が良かったわけじゃない。天気が悪くても公園ま…

19

絶望から希望へ

 絶望から希望へ。このベートーヴェン以来後代の作曲家に受け継がれて来たこのテーマは、クラ…

13

重苦しい二人

 浮ついた連中がたむろしているレストランの窓際のテーブル席に妙に重苦しい雰囲気を醸し出し…

7

あまりに不似合いなシュチュエーションでうどんを語る

 まるでアメリカの夜のような人工的夜景を眺めながら僕は一人うどんを啜っていた。全てが可視…

15

自意識過剰男

 俺が席に座ると隣に座っている奴はいつも立ってどっかに行ってしまう。女は勿論男もだ。俺は無駄に余裕のある座席で足を広げながら降車駅まで新聞を読んだり、スマホを見たりする。  会社でも同じだ。俺がオフィスの自分の席に座ると隣のクソ女が露骨に嫌な顔をする。いつも隣にいるくせに何のつもりだよ。不快のアピールかよ。そんなに俺が嫌いならスメハラでもいいから訴えればいいんだ。美人だからってお高く止まってんじゃねえ!ちったぁ動いて俺を追い出して見ろや!だがそんなふうに愚痴っても俺が油まみ

ムード歌謡歌手二時間ドラマに出る!

 ムード歌謡の大御所天極千鳥が二時間ドラマに出演することになったというニュースはたちまち…

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日本版アンカレ

 田坂家では何もかもが混乱していた。夫の田坂浩二は一昨日から家に帰らず、妻の栄子は居なく…

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夜更けの挨拶

 こんな夜更けに突然どうしたの?と僕は彼女に聞いた。僕の問いに彼女は寂しかったからと答え…

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予算のないRPGの結末

 ついにここまで来たとケンタロウは今までの冒険の日々を思い出し感慨に耽った。後倒すべき相…

11

死体役

 今日また死んだ。自分は生まれてからもう何百回も死んでいる。とはいっても当たり前だが現実…

3

恩人

 子供の頃よく世話になった人がいた。その人は人生に迷い全てを投げ出そうとしていた僕に対し…

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モブラブ

 高塚香織と西村春樹の結婚が世間で話題になっている中、その二人の事務所の経理を担当している所員の二人もまた結婚しようとしていた。二人は芸能プロダクションで働いているが仕事柄か業界人とはさほど付き合かった。事務所所属の芸能人でさえ三ヶ月に一回見るか見ないかぐらいだった。二人は高塚と西村の結婚報道が流れるテレビを見ながら会話をしていた。 「やっぱり芸能人の結婚って大変だよね。高塚さん結婚のために無理矢理妊娠しようとしたんだって。そしたら社長がそんな事したら大変なことになるって慌